Minimalを自分のスタイルで楽しむ方々にお話を伺う、インタビュー第5回。
19歳の時に起業し、ホテル事業を皮切りにさまざまなプロジェクトを手掛け新世代の経営者として注目されている龍崎翔子さんに、クリエイティブの秘訣やオフの過ごし方など多岐にわたってお話を伺いました。
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チョコレートレアチーズケーキを楽しむ龍崎さん
従業員全員のご家族に、ガトーショコラを贈りました
−−Minimalを知ったのはいつごろでしたか。
龍崎さん
4年ほど前に「Magasinn Kyoto(マガザンキョウト)」というお店で取り扱われている※のを見て、板チョコレートを買ったのがきっかけです。
※現在は販売しておりません
一口食べてみたら、香りがすごく良くて驚いたのを覚えています。
それから、母の誕生日に何か贈ろうと思ってMinimalのお店に行き、「Minimal Works」も買いました。
年に一度発売するMinimalのミニ板チョコレート作品集「Works」(写真は2023年Ver.)
Minimalのザクザクした食感はとても気に入っています。あれはカカオニブでしょうか。ふつうのザクザクしたチョコレートというとクッキー生地やナッツが入っていると思うのですが、カカオだけであの食感ができるのは面白いですね。
味わいも重たくなく、甘すぎないのも好みです。
私はチョコレートを日常的に食べる習慣があまりないんです。もったりした油脂みたいな味わいがそんなに得意ではないんですね。
その点、Minimalはいい意味であっさりしていて、私の好みに合っています。6種くらいフレーバーがあると思いますが、「SAVORY」が一番好きでした。気分転換にもちょうどいいなと思って食べています。
「SAVORY」が一番お気に入り
−−贈り物や手土産で使われたことはありますか。
龍崎さん
私の会社(株式会社水星)では、創業記念月に、働いてくださっている社員のご家族にお菓子を贈るということを毎年やっていまして、2020年にはMinimalのガトーショコラを贈らせていただきました。
ちょうど新型コロナウイルスの影響でステイホームの期間中で、みんなが気分が落ち込みがちだったこともあって、とても喜んでいただけて感謝のお手紙をたくさんいただきました。
ガトーショコラは大きさも充分だし、パッケージもシンプルでセンス良く、手土産として手渡すのにいいですよね。
東京出張で近くに来たときは富ヶ谷本店にもお邪魔しています。お店だけで食べられるパフェが好きで、わざわざ寄ろうかなと思う動機付けになってますね。
富ヶ谷本店のパフェ。季節ごとに素材やフレーバーが変わる。
ピアノや陶芸で、普段とはちがう頭を使う
−−お店の印象はいかがでしたか?普段から経営者目線でお店をご覧になることはありますか?
龍崎さん
Minimalのお店はいわゆるサードウェーブ系のトーンだと思うのですが、すごく素敵だと思います。
飲食店はそこまで詳しくないのですが、普段も飲食店に訪れるたびに「このお店のパスタはめっちゃ細いけど、たぶん茹で時間短縮のためかな」とか「あえてこの動線は交わらないようにしてるのかな」とか考えたりすることはあります。
Minimalの場合、チョコレートを買いたいシーンと、チョコレートを食べたいシーンで、タイムラグがありますよね。チョコレートを買って持ち帰ってから、「あ、そういえば買ったんだった」と思い出して食べると思うのですが、この時間差をどう乗り越えていくのかな、みたいなことは一人で勝手に考えたりしています(笑)。
「HOTEL SHE, KYOTO」ロビーラウンジにて
−−京都を拠点にしつつ、毎月の半分くらいは出張という日常とのことですが、日々のリラックス法など気を配られていることはありますか?
