メンバーシッププログラム「Minimal Collective」は、1年の活動報告として、Impactレポートを毎年お届けしています。
Minimalのチョコレート造りは「チョコレートを新しくする」旅です。
上質なカカオ豆をつくるために、パートナーである生産者と、切磋琢磨しながら共にさらなる品質の向上を目指します。
製造者であるMinimalは日夜真剣に素材と向き合い、妥協やごまかしのない、美味しいチョコレートを造ります。
そして、お客さまにそのチョコレートを自由に愉しんでいただき、ライフスタイルに彩りを添える”新しい文化”を一緒に創っていきたいと考えています。
10周年という節目もあったこの1年。
Minimalの歩みをご報告いたします。長くなりますが、ぜひご覧ください!
▼目次
・代表・山下より、1年を振り返って
・カカオ豆の仕入れ構造改革と、国産カカオの新たな挑戦について
・パティシエ・ショコラティエチーム座談会「変わる工房、変わらない"カカオファースト"」
・新社員×代表座談会「社員の伸びしろが、Minimalというブランドの成長源」
・店舗チーム座談会「お客さまが喜んでくれるスイッチを、僕たちで押しにいく」
・全国のMinimalが買える・食べられる店MAP
代表・山下より、1年を振り返って
2014年12月1日に富ヶ谷本店がオープンして今年で11年を迎えることができました。
皆さまの日頃からのご愛顧に心から御礼を申し上げます。本当にありがとうございます。
この1年間は10周年イヤーということもあり、多くのイベントや施策を行いました。
まず一番の思い出としては、ちょうど1年前に開催した10周年パーティーです。多くの皆さまにお越しいただき、直接お話ができて感謝を伝えることができた夢のような時間でした。
その後は各店で周年記念商品を発売したり、多くの接点をお客さまともてたことを心から嬉しく思います。
個人的には、10周年特別サイトと、Minimal 10th ANNIVERSARY MAGAZINEの発売はとても印象に残っております。

10年の歩みを自らの視点・お客さまの視点・スタッフの視点など様々な視点から改めて見つめて、言語化できたことはとても大きなことでした。Anniversary Magazineは販売もしていますので、ぜひご覧いただければ幸いです。
今年の6月には、MinimalのメンバーシッププログラムであるMinimal CollectiveのImpact6の方々をお招きするデセールコースを行いました。

過去最大人数のお客さまにご参加いただき、盛況な会となりました。
毎年このためにゼロからオリジナルコースをシェフと作り上げるこの機会は社内でも大きなイベントとなっており、スタッフ総出で準備し、緊張する機会でしたが、大変ありがたいことにお客さまのご感想も楽しんでいただけたようで、ホッとしております。
11周年のコースも気持ちを込めてゼロから特別なコースを開発します。
さて、少し話は変わりますが、2024年から続くカカオ豆の高騰は依然として続いております。
私たちも他社さんも2026年シーズンの豆は2025年前半の価格で購入したため、来年のバレンタインシーズンは少し高価格帯チョコレートが続く見通しです。
とても申し訳ないですが、その価格に見合った価値を出せるように魅力的な商品開発に全力を尽くします。
一方で2025年後半からはカカオ豆の価格が少し価格が下落傾向にあり、以前のような高い水準からは落ち着きを見せております。
私たちがカカオ豆を購入する2026年前半はどうなることかとそわそわしながら、相場を見つめております。
相場ベースがここまで上がると私たちのフェアトレード価格にも影響があります。
カカオ豆の品質に対する正当な値付けというよりは、相場ベースより高く買うことが目的になってしまうという懸念があります。
10年間コツコツとやってきたカカオ農家との取り組みが全て覆されてしまうということもあり、とても苦労している2年間です。
しかし、相場の高騰は農家の収入を増やすという面では決して悪いことでないので、自分たちのビジネスと言う面と上手くバランスを取りながら、農家さんと一緒にお客さまに美味しいチョコレートを届けられるように努力していきたいと話しております。
2026年シーズンは、何といってもボンボンショコラをたくさん開発します。
チョコレート専門店としては、チョコレート商品で、最後の大きなカテゴリーともいえるボンボンショコラにチャレンジするのはとてもワクワクしております。
今回はMinimalで活躍している4名のシェフ陣がそれぞれ4種類、計16種類の新しいボンボンショコラを送り出す予定です。

