【“簡単” Minimal Flight の味わい方】Path/オーナーパティシエ 後藤裕一氏

2018.01.16 #Products

少し薄暗い店内に入ると、カウンター越しの厨房で料理人がきびきびと仕事をする様子が目に飛び込みます。いいお店には決まって、職人が真摯に働くことで生まれる気持ちのいい空気があります。

 

東京・富ヶ谷の人気のフレンチビストロ「Path」。 後藤裕一さんはフランスの三つ星名店メゾン・トロワグロ本店で4年間シェフパティシエを務めた後、帰国して「Path」を開業しました。 お店は朝から夜まで連日賑わいを見せる中、後藤さんにFlightの楽しみ方をお伺いしました。

 

カカオと砂糖だけで「材料」になるチョコレート。

 

今って食べ物が複雑化していますけど、Pathではシンプルな味つけのものが喜ばれたりするんですよ。何かを足して美味しくするというより、「何を美味しく感じさせたいか」だと思うんです。その美味しさを感じさせるために足していくのであればいいと思うんですけど。

 

Minimalは、カカオと砂糖だけという引き算でできているのにとても香りが豊かで個性的。カカオを活かしているから「材料」としての面白さがあるんですよね。 「ペアリング」って別々の食べ物を組み合わせることだと思うのですが、今回はコーヒーやお酒のプロフェッショナルが他にいらっしゃるので、パティシエの自分が飲み物の組み合わせをご提案するのもどうかなと思い、チョコレートを「材料」として扱ってペアリングを開発してみることにしました。

 

朝の優しいパンのお供。

 

FRUITY CITRIC(ボリビア)× アマニ油

 

僕は朝には、板チョコレートを「ガリッと」食べるというイメージより、もう少しソフトに「サクッと」軽めに味わいたいんですよね。そこで、パンに塗れる形がいいなと思い、5分くらいでできる簡単で使い勝手の良いチョコレートバターを考えました。

 

(レシピはページ下部に記載しております)

 

使い勝手も良くて固まりとして冷蔵保存ができ、パンに塗ると熱で溶けます。 朝のチョコレートには、FRUITYが一番いいと思います。酸味があることでより軽やかに楽しめます。 チョコレートとアマニ油が口の中でペアリングされて干し柿のような味わいも感じられるのですが、このことでチョコレートが「フルーツ」であることがより分かりやすくなったと思います。

 

チョコレートって、つくづくエネルギーになると思うんです。そして、オイルもエネルギーになりますよね。 今回はアマニ油と合わせて華やかさを出してみましたが、オリーブオイルなど他の種類と組み合わせても面白いと思いますよ。

 

昼は温めるだけのフルーツジュースにチョコレートを加える。

 

NUTTY ROASTY(ガーナ)×ホットアップルジュース

 

僕のお昼は営業中で、ランチを食べずにコーヒーで済ませてしまうことが多いのですが、同じように野菜ジュースをご飯代わりにする人も多いかなと思い、そのイメージで新しいランチを考えてみました。

 

エネルギーがしっかり充填できて、身体も温められるメニューということで、フルーツジュースを温めて、チョコレートを「スパイス」として足すレシピを作りました。今回はリンゴジュースですが、温めるだけなので作り方はとても簡単です。

 

(レシピはページ下部に記載しております)

 

ヨーロッパでは、冬になるとフルーツジュースを温めて飲みます。カフェの前に出店が並んだりして、冬の風物詩ですね。「ジュースを温める」という習慣はまだあまり日本にはないので、ぜひ皆さんに楽しんでもらえたらとも思っています。 NUTTYのナッツっぽさとフルーツがよく合いますよね。

 

夜に試してほしい簡単手作りデザート。

 

SAVORY FLORAL(コロンビア)×スフレ

 

夜は、卵一つから作れる「簡単チョコレートスフレ」をデザートとして考えてみました。 軽やかなスフレに、華やかなチョコレートを合わせたいと思って、SAVORYを選びました。香りで満足感を得られるので、夜にはぴったりだと思います。

 

(レシピはページ下部に記載しております)

 

チョコレートスフレってお酒を少し加えないと味が締まらないんですけど、SAVORYを混ぜると不思議だけどリキュールのような香りがあるからチョコレートだけで十分いけました。

 

だから、このスフレはお酒と合います。ウイスキーやラムやオレンジワインでも合うと思います。単にお酒と甘いものが合うという感じではなくて、チョコレートの発酵感がお酒とスフレの間を取り持ってくれるんですね。

 

