東京から特急を乗り継ぎ1時間半ほど、車窓からの風景は段々とのどかな畑や田んぼに移り変わっていきます。
そうして到着する茨城県の笠間市にある岩間駅。ここは栽培面積・生産量ともに日本一の栗産地です。
これから迎える秋本番を前にした9月、Minimalスタッフは、栗の専門店「小田喜商店」を訪れました。
栗の木畑が広がる、日本一の栗産地
駅をでると、「小田喜商店」の石田さんが暖かく迎えてくださりました。
「小田喜商店」は、半世紀以上もの歴史をもつ栗加工の専門店でありながら、栗の栽培もおこなう栗専門店です。
まずは早速栗農園に案内していただきました。
岩間地区は、保水性・通気性に優れた火山灰の土壌が栗栽培に適しているそうで、栗の木畑が至る所に広がっています。
石田さんは、栗は梨や柿などの果物に比べると育てやすいと話しますが、枝の剪定や草刈り、虫の防除など丁寧に面倒を見られています。
写真左:小田喜商店 石田さん
栗の花とは?意外と知らない栗のこと
実は、トゲトゲしたイガは皮で、私たちが栗の皮だと思っている部分が果肉。では食べている部分は何かというと、ここが種になります。
栗の木は、5月から6月にかけて白くフサフサした花が咲き、その様子は歌舞伎役者のようで壮観だそう。
夏の間に成長し、緑のイガも立派になっていきます。イガが開くと自然に落果し、早いものは8月下旬から、9月を最盛期に10月の下旬まで収穫時期が続くそうです。
美味しい栗の見分け方
続いて、栗の加工場に向かうと、2代目の小田喜保彦さんが笑顔で迎えてくださりました。
ちょうど運んでいた2種の栗を見せていただきました。
「大きい栗と小さい栗、どちらが美味しいと思う?」と小田喜さん。
正解は、小さくておしり(栗の下部の白い部分)がしまった方だそう。
また、採れたての栗は香りが強く、低温熟成させた栗はでんぷん質が糖に変わり甘味が強くなるそう。
採れたての香りが強いものは甘露煮や栗きんとんなど、低温熟成させ甘くなった栗は焼き栗や栗おこわにして楽しむのがおすすめだそうです。
丁寧な手仕事による、栗むき
続いて栗の加工場へ。
生の栗を味見させていただきました。
栗は種子なので、”ナッツ系”ということになります。生で食べると、食感も相まりナッツのような印象が強くなります。生でも甘味や香りを感じますが、さらに感じるのはミネラル感です。
他のナッツ類は脂質が多く含まれますが、栗はでんぷんが多く脂質が少ないためヘルシー。しかも、ナッツ系の特徴であるミネラルが豊富です。
続いて、栗の皮むきがおこなわれています。
硬い皮に包まれていて剥くのが大変な栗ですが、職人のみなさんはひとつひとつ丁寧且つ、流れるようにすいすい剥いていかれます。
実は世界中の栗の中で、日本の栗だけが渋皮の剥皮性がありません。
洋栗は、加熱することで簡単に渋皮が取れますが、日本のほとんどの栗は、ひとつひとつ包丁で丁寧に渋皮をとっています。
なるべくふっくらとなめらかに、熟練の技によってむかれているのです。
栗への愛情と情熱
栗の収穫期間は8月末から10月中旬くらいまでで、この正味40日間で1年分を収穫しないといけません。
木から離れた栗の実は時間が経つと美味しさが減っていきます。そのため、早く加工したり、冷蔵保管したりするのが重要です。
体力勝負のなかなか大変な仕事ですが、小田喜さんは「小さい頃からずっと一緒に育ってきたから、愛情がわいちゃうんだよね」とはにかんだ笑顔で話してくださいました。
Minimalで食べられる、小田喜商店の栗を使ったスイーツ
Minimalでは早速栗を使った商品開発に取り組み、2つの新作スイーツができあがりました。
どちらも「ぽろたん」という品種の栗と、「いわまの栗ペースト」を用いています。
ぽろたんは、1万年続く日本栗の歴史を変えた“奇跡の栗”とも呼ばれ、渋皮がポロッとむくことができる日本栗で唯一の品種です。小田喜商店ではそれを日本で(恐らく)初めて甘露煮にしています。
Patisserie Minimal 祖師ヶ谷大蔵店「モンブラン」
栗のうまみがある皮ぎしをそっくり残した最高の栗甘露煮「ぽろたん」を、モンブランの中央に贅沢に用いています。
さらに周りに絞っている「いわまの栗ペースト」を用いたモンブランペーストは、栗の味わいをできるだけそのまま楽しんでいただけるよう、必要最小限の素材でおつくりしています。
Minimal 富ヶ谷本店ほか「チョコレートモンブラン」
10月中は洋栗ですが、11月から小田喜商店の栗を使ってご提供します。
10月と11月で、それぞれの味わいの違いを楽しんでいただくのもおすすめです。
和栗の上質な甘さと薫りが4種のチョコレート合わさることで、より風味が豊かになります。また和栗特有のほくほくとした味わいは、寒さが深まってきた季節におすすめです。