やるならとことんということで、なんと、この16種類にシングルオリジン8種類の加えて新作が24種類登場しますので、ぜひぜひお楽しみに。
そして、来年春ごろには久しぶりに新店舗を開店する予定もあります。場所は東京です。こちらも現在詳細を詰めておりますので、もう少ししたら皆さまに情報をお届けできると思います。
過去も現在も、そしてこれからの未来も、皆さまに楽しんでいただけるように更なる挑戦と美味しいカカオの探求を続けていきたいと思います。引き続き宜しくお願い申し上げます。
カカオ豆の仕入れ構造改革と、国産カカオの新たな挑戦について
カカオ豆高騰による影響と現状
2024年に世界を騒がせたカカオ豆の歴史的な価格高騰で、カカオ豆の仕入れの状況が一変しました。
ご多分に漏れずMinimalもその影響を大きく受けました。
ネガティブな影響としては、買付価格の高騰です。フェアトレードで買っているのですが、そのベース価格の市場価格の急騰によって、一部の産地は私たちの買付価格を超えてしまうこともありました。
そして、価格高騰と共に起こったことが産地の豆の取り合いです。
価格高騰の最も大きな原因が供給量不足ということもあり、全世界の産地でカカオ豆の取り合いが起こりました。
2025年を振り返ってみると、実は価格上昇よりもこちらの方がMinimalには影響が大きかったかもしれません。
一番ショックだったのは、創業以来10年間ほど取引が続いたフィリピンの仕入れ先との取引がなくなったことです。
市場価格が歴史上最高値を記録した際に、残念ながらその農園さんが他社に売ってしまったため、私たちは買付をすることができませんでした。
一方で、悪いことの中にポジティブに捉えらえることもありました。
それは、従来の仕入れ先が減った事で、新しい産地を開拓することに積極的に動いたことです。
これまで取引が無かった農園に積極的にコンタクトをした年になりました。
例を上げると、これまで取引をしていた農園と違う農園からサンプルを取り寄せた国としてタイ、インドネシア、フィリピン、バヌアツ、コスタリカ、ドミニカ共和国、ベリーズ、キューバ、ホンジュラス、エクアドル、ブラジル、サントメ、ウガンダと多岐にわたります。
実際には品質的にMinimalの基準では不採用の豆が大半で、なかなか取引には達していないですが、中にはしっかりと取引が始まった先もあります。
数えてみると、一年間でのサンプルは40件を超え、その中での採用率は5%となりました。改めて私たちが求めている品質水準に達するものは世の中にとても少ないと感じます。
創業から10年でMinimalとして確固たる品質基準が固まっているとも言えますが、なかなか厳しい基準でカカオ豆を買付していることを改めて認識する機会ともなりました。
40件を超える農園や産地の人々とやり取りをしたことはなかなかの大仕事でした。
こういったやり取りを含めて、カカオ買付を初めて10年間の中で一番大きな変化があった年の一つとも言えます。

沖縄の自社研究農園の閉園
さらに産地や農園ということでは、大きな変化がもう一つありました。それは沖縄の自社農園を閉園するとの意思決定をしたことです。
2021年の開園から約5年間の取り組みをこのタイミングで区切りをつけます。理由は、実は農園側の地主さんの事情が一番大きいです。
ただ、カカオ栽培のノウハウを十分に積み上げることができたことで一定の成果は得られたこと、そして、まだ発表はできないですが、国内かつ関東で栽培を続けていく新しい農園との話が進んでおり、より近距離で栽培をすることができる可能性ができたことも今回の決断を後押ししています。
もともと自社農園は、カカオ農家さんへのより良い情報提供をしていくために自社で栽培ノウハウを蓄積する目的と国産カカオへの憧れ・夢から始まったもので、2023年に国産カカオ栽培を成功させることができたことを含めて、沖縄の自社農園に大きな感謝をしたいと思います。
国産カカオに関しては、今後も自社として取り組んでいきますので、ぜひ今後の展開にもご期待ください。
パティシエ・ショコラティエチーム座談会「変わる工房、変わらない"カカオ・ファースト"」
奥野:祖師ヶ谷大蔵工房シェフ(写真右)
増田:経堂工房ショコラティエ(写真中央)
吉田:製造部門リーダー・執行役員(写真左)

