Minimalのチョコレートをカフェなどのお店でご提供いただいたり、製菓材料としてお使いいただいているパティスリーが全国にたくさんあります。
お店を訪ね、そのお店のこだわりや、Minimalのチョコレートで作るスイーツの裏話などを伺う本連載。
第2回は、千葉県松戸市に店舗を構える「パティスリー ハヤトヤマダ」。
オーナーパティシエである山田隼人さんは、ザ・ペニンシュラのパティシエを経て独立開業。ジャパンケーキショーや内海杯など、国内コンクールに多数入賞されています。
Minimalのチョコレートは、焼き菓子の「松戸ショコラ」や、ボンボンショコラにお使いいただいています。
5つ星ホテルの部門シェフなどを経て、独立開業
――開業までの山田さんの歩みを聞かせてください
山田さん
製菓学校を出て、東京・荻窪のパティスリーや洋菓子店クリオロでお世話になり、日比谷の「ザ・ペニンシュラ東京」開業を機にシェフ・ド・パルティ(部門シェフ)からスーシェフ、ペストリーシェフを歴任して10年働きました。そこでもうありとあらゆることを経験しましたね。イレギュラーなことが起きるのは日常茶飯事でしたので、それが今も活きていますね。トラブルが起きても動じないと言いますか(笑)。
――お店の立地に、松戸市を選ばれたのはなぜでしたか?
山田さん
自宅から近くの立地で探していました。奥さんと息子たちも土地に馴染んでいたので引っ越す選択肢はなかったですし、自分も電車に乗って通勤する場所は避けたいなと。
20年くらい東京で仕事をしてましたけど、もうあまり執着はなかったですね。お店を構えてみて、結果的にいい土地柄でした。皆さん、優しい方が多いと言いますか、あまりせかせかしていない雰囲気があって。
シンプルなお菓子をていねいに
――お菓子作りのこだわりを教えていただけますか
山田さん
僕は、シンプルなお菓子をていねいに作っています。「このへんにはないお菓子をやろう」とはずっと思っていて、ケーキもボンボンショコラも焼き菓子も、東京に出しても恥ずかしくないようなお菓子というのはこだわっていますね。
シンプルに作って美味しくならないとやっぱりダメなのかなとは思います。食べた時に何も考えずに美味しい、というお菓子作りをずっとやっています。そのためにはちゃんとした工程を組まないとできないんですね。
――店内も商品も、地域に根付いている雰囲気がありますよね。
山田さん
ありがたいです。この土地ならではという部分もあると思います。ファミリー層のお客様が多いので、たとえばリキュールをそんなに使用できないとか、スパイス系をそこまで前面に出せないとか葛藤がなくもないのですが、味としては多くの人に愛されるように、安っぽくないようにしたいと思っています。
材料の質を落としたくないという思いは強いので、周囲のお店よりは高い価格帯になると思うのですが、「ご褒美」や「贅沢したい」というときにお使いいただいていると思います。コロナ禍で、特に如実に感じましたね。
――素材へのこだわりが強いと思いますが、いかがですか
山田さん
素材に関しては安くて美味しいに越したことはないんですが、同じ食材があったとして、多少値が張ってもそちらの品質がよければ、高くてもそちらを使います。自分が「これを使いたい」と思った食材を使うようにしています。「価格<食材の品質」ですかね。
こんな物価高の世の中ですけど。たとえば、イチゴは農家さんから直送で送ってもらっていて、毎月の請求書を見ると驚くんですけど(笑)、これは他のものには替えられないです。
ーー美味しい食材があり、そこにシェフの技術があることでより食材が活かされるんですね
マダガスカル産カカオのフルーティーさを活かしたお菓子
――Minimalのチョコレートを実際に使われてみて、いかがですか
山田さん
Minimalさんの噂はもちろん聞いていました。知り合いのパティシエから紹介されたのが初めてでしたね。うちの厨房でスタッフ向けに勉強会もしていただいて。
――初めて試食された印象はいかがでしたか
山田さん
やっぱり衝撃でしたね。発酵の仕方だけでここまで味が変わるとか、あえてジャリジャリ感を出した製法をされてるとか、チョコレートだけでベリーの香りがするとか、スモーキーさがガンとくるとか、いろんな表情が見れて、唯一無二だったのは決め手になりました。
もともとうちでもチョコレートケーキ(松戸ショコラ)はやっていたのですが、普通のチョコレートを使っていたので、Minimalさんのマダガスカルで焼き菓子にしたら面白いなと思ったのがスタートでした。
――最初の仕込みでは、だいぶ苦労されたと伺いました。
山田さん
普通のチョコレートと同じように何も考えずにやると、すごく重たい生地になっちゃったんですね。それで米油を入れて流動性を持たせて、チョコケーキのベースに合わせたり、生地をしっとりさせたくて卵の分量を増やして調整した経緯はありましたね。このマダガスカルは絶対に商品化しようと思っていたので気合いは入ってました。
――焼き菓子としてMinimalの特徴をすごく活かしていただけたスイーツですよね。
山田さん
マダガスカルの風味を感じられて、その上くどくない仕上がりにできました。Minimalさんのチョコレートは簡単な食材ではないですけど、唯一無二だと思っています。
――今後は「シェフの知的好奇心をくすぐる食材」とご紹介します(笑)
あれこれ混ぜたくなかったんですよね
――今年は新たにボンボンショコラでもマダガスカルをお使いいただきました。
山田さん
はい。ボンボンもやっぱりマダガスカルでずっと作りたくて、今年のバレンタインに合わせて開発しました。食べた時にマダガスカルの味を前面に出したいと思ったのと、あのジャリジャリ感を活かしたいけど、でもボンボンなのであんまりジャリジャリしてるとお客さんによっては抵抗が出ちゃうのかな、というあたりに気を使いましたね。
――お客様の反応はいかがでしたか
山田さん
やっぱり「香りがいい」と仰っていただけますね。マダガスカルに関しては、あれこれ混ぜたくなかったんですよね。たとえばフランボーズを入れちゃうとどうなのかな、酸味はより際立つかもしれないけど、マダガスカルって感じがしなくなるかな、と考えていました。
ボンボンショコラの面白さと難しさがそこですよね。この小さい中で、味を分かってもらわないといけないんで、けっこう苦労するんですけど。でも基本のベースの配合があるので、なるべくちょっと調整するくらいで商品化はしてますね。やっぱりあれこれ入れ始めちゃうと迷走することが多いので。
――今後このMinimalのチョコレートを使ってこんな商品とかやってみたい、というものはありますか?
山田さん
今はまだマダガスカルしか使ってないので、そろそろ他のものもぜひ提案したいですよね。
――おすすめは、NUTTYのビターなガトーショコラです。苦味とナッツ系の香りがガンとくるので美味しくなると思います。
山田さん
ぜひ!それ作ります(笑)
山田隼人さん
大阪府生まれ、八丈島育ち。専修学校日本菓子専門学校卒業。
・荻窪 フュッセン (現在閉店)
・千川 エコール・クリオロ (現 小竹向原 クリオロ)
・日比谷 ザ・ペニンシュラ東京 (ペストリーシェフ)
・六本木 ルワンジュ東京 (エグゼクティブシェフ)
・テレビ・雑誌出演、国内コンクール多数入賞 (ジャパンケーキショー、内海杯など)
パティスリー ハヤトヤマダ
https://patisserie-hy.com
住所:千葉県松戸市秋山1-16-2
駐車場:4台
営業時間:10:00-18:00 (不定休)
インスタグラム:https://www.instagram.com/patisseriehayatoyamada/
※連載「Minimalのある場所」はこちら