【Staff Story #2 清水編(前編)】~シャイだった少年がフランスMOFのパティスリーで働く職人へ~

2019.01.28 #from Staff

Minimalのチョコレートを皆さまにお届けするために日々奮闘する3人のMinimalスタッフのストーリーをご紹介しています。

今日ご紹介する2人目のメンバーは、チョコレート職人の清水です。

大阪の洋菓子店、東京の老舗パティスリーを経てフランスM.O.F.のパティスリーに渡り、日仏で経験を積んできた清水が、Made in TokyoのMinimalのチョコレート職人になるまでのストーリーを前編・後編の2本立てでお届けします。

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菓子との出会い

大阪府の北部にある高槻というところで生まれ育ちました。小さい頃はどこに行くにも姉の後ろを付いて行くような恥ずかしがり屋でした。

誕生日には祖母が毎年馴染みの洋菓子屋さんでケーキを買ってくれて、家族で囲んでケーキを食べるのが習慣でした。今では珍しいですが箱には丁寧に包装紙を掛けてあり、それを開けた瞬間に広がる甘い香りは今でも鮮明に覚えています。

毎年食べるのが楽しみで、子供ながらに年に何回も誕生日が来たらいいのになと思っていました。

 

昔からプラモデルなどのものづくりは好きで手先は器用な方でしたが、料理やお菓子作りなどはほとんどすることなく高校3年生を迎えました。

 

卒業後の進路を考える時、”自分が手作りするもので人を幸せな気持ちにさせるような仕事に将来就きたい”という想いが強くありました。

そこで家族でケーキを囲んだ記憶を思い出し、ものをつくるだけではなく、その空間までも明るく幸せにできるのは”お菓子”だと考えて、製菓学校に行く決意をしました。

 

 

家族や友人からはかなり驚かれましたが、昔から言い出したらきかない頑固な性格だったので、反対もなく応援をしてくれました。

 

製菓学校を卒業してからは地元の洋菓子店に就職しました。早く仕事を覚えて一人前になりたいという気持ちが強く、誰よりも朝早く出勤し自分の仕事を済ませ、空けた時間で先輩の仕事を盗もうと必死でした。

この頑固で負けず嫌いな性格は今でも変わりません(笑)

洋菓子店で最初に任されたのはカスタードクリームを作る仕事でした。もちろん学校で作り方は学んでいたのですが、実際に現場で仕込む量はその10倍以上。

腕は痛いし、焦がしてしまうし、菓子作りの大変さを思い知りました。

仕事で上手くいかない時には先輩にやり方を聞くだけでなく、クリームを炊く温度や時間、かき混ぜ方など試行錯誤しながら調整を繰り返す毎日でした。

決まった時間や温度で測って作業するのではなく、手の感覚で仕上げていきます。地味な作業ですが“地道な繰り返しが菓子の美味しさに繋がっていく”と実感したのはその頃です。

 

 

3年ほどで一通りのポジションを担当し終え、菓子づくりをもっとより深く学びたいと思いフランス菓子の第一人者のお店で働けないかと連絡してみました。

ケーキ作りをしている人の中では、フランス菓子といえばここ、というような憧れの店でした。

しかし、求人があったわけでもなく、『今は人は足りているから雇えない。もし空きが出たら連絡するよ』と言われてしまい、連絡先だけを教えそのまま電話を切りました。

他に働きたい菓子屋がなかったので、”それなら今までとは違う新しい環境でチャレンジしてみよう”と思い、地元のレストランでデザートを作ったり、盛り付けを担当して1年ほど経った頃、オーナーの体調不良からお店をたたむ事になり、こうなったら海外でも行こうかなと考えていた時に1本の電話がかかってきました。

 

電話の相手は1年ほど前に連絡したシェフからでした。

『今何してるの?空きが出たんだけどどう?』

まさか連絡が来るとも思っていなくて二つ返事で『行きます。』と返答しました。

 

 

フランス菓子第一人者の有名店へ

第一人者と言われているだけあって、仕事に対する熱量は本当に狂気すら感じるものでした。もちろん失敗は許されないですし、仕事について行けなければ置いていかれる。常に緊張した空気感の中働いていました。

主要ポジションを任されるようになり思ったのは、ここでのレシピは至って”シンプル”。その代わりに、素材にはどこまでも手をかけていた事です。

例えば、アーモンドを挽いたり、コンフィを漬けたり、フォンダンやプラリネまで作っていました。多くのブランドは出来合いのものを仕入れるようなものまで、すべて素材から作りました。

”素材”というものに関心が向くきっかけとなったのはこの時かもしれません。

 

その店で5年ほど働いていく中で、フランス菓子を作っているのに、フランスに行ったこともなければフランス人と働いたこともない、というところにすごく違和感を感じていて、30歳目前だったこともありワーキングホリデーを利用してフランスへいく事に決めました。

とはいえ、フランス語の勉強も始めたばかりで、手紙とメールを30~40通ほど送りましたが返信をもらえたのはたったの3~4通でした。その中でついに決まったのがフランスのサヴォワ地方のMOF(フランス国家最優秀職人章)のお店です。

最初の数カ月は言葉が通じないことで苦労もありましたが、働いてみると言葉はわからなくても日本でやってきたことは十分に通用したし、むしろ日本人の方が丁寧な仕事するんじゃないかと思うこともあり、自信につながりました。

それでも、フランスの地方だからこそのフルーツや乳製品といった素材や、菓子だけにはとどまらない土地に合った料理など多くのことを学ぶことができました。

フランスの人は生活の中に”お菓子”という存在が溶け込んでいて、毎日買って食べたり、家族と一緒に過ごす時間には欠かせないものです。もはや習慣にまでなっている菓子文化や古くからある伝統がとても良いなと思いました。

また、フランス人の発想の自由さ、生き方の楽しみ方は日本人にないところでした。仕事が終われば昼からでもお酒を飲んで雑談したり、夏はバーベキュー、冬はスキーやスノーボードをして楽しんでいました。

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この後、日本に戻りMinimalの仲間になることになります。

続きは後編をご覧ください。

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