おそらくBean to Barでは日本一のカカオ取扱量!
――この1年の製造部門の進化を教えてください
増田
本社オフィスと統合して新工房(板チョコレート工房)を構えて1年が経ちました。製造機材も格段に増え、「量」と「質」を高める挑戦が始まった1年だったと思います。チームメンバーが多国籍になったのも大きな変化ですね。
奥野
祖師ヶ谷大蔵工房(パティスリー)も、生菓子を安定して量をつくれるようになったことは進化です。
生鮮食品を扱うためフルーツなど素材の農家さんとの繋がりも増え、生産現場に見学に行かせていただく機会も増えました。現地でフルーツをいかに1個1個をていねいに育てているかを目にすると、この素材の美味しさをダイレクトに伝えたいという気持ちになりますね。
吉田
工房で製造できる量が増えたことでカカオ豆の取扱量も格段に増えていて、Bean to Barメーカーではおそらく日本一のカカオ輸入量だと思います。
それだけカカオ生産者に貢献できているということであり、お客さまとの接点もたくさん増やせているということでもありますので、大きなインパクトだと捉えています。その広がりが明確に見えてきた1年でした。

「手仕事」で「量をつくる」というテーマ
――量と質を両立する取り組みについて教えてください
奥野
Minimalは「手仕事」と「量をつくる」ことの両立というテーマも掲げていますので、まず職人ひとりひとりの技術力の底上げが大事です。OJTの指導はもちろん、毎日「振り返りシート」を各自が書き、製造上の細かな課題や解決点を共有し続けている蓄積は大きいですね。
増田
チームでの学び合いはMinimalの文化ですよね。チョコレート生地をつくる職人は、やっぱり毎回のカカオの風味をしっかり取れるかということが大事なので、入社すると必ずみんなチョコレートのテイスティング(風味評価)を自発的にやります。
吉田
量と質を両立させるとき、機材の容量を2倍にする方法もあると思うのですが、Minimalでは機材を2回多く動かす方法でクオリティをキープしています。そのためには職人の技術が大事ですね。
増田
Minimalのチョコレート生地はカカオを粗挽きにしたり、余計なものを加えたりしない製法のため、硬いというかちょっと特殊です。
たとえばテンパリングの具合や厚さの調整も毎回変わるため、機材の容量を増やして対応することが難しいんですね。一方で新たな機材によって表現できる幅が広がる嬉しさもあります。今年でいうと、チョコレートを上掛けする機材を導入し、チョコレートの上にチョコレートを二重掛けしたり、クッキーにチョコレート掛けをする表現も始めました。

カカオを使うことで新たな可能性があるんじゃないか?
――Minimalのものづくりの特徴は、どこにあると思いますか?
増田
カカオからチョコレートをつくり、そこからスイーツをつくるところですね。商品開発をカカオから組み立てられることで、Minimal独自のスイーツを生み出せていると思います。最終品のスイーツのために逆算するようにカカオのブレンドや焙煎から調整して味をつくれるというのは、なかなか他では難しいことかなと。
吉田
そうですね。僕は「カカオ・ファースト」の姿勢が徹底されているのが、もうすべてかなと感じています。そこがMinimalの根幹であり、コアコンピタンスなんですね。製造量がどれだけ増えても、カカオ・ファーストが一切崩れないのは、Minimalの強みだと思います。
奥野
カカオの味わいはその年によって変わるので、その変化をみんなでちゃんと見て、ついていこうとするのはありますよね。あと、商品開発で言えば、季節限定のガトーショコラはわりと同じフルーツを使うことが多いのですが、毎年ブラッシュアップして新しくしていこうとするこだわりがあります。

