フィリピン産カカオを使った新タブレットを、7月28日より販売開始します。
数量限定で1ヶ月程の販売を予定しており、オンラインショップでは本日より予約を開始しています。
大航海時代、マゼラン到達から始まったフィリピンのカカオ
フィリピンは私たちが発酵実験や、品質改善、農園開拓など、毎年訪れて試行を繰り返している産地のひとつです。
そんなフィリピンには実はもともとカカオがあったわけではなく、大航海時代にスペイン人の手によって持ち込まれたのが始まりでした。
そのスペイン人こそがマゼランで、1521年にアジアの航路開拓の中でフィリピンにたどり着き、カカオ発祥の地メキシコからカカオを持ち込んだと言われています。
メキシコ(正確には現在のメキシコ南部および中央アメリカのメソアメリカ)では紀元前1500年のオルメカ文明やマヤ文明でカカオの痕跡が見つかっていて圧倒的に長い歴史をもつのですが、一方で、カカオのイメージが強いアフリカは1800年代、メキシコから近い南米でも多くは1600年代から栽培が始まっています。
こう見ると1521年にカカオの栽培が始まったフィリピンは世界的にもかなり早かったことがおわかりになると思います。
アフリカ、アジアのカカオはこのように大航海時代以降の宗主国などによって持ち込まれたものですが、実は現在の世界のカカオの特徴の分布を知る上で、こういった歴史は重要な手がかりになっています。
ちなみにフィリピンは、領地化を進めるスペインと先住民との争いの中で、世界一周を前にしてマゼランが絶命した地でもあります。
マゼランが持ち込んだカカオは幻のカカオだった
ではマゼランはメキシコからどのようなカカオを持ち込んだのでしょうか?
カカオの分類は難しく諸説ありますが、当時のメキシコではクリオロという品種が多く栽培されていて、マゼランはクリオロを持ち込んだと思われます。
Minimalではカカオの多様な個性を引き出すことを大事にしているため、品種だけを重視することは無いのですが、一般的にクリオロは非常に香り高い一方で、病害に弱く生産性も悪い、希少な幻のカカオといった扱いを受けています。
マゼランがフィリピンに持ち込んだカカオはその後、インドネシア、マレーシアなどに伝播しましたが、宗主国の変遷により別のカカオが持ち込まれたり、生産性優先の判断により別のタフな品種に植え替えられたりして、クリオロはほぼ見ることのない状態になりました。
ではフィリピンでもクリオロが消えたかというとそうではありません。
明確な分類は難しいのですが、実際にフィリピンで産地を巡ると、平地でも山間部でも、また山を超えても川を超えても、まさにクリオロらしいまろやかでクセのないカカオを共通で発見することが出来ます。また複数の山奥では自生のクリオロが発見されたりと、まさに今探索と栽培の実験が行われています。
テロワール、気候、土着の酵母菌など様々な要素が絡み合って風味がつくりあげられますが、品種も重要なそのひとつで、フィリピンでまろやかなカカオを食べていると、ひょっとしたらマゼランがメキシコから持ち込んだカカオの子孫を500年の歳月を経て今、食べているのかなと、歴史をトリップしているような気分になります。
マゼラン時代からの系譜、フィリピンのカカオを使った高濃度のチョコレートを開発
今回新たに開発したチョコレートは深煎りで高カカオ濃度(90%)ですが、心地よい芳ばしさを楽しめる、ローストしたピーナッツのような風味に仕上がっていて、フィリピンのまろやかなカカオだからこそ作れたレシピになっています。
大航海時代の歴史が500年を経て、今、口に入るチョコレートの風味を生み出していると思うとちょっとした感慨深さを感じていただけるのではないでしょうか。
Minimalではこれからもフィリピンをはじめ、世界の様々なカカオを探求してお伝えしていきたいと思います。
ぜひフィリピンのカカオからおつくりしたチョコレートをご賞味ください。
□SEASONAL フィリピン
2018.7.28から各店舗で販売を開始いたします。数量限定・無くなり次第終了となりますので、ぜひお早めにお試しください。
オンラインショップは本日より先行でご予約をお受けします。(ご指定がない場合には、7/28にお届けいたします。お届け日指定は、7/28以降でお願いいたします)
「SEASONAL フィリピン」
カカオ産地:フィリピン
カカオ割合:90% NOTE:ローストピーナッツのような芳ばしい風味
販売価格:1,512円(税込)※ラインナップ改定に伴い価格を変更しました
数量限定、無くなり次第終了(1ヶ月程度を予定しています)