Minimal代表・山下が日々考えていることを、気ままにフリートークします。
第2回は「お店づくり」の魅力や、各店舗の内装についてお話ししていきます。
※第1回はこちら
手づくりの質感を表現した、富ヶ谷本店
Minimal 富ヶ谷本店
2014年オープン。日本のBean to Barの先駆けとして、メディアにも取り上げられることの多い総合旗艦店です。
コミュニケーションのためのL型カウンター
富ヶ谷本店はMinimal創業の地です。店舗では「クラフト(手づくり)感」を表現したいと思っていました。
当初は工房も兼ねていたので、初期のレイアウト案では店舗を半分に区切って工房を広くとり、製造風景を眺められる配置も検討していました。西海岸のスペシャルティコーヒーなどファクトリー系の店舗ではよく見かけますよね。
結果的には、お客さんとのコミュニケーションを重視するため、壁に沿ってL型カウンターで区切り、工房は裏手に構える形で完成しました。
このL型カウンターにより、入店したお客さんがどこにいてもカウンター越しのスタッフと接する動線ができました。板チョコレートのラインアップを一直線にディスプレイし、試食しながらスタッフと話してもらうという今に続く接客スタイルを、あらかじめ店舗レイアウトに落とし込んでいます。
このカウンターの造形にはとてもこだわったので、今でも愛着があります。
腰高までモルタルで仕上げ、天板に厚い木材を置いており、天板の質感や重厚感はぜひご来店して体感していただきたいです(笑)。
ボードメンバー総出でDIYした壁面仕上げ
自分たちの世界観がよく表れているところと言えば、外壁のセメント仕上げですね。
Minimalの板チョコレートデザイン(モールド)をあしらっているのですが、これは全部創業メンバー総出でDIYしました。
内装の塗装や、床のタイル貼りなど、自分たちで作業した箇所はたくさんあります。
クラフト感のある店にしたいと思っていたので、DIYをするのは自然な流れでした。
よく見ると荒い仕上げだったりするのですが、それが味になると捉えています。
Minimalの思想を体現したロゴプレート
僕が個人的に一番「これぞクラフト!」と気に入っているのは、外壁に貼ったセメントのMinimalロゴプレートです。(店舗外観のコーナー部に設置)
これは100kg以上の重量があり、業者さんからは「割れる可能性があるからおすすめしない」と助言されていたのですが、強行しました。そして案の定、プレートを接着する最後の工程でひび割れしてしまいました(笑)。
一緒に作業していたスタッフはショックを受けていたのですが、僕は内心「これぞクラフト!」と興奮していました。
ぜひお時間ある方は、そんなひび割れ部分を探してみてください(笑)。
意図してひび割れさせたのではなく、偶発性というところがいいじゃないですか。カカオ豆という一回性の素材を使って造るMinimalのチョコレートづくりにも通底するところがあるとも感じています。
こうしてお店はパーツごとにクラフト感のある仕上げにしているため、全体として、ソリッドなインダストリアルと手作りのあたたかな雰囲気が融合できたと思います。
気持ちのいい、天井高と午前中の陽光
店舗用の物件を探しているときに、この建物を見て気に入ったのは天井の高さでした。
内装をスケルトンにして天井高を活かした設計になっていることもあり、やっぱり抜けがあって気持ちいいんですよね。
僕が好きだった西海岸のスペシャルティコーヒーのお店は、だいたい天井が高くて陽射しが燦々と降り注ぐ造りになっていたので、インスパイアされていると思います。
気持ちいいといえば、午前中に大通りの窓から射す陽光もとてもいいです。
床に落ちる陽だまりがゆっくりと移動していくのも、エントランスの外にあるベンチから陽光を眺めるのも心地いいので、ぜひ午前中にいらしてご体感いただけたら嬉しいです。
代表・山下のこだわりポイント
その1 | 世界地図のモザイク壁面
“お店の顔”でもある壁面の世界地図には、Minimalの考え方や世界観が集約されています。
その2 | 抜けのある天井高
天井高を感じてもらうために、カウンターの上のバータイプの照明は天井から鎖で吊るしています。
その3 | ひび割れたロゴプレート
前述のとおり施工中に割れたプレートも、ぜひご来店時にご覧ください。
富ヶ谷本店の店舗体験のさらなる詳細情報はこちら
職人の手仕事が息づく、代々木上原店
Minimal The Baking 代々木上原店
2019年オープン。「ガトーショコラの食べ比べとペアリングセット」で、行列の絶えないガトーショコラ専門店です。
職人の手仕事が細部まで入った店舗
代々木上原店は、ガトーショコラ専門店「Minimal The Baking」という新業態として開業しました。
「クラフト(手づくり)感」を引き続き表現しつつ、大通り沿いに構えている本店とは対照的に、小路の隠れ家という雰囲気で物件を選びました。
「日常の中にある上質」をテーマにしていたこともあり、民家をリノベーションして、工房併設の店舗としてスタートしました。
構造材(柱や筋交)を現しにして、カウンターの背面はナラ材の合板を貼ったままにするなど、手づくり感とともに木の温かみを感じられる仕上げにしました。
今回は、DIYではなくプロの仕事に任せています。
カウンターの右側面の壁にはナラ材で造り付けの棚を手づくりしてもらい、天井照明の真鍮ランプは特注で製造してもらうなど、職人の手仕事が随所に入った店舗になっています。
アンティーク音響機器へのこだわり
個人的に代々木上原店の一番のおすすめは、アンティークスピーカーと手づくりの真空管アンプによる音響空間です。
スピーカーは英・タンノイ社のSuperRedMoniter。40年以上前に製造されたヴィンテージ品です。真空管アンプは知り合いに自作してもらった特注品です。
“古き良きものに宿る気配”を大事にしたいという思いがありましたね。
もともと、自分がフジロックに行ったときに、手づくりオーディオスピーカーの神様みたいな方が構えているブースがあり、そこで音に包まれる快感を知ったことがきっかけでした。
「今度つくるお店では音にこだわりたい!」という思いが実現し、感慨もひとしおです。ちなみにスピーカーは僕の私物を提供しています(笑)。
最終的には、店舗スタッフとお客さんがお店を完成させる
僕の理想はシンプルな内装のお店だったのですが、業務が始まればどうしてもこまごまとした備品や展示品が増えていきます。
そこはもう各店舗の店長の裁量に任せていますが、つくづくお店は店長やスタッフなど人がつくっていくものだなと感じますね。富ヶ谷本店も代々木上原店も、店長やスタッフの癖や色がよく表れていると思います。
特に代々木上原店は、店長力武のこだわりでお酒も多数ご用意するなど、店長の色が色濃くでています。
店舗という箱は最初に用意しますが、そこにカルチャーをつくるのは働く人なのですね。
ご来店いただくお客さんも、もちろん大事です。
日常的に人が営んでいくことで、街に馴染んでいき、お店が受け入れられていくのだと思います。
Minimalでは各店舗を「エンターテインメント空間」と位置づけています。
ぜひMinimalの世界観や新しいチョコレート体験を楽しみに遊びにいらしてください。
代表・山下のこだわりポイント
その1 | 造作家具
木工職人の手づくり品があちこちにあります。
その2 | アンティークの音響機器
年代物のオーディオが奏でる音響空間をお楽しみください。
その3 | コンセント付きカウンター
普段のカフェ利用も大歓迎。空いている時間帯にはパソコン作業などもぜひ。
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