吉田
チョコレート屋なので基本的に「商品には全部チョコレートを使う」という縛りも大きいかもしれません。一般的にはチョコレートを使わないような商品でも、カカオを使うことで新たな可能性があるんじゃないか?と発想することで、新しいものを生み出せているところはあると思います。
あと、個人的には「ペアリング」ということが社内的に浸透しているのも大きいと思っていまして。
「こういうカカオの風味には、こういうドリンクの風味が合う」という共通言語があることで、たとえば季節のフルーツでも、この香りのチョコレートと合わせようとか、こういう調理があるといったことがみんなパッとわかるというのは、ちょっとほかにはないカルチャーかもしれません。
チョコレートの野心的な実験をどんどんやっている
――この1年、現場で難しかった課題にどう向き合ってきましたか?
増田
難しい課題は、毎日何かしら起きているんですよね(笑)。
たとえば、テンパリングの温度帯はみんなで相談しながら探るのですが、生地の水分量が少しでも違えば同じ温度でやってもちゃんとできなかったり、カカオ豆のパッチが変わればまた全然変わったりします。Minimalならではの悩みかもしれません(笑)。そうなるとチームメンバーのコミュニケーションがより大事になってきますね。
奥野
難しかったことで言えば、先ほどの「手仕事で量産」の話にもなるのですが、チョコレートクッキー缶の製造は特に、焼き窯に一度に入る量や工程の順番から職人の配置までパズルのように考えるべきことが多く、日々改善と工夫を繰り返した1年でした。おかげさまで大変好評をいただくアイテムに育ち、累計で13万枚を焼き切りました(笑)。
――製造チームとして、これから取り組みたいことはありますか?
奥野
Minimalは、板チョコレートでICA(インターナショナル・チョコレート・アワード)で金賞受賞を果たし、世界的にも高く評価されているので、ケーキやスイーツの世界でもアワードに挑戦したいという野望はありますね。これは次の1年というより、少し長いスパンの話にはなりそうですけど。
増田
この1年で若いメンバーや外国の方が新しく入ってきてくれて、私もそうなのですが、製菓学校の出身ではない人も増えているので、「チョコレートはこうしなきゃいけない」という固定観念を超えた新しい発想がどんどん生まれてきたら嬉しいなと思っています。エンジニアリングディレクターの朝日も、野心的な実験をどんどんやっているので、これからの1年も今までにないMinimalの新しいチョコレートが生まれてくるんじゃないかな!と思っています。
チーム全員、カカオの奴隷!?
――Minimalの職人チームは一言でいうと、どんなチームだと思いますか?
吉田
僕らはもう全員、「カカオの奴隷」だと思っていまして(笑)。カカオの仰せの通りに働いているわけです。その上で、玄人っぽさと素人っぽさの振れ幅が大きいチームでありたいなと思っています。どういうことかと言うと、カカオ・ファーストで発酵や焙煎まで含めて製法を深掘るところはプロフェッショナルとして毎年進化させていく一方で、最終的にお客さまの口に届くところは変にストイックになりすぎず、Minimalらしいチョコレートの美味しさを柔軟に素人っぽい発想も持ってお届けしたいと思っています。
増田
製造チームはちょっと変な人たちが多いので(笑)、これからも個性豊かなものができることをご期待いただけたら嬉しいです。

新社員×代表座談会「社員の伸びしろが、Minimalというブランドの成長源」
座談会メンバー
・山下:代表(写真右)
・木村:富ヶ谷本店・店長(写真左)
・多田:経堂工房・ショコラティエ(写真中央左)
・西村:経堂工房・ショコラティエ(写真中央右)