龍崎さん
そうですね。実は私、比較的どこでもリラックスできるというか、うまく休みどころを見つけていつでも休めるタイプなんです。
ただ、普段は自分の時間の経済合理性を追求する、偏ったライフスタイルになってしまっているので、自分の気のおもむくままに何かに没頭するような時間も必要だなと思っています。
最近はピアノを買って自宅で弾いたり、陶芸をしたり、アイロンビーズを買ってみたりしています。品質や納期を気にせず、普段と違う頭の使いかたをするのは大切な時間だと感じています。
「愛がないUGC」は、ブランド価値を毀損する
−−龍崎さんの運営されるホテルではSNSを積極的に活用されていると思いますが、何か気をつけていることはありますか?
龍崎さん
私がホテルを始めた当初は「UGC(ユーザー生成コンテンツ)」をうまく味方につけるべき存在だと考えていたのですが、今は逆にコントロールできないので難しいと思っています。
今、SNSの状況を見ていると、UGCをつくる層が変わってきているという印象があります。
良質なコンテンツをつくる層の人は、あまり積極的に発信をしなくなっている。一方で発信することを生業にするようなプレイヤーが増えていて、その結果「愛がないUGC」が量産され、ブランド価値を毀損するというような現象が増えてると思います。
UGCを活用したブランディングやマーケティングをするためには、本当にブランドのことが好きで、ちゃんと愛を持って発信してくれる人に投稿してもらう仕組みをつくることが不可欠です。
なので、今のSNSの状況を考えると、自分の中では「UGCは死んだ」と思ってます。
そんな状況なので、「知ってもらう必要がない人には知られないようにすること」がすごく重要だと考えています。だから、時には「安易に投稿しちゃいけなさそうだ」くらいのオーラを出すみたいなことも大事になってくるのかなと。
※UGC・・・ユーザーの手によって制作、生成されたコンテンツの総称。User Generated Contentの略
「発注は愛だ」と思う
−−龍崎さんの手がけられるサービスは、どれもクリエイティブの質が高いのですが、何か秘訣はありますか?
龍崎さん
クリエイティブの質を高めるポイントを一つあげるとすると、「発注にこだわること」だと考えています。
私は「発注は愛だ」と思っているので、クリエイターさんに発注をする時は「どんなアウトプットが出てきても受け止める」という気持ちでいます。
そんな風に圧倒的に信頼できるクリエイターさんは中々すぐには見つからないのですが、自分がずっと好きだったクリエイターさんに、ぴったりのプロジェクトが出来た時にお願いをするという流れが多い気がします。
−−クリエイターなどを知るチャネルはどんなものが多いですか?
龍崎さん
情報収集はTwitterがメインです。Twitterで見てリストに入れて、ふとした時に思い返して、お願いするという流れです。
クリエイターってお互いに作品をリツイートしていたりするので、そこから「この人もめっちゃいいやん!」みたいに世界が広がることもあります。
観光以外のホテルの可能性を考える
−−龍崎さんが今後手がけたいサービスのイメージなどはありますか?
龍崎さん
2022年の春に出産直後のお母さんや赤ちゃん、ご家族のためのホテル産後ケアリゾート「HOTEL CAFUNE」(https://www.hotelcafune.com/)を新たに開業しました。
これからは、HOTEL CAFUNEのように「観光業」というドメインに閉じないホテルをもっとつくっていきたいなと思っています。
「観光需要」以外でもホテルが必要とされるシーンはたくさんあるのに、世の中ではまだそれがあまり発見されていなくて、ホテルのイメージが更新されてないと思っています。
そんな中で、私はホテルの可能性を広げていくことに挑戦していきたいんです。
私たちの事業は自社のホテルの運営だけではなく、クライアントである様々な業種の企業様と一緒にライフスタイルの領域で新しい事業やサービスをつくっています。
会社のミッションにも掲げている通り、「世の中の選択肢が増える」ような事業をもっとつくっていきたいと思います。
龍崎翔子さん
株式会社水星代表取締役、ホテルプロデューサー。2015年に株式会社水星を設立後、2016年に「HOTEL SHE, KYOTO」、2017年に「HOTEL SHE, OSAKA」を開業。2018年にはホテルの自社予約プラットフォームのための新会社CHILLNN,Inc.設立。2021年に「香林居」開業。2022年5月に産後ケアリゾート「CAFUNE」を開業。
https://suisei-inc.com
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