新しいチョコレート体験を生む『場』としてのMinimal
私たちはMinimalというブランド自体をチョコレートの体験を新しくする『場』と捉えています。その『場』に色々な仲間が集まる事で新しい”何か”を生んでいく事に挑戦しています。そして、何よりその化学反応を私たち自身がとても楽しんでいます。
今回はそんなMinimalという『場』に丸山珈琲さんとお客様が集まって商品開発したお話をご紹介します。
丸山珈琲さんはスペシャルティコーヒーの日本の第一人者で、日本を代表するコーヒー屋さんです。
MinimalではMinimal’s Tableという3か月かけて行うワークショップを行っています。コンセプトは「尊敬するクラフトブランドと組んでお互いに理解を深めながら、お客様を巻き込んで新しい商品や体験を開発する」というものです。お客様の中でもこのMinimal’s Tableの常連さんになりつつある方も多数いるとても人気のイベントです。
2018年10月~12月の3ヶ月間のMinimal’s Tableは丸山珈琲さんと組ませていただき、商品開発をテーマに行っていました。実は2年前にコーヒーとベストマッチのチョコレートを開発するというペアリングセットを商品化しているので、今回はもう少し踏み込んだ、よりマニアックな商品開発をしようということになりました。
Minimal’s Tableの醍醐味は、始まった当初は最後はどうなるか全く白紙である事です。これが、本当に白紙なのです。
だから運営側はとても楽しみながらも、いつもドキドキ。お客様の反応や感想を見ながらその場や終わった後に次のテーマを決めていくという完全LIVEのイベントです。
今回、最終的に決まったテーマは「食べるコーヒー」チョコレート。これは10月開催の1回目と11月開催の2回目のMinimal’s Tableを経て決まっていきました。
チョコの甘味やコーヒーの苦味にごまかされない“本当のコーヒー豆の味わい”を届けたい
実は丸山珈琲さんのコーヒーは、苦味をイメージする従来のコーヒーとは全く違ったきれいな酸味を中心にしたスペシャルティコーヒー。初めて飲ませて頂いた際の衝撃は忘れられません。
第1回目は丸山珈琲の誇るバリスタ日本チャンピオンに何度も輝いている鈴木樹さんにお越し頂き、コーヒーとチョコレートのペアリングを鈴木さんが考える時に、頭の中でどんなことを考えているのか?をお客様と一緒に解剖していくという何ともマニアックなテーマ。
その中で従来のコーヒーと丸山珈琲のコーヒーを飲み比べてみたり、良質なスペシャルティコーヒーは苦味ではなく酸味が背骨であるということを教えて頂きました。
そして、第2回では“丸山珈琲代表の丸山健太郎氏に聞くスペシャルティコーヒーの歴史”というテーマで苦味主体のコーヒーが、時に全く別物と感じるほど味わいが違うスペシャルティコーヒーにどのように進化していったかを教えてもらいました。
その中で気づいてしまったのです。もちろん液体のコーヒーで飲み比べてみると違いは一目瞭然ですが、実はコーヒー豆のままでも十分農作物として従来のモノとは違う品質に仕上がっているという事に。
農家さんが丹精に想いを込めて育てたコーヒー豆は実はそれ単体で風味を持っているし、品質の違いがこの時点でわかるものだと理解したため、では本当の意味で「このコーヒー豆の風味を活かした食べるコーヒーチョコレートは造れないだろうか?」というテーマで商品開発をすることになりました。
そして、これが苦難の道だとはその時は気づいていませんでした。(笑)
試行錯誤の連続。お客様の意見も頂きながら商品開発
そこからは商品開発開始です。試行錯誤の連続が始まりました。
ステップ1:コーヒー豆とチョコレートのペアを決める
まずコーヒー豆とチョコレートをどのペアで行くのかを決めました。その際に大事な事は“コーヒー豆とチョコレートの香りの方向性”と“お互い強度”を合わせるという2点です。
パターンは無数にある中で、試行錯誤の末に選ばれたチョコレートは「HIGH CACAO(カカオ80%)」。丸山珈琲のコーヒー豆はオレンジやハーブ、スパイスの風味をもつ「インドネシア・ワハナ農園 中煎りコーヒー豆」でした。
コーヒ豆を単体で食べた感想は、やはり酸味を十分に感じる事と、ベースに苦味があるという事。豆を活かすためには、チョコレート側にある程度強度(カカオ濃度を高める)が必要であるとわかりました。
ステップ2:コーヒー豆の挽き具合とチョコレートへの混ぜ方を決める
チョコレートとコーヒー豆のペアが決まったら、今度は細かい味わいを調整していきます。その際に用意したのはコーヒー豆の挽き具合と混ぜ方を変えた3種類。
- コーヒー豆粗挽きをチョコレートの中に練り込み混ぜたもの
- コーヒー豆細挽きをチョコレートの中に練り込み混ぜたもの
- ①に砂糖を追加して甘味を強めたもの
結果として①だとコーヒーの苦味が前に出過ぎる。②だとチョコレートが強すぎる。③だと甘すぎるという事になりました。
さてどうしたものかと悩んで挽き方や混ぜる分量を調整していったのですが、最終的には②をベースに裏面に粗く砕いたコーヒー豆を振りかける事で風味のバランスをとるというレシピを開発しました。
ステップ3:お客様に開発プロセスを追体験してもらって意見を頂く
ある程度商品の方向性が見えた後、12月に行った第3回目のMinimal’s Tableでお客様と一緒に上記ステップ1及び2を追体験してもらいながら、意見を頂きました。
ある程度完成形を用意していたのですが、それぞれのプロセスで実際のお客様の反応を頂く事で開発側では気づかなかった点がたくさん出てきてとても勉強になりました。そして、お客様の感想を頂く事で完成形はそこからさらに微調整をしていきました。
最終調整にあたり、やはり大事にしたことは、美味しいはもちろん、コーヒー豆の複雑なフレーバーが主役となってしっかりと感じらえる事。コーヒー豆の苦味やチョコレートの甘味でごまかすことなく、コーヒー豆の複雑なフレーバーが感じられてそこにきちんとチョコレートのフレーバーも寄り添うという事を目標に繊細な調整を続けました。
三位一体で造った「食べるコーヒー」チョコレート
こうして、今回の「食べるコーヒー」をコンセプトにしたチョコレートが完成しました。もちろん原材料は「カカオ豆、コーヒー豆、お砂糖」の3種類のみ。
究極にミニマルな食べるコーヒーチョコレートになりました。こちらは180枚限定で、Minimalは"富ヶ谷本店のみ"でご購入頂けます。
是非ともバレンタインにコーヒーのプロとチョコレートのプロがお客様と三位一体で造ったこだわりの逸品をご賞味ください。
限定数が無くなり次第終了となりますので、ご希望の方はお早めにどうぞ。