毎日こんなに楽しくていいんだろうか!?
山下
Minimalの新社員になってくれた3人とお話をしていきたいと思います。皆さん、アルバイトとして働き始めて「社員昇格」という形で入社してくれました。まずは正社員昇格おめでとうございます!最初に、Minimalで働き出したころの話を聞かせてください。
木村
私は最初から富ヶ谷本店の配属でした。実際に入ってみた印象は、お客さんとして外から見ていた以上にめちゃくちゃフレンドリーな雰囲気で(笑)。メンバーのキャラクターも個性的で、すぐに受け入れてもらえました。
木村
仕事ではカウンターでお客さまと、板チョコレートの試食などを通してたくさん喋る機会があるのが楽しかったですね。目の前でチョコレートを食べて共感いただけることが嬉しくて、毎日こんなに楽しくていいんだろうか!?と思って過ごしていました(笑)。そのうち、フロント販売の業務だけじゃなくキッチン業務も増えてきて、もうちょっと深く踏み込んで働きたいなと思うようになりました。
山下
アルバイトで見えている世界から、自分から変化しようと思い始めたんですね。
木村
ちょうどスタッフの異動などもあったタイミングで「店長をやってみないか」とお話をいただきまして。でも私はそういうタイプじゃないので迷ったのですが、社内のサポートもあり、周りのメンバーにも支えられて、頑張ってみようと思い、まずは店長代理として引き受けました。

この会社の雰囲気は私に合う!
山下
多田ちゃんはどうでした?
多田
私が工房で働き始めたのは8月でした。チョコレート業界では真夏は閑散期に当たるのですが、すぐに冬に向けて繁忙期に入りました。なので、私のあとにどんどん新人が増えてきたんですね。私も入ったばかりなのに、後輩にいろいろ聞かれるようになって(笑)。
最初はシーリング(商品封入作業)をやっていましたが、どんどん押し出されるように次の業務に移ることになり、すぐにチョコレート生地作りもやらせてもらいました。
山下
Minimalらしいスタートアップ気質のエピソードですね(笑)。
多田
製菓学校に通いながら週3日の勤務でしたが、毎回いろいろな仕事を触らせてもらえてすごく楽しかったです。
繁忙期が忙しいのはたしかですけど、工房ではみんな楽しそうに仕事をしていて、それが意外でした。製菓業界って現場は殺伐としがちと聞いていたので……。
山下
そのイメージでよく業界に入ろうと思ったね(笑)。
多田
イメージと違い、工房メンバーの空気が明るくて楽しそうだったんですよね。「今日はここまでやるぞ!」みたいな感じでみんなで気合い入れて前向きな雰囲気がありました。
働いている人たちも面白い人が多くて、「あ、この会社の雰囲気は私に合う!」と直感的に思いました。だんだん他のスタッフに指示する機会も増えるにつれて、アルバイト業務ができる範囲の狭さを感じてきたタイミングで「社員にならないか」とお声がけをいただきました。

こんなにフレンドリーに楽しく働けるお菓子屋さんあるんだ!
西村
僕は工房に入ったとき、念願の男手だったので(笑)、力仕事を含めていろいろな仕事を任せてもらえました。
僕は専門学校を卒業してから他社のケーキ屋さんに勤めているので、多田さんが言っていた一般の製菓業界とのギャップというのはよくわかります。こんなにフレンドリーに楽しく働けるお菓子屋さんあるんだ!というのがまず第一印象です。
山下
これ、僕は言わせてませんからね!(笑)
西村
定期的に全社員が集まる社内勉強会があるのですが、ビジネスチームの皆さんなどすごくキャラが濃い人も多くて、「なんだこの会社は!」と衝撃を受け、面白い会社だな!と思って働き始めました。それで、いろいろ仕事を任されていくうちに、社員になることを考え始めました。
山下
Minimalのスタッフは社員や働き方に多様性があるんですよね。
西村
そういえば僕、アルバイト面接のとき金髪でした(笑)。
山下
清潔感があって、TPOを外してなければ、髪色も服装もうちはほんと自由だよね。