僕は、できれば皆さんにデザートを家で作ってほしいなと思っています。 焼き菓子や生菓子であれば買ってきても変わらないのですが、デザートって作った瞬間が一番美味しく食べてもらえると思うんです。お家でこそ味わえる出来立ての楽しみもあると思いますので。 「お菓子」と「デザート」って違うんだな、って感じてほしいです。

 

今回のスフレでお酒を入れなくても味が締まるというのはMinimalのチョコレートならではですし、オイルとの組み合わせやフルーツジュースとの組み合わせのように「香りと香り」で楽しめるところは、他のチョコレートではできないところですよね。僕も新しい発見がいろいろありました。

 

変化に敏感に気づけること。

 

僕は自分のお店を、スタッフがそれぞれのステージで活躍できて「チーム」として動けるという形を目指しています。

 

飲食の仕事って日々のことですから、毎日状況が変わります。Minimalのカカオも農作物なので同じだと思うのですが、素材の変化や季節の変化、お客さんの体調などの変化、そういった中で喜ばれるものを提供し続けるためには、まず変化自体に敏感に気づけて、臨機応変に対応できないと難しいですよね。

 

スタッフに全ての変化を予測して教えることは出来ません。教わったことをやるのではなくお客さんにサービスをするプロとして、スタッフ1人1人が自分で気づき、その場で対応する力を求めたいんです。 僕もスタッフに注意をしたり指示をすることはあるんですけど、「教育」という感覚では捉えていません。

 

自分が厨房でやっていることは自分で「いいこと」だと思ってやっているので、周りのスタッフにも感じてもらいたいというのはあります。「気づいてなかった」ってことに気づいてほしいんですね。

 

僕自身は教えてくれる特定の師匠がいない上に“ビビリ”だったので、怒られないように人の顔色を伺って、一挙手一投足を見る癖がつきました。そうするとなんとなく「この人はこういうことをしてほしいんだろうな」とか「このシェフ、もうちょっと酸っぱい味付けにしたいんだろうな」とか、言葉は通じなくても感覚的に分かるようになりました。 僕らの仕事って、そういう部分がないといけないと思うんですよね。

 

●今回お伺いしたお店 「Path」

 

●今回登場したチョコレート

朝 / Morning FRUITY CITRIC(ボリビア) 焼きミカンのような風味

 

昼 / Lunch NUTTY ROASTY(ガーナ) 馴染み深いチョコレートの風味

 

夜 / Night SAVORY FLORAL(コロンビア) 白ブドウのような風味

 

●レシピ

 

朝の「チョコレートバター」

 

○用意するもの

チョコレート 20g

亜麻仁油  10g(チョコレートの半分量)

 

1 チョコレートを溶かす 弱火で湯煎してチョコレートを溶かす。

 

2 オイルを絡ませる 湯煎から上げて、オイルを加える。

 

3 冷やしながら混ぜる ボウルを氷水に浸けて、空気を含ませるように混ぜながら固める。

 

4 冷蔵庫に入れて冷ます チョコレートバターがペースト状になったところで、冷蔵庫に入れて冷ませば出来上がり。

 

昼の「ホットフルーツジュース」

 

○用意するもの

チョコレート   5g

アップルジュース 200g

 

1 ジュースを温める ジュースを沸騰する手前(80度くらい)まで温める。

 

2 チョコレートを溶かす 火にかけたまま、チョコレートを加えて溶かす。

 

3 グラスに注いで完成 漉しながらグラスにジュースを注いで完成。お好みでジンジャーやカカオマスを振りかけても美味しい。

 

夜の「簡単チョコレートスフレ」

 

○用意するもの ココット(耐熱カップ)2個分

チョコレート 20g

卵黄     1個分

グラニュー糖 30g

卵白    2個分

岩塩    少々

 

1 ココット(型)に砂糖をまぶす 耐熱ココットの内側にバター(分量外)を塗る。その上からグラニュー糖(分量外)を絡ませる。(バターの箇所だけにグラニュー糖が付着するので、残りのグラニュー糖は戻す)。ココットを冷凍庫で固める。

 

2 チョコレートをチーズおろし器で削る

 

3 メレンゲを泡立てる ボウルに卵白を用意し、砂糖を数回に分けて加え泡立てる。キッチンミキサーでもOK。

 

4 卵黄とチョコレートを混ぜる 別のボウルで卵黄とチョコレートを混ぜ合わせ、そこにメレンゲを加える。

 

5 ココットに流しこむ 冷凍庫に入れたココットを取り出し、4を縁まで注ぐ。ナイフで表面を整えると綺麗に仕上がる。隠し味に岩塩をまぶして味を引き締める。チョコレートをパウダー状に削って振りかける。

 

6 オーブンで10分間焼く 家庭用オーブンで200度にして10分焼いて完成。

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