準備ができたタイミングで“入学”方式
山下
ここからはアルバイトから正社員になって変化したことを聞いてみたいです。
Minimalの正社員登用の考え方を説明しておくと、「入学」方式なんですね。完全に社員としての能力が足りたからアルバイトを「卒業」するではなく、準備ができたタイミングで「入学」。
だから、最初の1〜2年は求められている内容に対してギャップが生まれるんですね。すぐにできなくて当然なんです。でもここで踏ん張って「谷」を乗り越えてほしくて、そうすると違うステージに行けているんですよね。
この期間が一番「変化率」のある時期だと思うので、どんなふうに乗り越えてきたのか振り返ってもらえると嬉しいです。
木村
私は多田さんとは逆のパターンで、自分の後にずっと新しい人が入ってこなくて、ルーキーのままぬくぬくと過ごしてきまして(笑)。
山下
大物ルーキーが満を持してリーダーになった!(笑)
木村
はい(笑)。
人に仕事を教えることは意外と苦ではなくて、一緒に成長する時期だと捉えていました。
ただ、店長として私が全体を見て店舗を回すのは、いろんな人に助けてもらいながら、てんやわんやという感じでしたね。
山下
今はだいぶ安定感というか余裕が出てきた感じがしますね。店舗の忙しさは以前と何も変わっていないから、きむちゃん(木村)の能力が飛躍的に上がった証拠なんですよね。これが成長ですよね。
木村
アルバイトのときは1個の業務にすごい時間をかけていたのが、今だと計画的に動けるようになりました。そこはもう全然変わりましたね。
山下
すごい努力してたからね。自分の時間を使って適切に苦労したことは、必ず自分の力になるんですよね。
社員になった瞬間に能力が上がるかのように思っている人も多いんですけど、会社から期待される仕事に、本人がやる気を持って前に進んだから乗り越えられたんだと思うんです。だから今日は皆さんもっと自分を褒めてあげてほしいです(笑)。

周りからリーダーと認められた人が“リーダー”
多田
私が社員になって一番変わったのは、サンプル作りや商品開発に携わる機会が増えたことですね。
あとは、先々の製造予定を見られる環境になったので、自分が先のことを見て働きたいタイプなこともあり、すごく働きやすくなりました。人に何か教えたり、誰かの面倒を見ながら全体を見て動いてスケジュールを立てるといったことが苦にならないタイプなのだとも気づきました。
西村
僕が社員になってみて一番驚いたのは、想像以上に仕事を一気に任せてもらえたことです。前職のケーキ屋さんではある程度成長したら次みたいな感じでステップアップしていたので。そしてもっと驚いたのが、さっそく商品開発に携わらせてもらえたことです。もっと上層部の人がやるイメージだったので、そこまでやらせてもらえるんだ!と。もちろん責任があるので、難しく大変なところでもあるんですけど、楽しんでやれていると思います。

山下
皆さんのお話を聞いていて、これは僕の学びなんですけど、リーダーとは何かというと「周りからリーダーと認められた人」なんですよね。一人一人に「信頼貯金」というのがあって、日々のパフォーマンスの中で貯まっていくんですね。
信頼貯金があれば、「これをやりたい」と言ったときに「貯金おろしていいよ」となるんです。お金と違うのは、おろしても減らないんです。たとえ失敗しても、それで減るとは限らないんです。失敗した後のほうが大事で、「次はこうします」とか「こういうふうに助けてくれてありがとう」とリカバリーできると、減らないどころか増えることだってあるんです。僕は同じ会社で長く働くことの利点はそこにあると思っています。
いろいろな大きなことを任されるのが、他の会社との大きな違い
山下
最後に、これからの目標や思いを聞いてみたいです。
木村
私は富ヶ谷本店から「板チョコレートを盛り上げていきたい!」というのがまずあるんですけど、一緒に働いてくださるスタッフにはなるべく楽しくみんなが活躍できる場を作ってあげたいと思っています。未熟なリーダーなのに、上から目線ですみません(苦笑)。
山下
もっと自分を褒めてあげて(笑)。
木村
はい(笑)。富ヶ谷は近隣のお店との横のつながりも多いので、「Bean to Bar」や「スペシャルティ」の世界を盛り上げていきたいです!
多田
私はやっぱりMinimalの雰囲気が好きなので、工房はワイワイキャッキャしながら、全員がうまく働けて回るようにといつも考えています!
西村
僕はチョコレートが大好きでこの業界に入っているので、やっぱり好きなことをやれている時間は楽しくモチベーションを保てていると感じています。これから繁忙期にさしかかるのでより気が引き締まるところはありますが、楽しむところは楽しんでメリハリを持って仕事をしていきたいと思います。
山下
今日は3人のキャラの違いを感じながらお話を聞かせてもらえて、頼もしく感じました。ぜひこれから、他の人たちの憧れのような存在になってほしいです。
あと、会社でいろいろな大きなことを任されるのが他の会社との大きな違いであり、Minimalの文化だと思うので、チャンスはたくさんあると思います。
皆さんの伸びしろこそがMinimalというブランドの成長源だと思っています。ぜひ信頼貯金を貯めながら、やりたいことがやれる環境をデザインし、お客さまにさらなる価値を提供できるように頑張っていきましょう。今日はどうもありがとうございました!

店舗チーム座談会「お客さまが喜んでくれるスイッチを、僕たちで押しにいく」
荻野:店舗統括マネージャー/麻布台ヒルズ店店長(写真右)
力武:代々木上原店・祖師ヶ谷大蔵店店長(写真左)

チョコレート種類が倍増!
――この1年の店舗の進化を教えてください
荻野
この1年は、ちょうど「Minimal10周年」に当たることもあり、改めて店舗ならではの「体験」を進化させようと力を入れた1年でした。
創業の地である富ヶ谷本店は「板チョコレート専門店」という立ち位置を強化するため、取り扱うチョコレートの種類を2倍に増やして「食べ比べ体験」をよりリッチなものに進化させました。
麻布台ヒルズ店は、コースメニューとアフタヌーンティーのメニューを、去年の夏から季節ごとにガラッと変え、毎回「驚きのある新作」を開発してきました。
カウンター席の90分コースでゆっくり召し上がっていただくスタイルのため、スタッフの立ち居振る舞いやコミュニケーションのスキルアップを研究して取り組んできました。店舗ならではの体験をより深められた1年だったと思います。
力武
祖師ヶ谷大蔵店も、「Minimalらしい体験」が進化した1年でした。Minimalらしさについて改めて考える中で、たとえば素材や製法のこだわりをお話しするなど付加価値をしっかりお伝えする接客スタイルにあるのではないかと再認識しました。
祖師ヶ谷大蔵店は地域密着型の「パティスリー」として、「店員から話しかけるケーキ屋さん」を目標に掲げています。Minimalではよく「情報を食べる」と表現するのですが、背景情報を知っていただくことで、美味しさの体験が大きく変わると実感しています。
代々木上原店も店舗体験の考え方は共通ですが、「ガトーショコラ専門店」として進化するために、特に「ペアリング」開発に力を入れた1年でした。
個々のガトーショコラに合うドリンクをテイスティングしてご提案させていただいているのですが、新たなコーヒーの銘柄やお酒などをスタッフが中心になって見つけてくる体制ができ、ペアリングの質が上がっています。
お客さまがご来店いただいたからこその特別な体験を毎回ご用意したいと考えています。

店舗スタッフは、ストーリーテラー
――「接客」で体験価値を上げる取り組みを教えてください
荻野
スタッフと一緒に取り組んでいるのが「ストーリーテラー」という意識付けです。
たとえば富ヶ谷本店ではご来店目的がギフトだったりイートインのスイーツやドリンクだったりするのですが、まずチョコレートを試食する体験を経ていただきたいと考えています。
そこで「Wow!」というカカオの違いの驚きや喜びを体感していただき、その起点から会話を広げられるストーリーを作りたいと取り組んでいます。
麻布台ヒルズ店では今まで以上にホスピタリティの意識を高める取り組みをしています。
コースメニューの説明だけでなく、お客さまの興味のある会話をするように心がけ、お客さまとの距離感によっては話しすぎないようにすることも大事だったり、毎回毎回スタッフ間でフィードバックしながら擦り合わせています。
海外からいらっしゃるお客さまも多いので、英語でも躊躇なく会話できるトレーニングを積んでいます。いかにお店での体験を総合的にご満足いただけるかを試行錯誤し続けた1年でした。
――この1年で難しかったことや乗り越えたことはありましたか?
力武
乗り越えたことで言うと、祖師ヶ谷大蔵店はケーキ類など生菓子のご好評をいただいているのですが、フィナンシェやクッキーのような「焼き菓子」もものすごく美味しいので、ぜひもっと知っていただきたくて、焼き菓子を「この街の定番品」にしていきたいと取り組んでいます。
以前はフィナンシェをレジ横に置いていましたが、もっと目につくレイアウトを探り、店舗の真ん中にテーブルを置いて並べてみました。
しかしそうするとかなり山盛りにしないとアピールとして届かないことに気づき、新たに小分けしたパッケージを開発して種類や物量を増やしてみました。
さらにギフト用の巾着を乗せてみようとか、写真付きで大きく打ち出してみようとかあれこれ試行錯誤しながら、お客さまがご来店いただいたときの「選ぶ楽しさ」を少しでも増やしたいとトライした1年でした。
荻野
僕はあえて難しかったことで言うと、麻布台ヒルズ店のコースメニュー開発にはいつも苦心しています。
去年の秋のコースメニューは「カカオの焙煎」をテーマに開発したのですが、マニアックすぎたというか尖りすぎていたのか、少し間口を狭めすぎたのかなとも感じています。
今年は「秋の味覚」を楽しむという王道のテーマで、季節の栗やさつまいもを使ったメニューを開発しました。他にはない驚きのあるメニューでありながら、素材や産地のこだわりやカカオの楽しみ方などもお伝えもでき、Minimalならではの食べ比べ体験と面白さのあるバランスを見つけられてきたかなと感じています。

120点で渡していこう!
――店舗チームとして、これからも大切にしていきたいことはありますか?
荻野
店舗はスタッフのチームワークが本当に大事なので、みんなの意見を積み上げていくことを意識しています。メニューづくりやペアリングをスタッフと一緒に取り組むのもその一環ですね。
力武
僕は、店舗の価値って「このお店に来てよかった」と思っていただけるかという一点に尽きると思っています。それは接客だったり、商品だったり、体験だったりすると思うのですが、いかにお客さまのことを思って「まだ自分たちにできることはないか」と考え続けることだと感じています。
荻野
そうですね。「また来たいと思ってもらえる接客」はチーム全員で考え続けていますね。スタッフがみんなで自由に考えながらやっていくところはMinimalのカルチャーだと思いますし、「お客さまが喜んでくれるスイッチを僕たちで押しにいく」ことは特に意識している点です。
力武
Minimalの商品は、工房のみんなが毎日一生懸命つくってくれていることは分かっているので、それを最後に手渡すのが店舗である僕たちの役割なんですね。「何点で渡せるか」ということにはこだわり続けたいですし、「120点で渡していこう!」といつもみんなで話しています。
荻野
Minimalはカカオ産地に直接足を運んで、自分たちでカカオ豆の仕入れから手がけているので、店舗にたどり着くまでに長い旅を経ているんですよね。
現地の農家さんにフェアトレード以上の対価を支払いながら長い関係を築き、ハイクオリティなチョコレートで新しい体験を届けてお客さまもハッピーにするという、この循環に「MinimalのDNA」があると思います。
店舗はその最前線というかラストマイルであるという意識は、スタッフとしてこれからも大切にしたいですね。

★全国のMinimalが買える・食べられる店MAP
Minimalのチョコレートは直営店舗・オンラインストア・催事だけでなく、様々なお店でお取り扱いいただいています。全国でMinimalのお取り扱いがある店舗・レストランをまとめました。ぜひお近くに行かれる際は、覗いてみてください。
Minimalが買える・食べられるお店一覧