Minimal初のボンボンショコラ発売を記念し、Minimal代表・山下がゲストをお招きしてインスタライブを開催しました。
第2回ゲストは、パティシエの世界大会「クープ・デュ・モンド・ドゥ・ラ・パティスリー」で日本代表として準優勝を飾るなど輝かしい実績を誇る「オクシタニアル」※中山和大さんと、8種のボンボンショコラを囲んでトークセッションを行いました。
※「オクシタニアル」は2025年4月現在、移転オープンにむけ準備中です
その模様をダイジェストでご紹介します。
カカオ産地の違いだけで、どう味が表現できるか
山下
ボンボンショコラはMinimalが10年目にして、今回初めてたどり着いた商品です。中山さんはボンボンは作られますか?
中山さん
いや、僕はパティシエなのでじつはあまりやらないです。
山下
今回8種類あるのですが、「カカオ産地の違いだけでどう味が表現できるか」というテーマにしていまして、基本的に中に入っている材料はほぼ一緒です。
一つだけ、ブロンドチョコレートを使ってますので、これはちょっと違うんですけど。「世界で一番カカオの違いがわかるボンボンショコラ」になったらいいなと思っています。
どのボンボンショコラが印象に残りましたか?
山下
ボンボンショコラを全種食べていただきましたが、どれが一番印象に残りましたか?
中山さん
一番はタンザニアですね。「板チョコレート」のタンザニアが好きなので。
山下
板チョコレートよりも、リンゴの印象でした?
中山さん
そう。板チョコレートからの「変化」がすごいわかりやすかった。
山下
タブレットとボンボンの「変化がわかりやすいから面白い」っていうのは、プロの視点ですね。今回のボンボンにはちょっとウォッカを入れてるんですけど、お酒を入れるとうちの果実味のあるチョコレートは、フレッシュ感がより強く持ち上がることがあるんですね。板チョコレートよりリンゴのような香りがくっきりするなと気づきました。
中山さん
全部同じレシピでこれだけ差が出るっていうのが、本当に、チョコレート屋さんならではですよね。
山下
中山さんだったら「この香りにこういう副素材を合わせる」みたいなインスピレーションはありましたか?
中山さん
僕は近しい味とかを合わせていくので、たとえば洋梨だったらジャスミンを合わせてみるとか。
山下
僕らも今回やってみて、今年は1年目なのでわかりやすい香りを作っていったんですけど、今後は複数の香りを合わせていくのは面白そうだなと、率直な感想として思いましたね。
Minimalのチョコレートは“新素材”
山下
中山さんが新しい商品を作るときって、ある程度自分の頭の中にレシピがあるものですか?
中山さん
一応あるんですけど、じつはあんまりレシピで作らないんですよ。もともとの味の物差しがあるじゃないですか。それに当て込んでいって、足りないものを調整するみたいな感じです。
山下
その調整をするときは、自分の引き出しの中から「これかな?」と。
中山さん
そうそう。だから、本当に初めての新素材でも出ない限りはそうですね。そういった意味ではMinimalのチョコレートをうちで使うときはちょっと調節しましたよ。
山下
新素材だったんですね(笑)。
中山さん
良さを出すために、たとえばオーツミルクを使ったアングレーズ※のレシピを、牛乳ベースに変えたりして。そうするとカカオの香りがめちゃくちゃ引き立つと。
※カスタード風味のソースのこと
山下
なるほど。圧倒的にそこの引き出しがあるってことですよね。
カカオを粗挽きにしてるのは、気になりました?
中山さん
僕らはどうしたってピューレを入れたりして味の変化やバリエーションを持たせようとするけど、同じレシピでこれだけ差が出せるのは面白かったですよね。特に今日のボンボンショコラは山下さんの解説を聞きながら食べさせてもらったので、カカオを作ってる景色も目に浮かんでそれも面白かったです。
山下
嬉しい!これ、粗挽きにもしててちょっと粒度感があるんですけど、それは気になりました?
中山さん
いや、むしろMinimalさんの板チョコレートからしたら、かなりなめらかな方じゃないかなと思いますし。正直、僕ももうちょっとザクザクしてるのかと思ってました。
山下
ああ、もっと荒いんじゃないかと。
中山さん
今日食べさせてもらってて思ったんですけど、ボンボンショコラって板チョコレートより厚みがあるし、ガナッシュも食べ応えあるじゃないですか。どう食べるのが正解なんでしょうね?
山下
それね、難しいなと僕も思ってるんですよ。
中山さん
自分はたくさん咀嚼してたけど、これでいいのかな?とふと思って。こんなに味がするとね。
山下
まあ、高さがあるからある程度咀嚼は必要ですよね。
中山さん
ですよね。咀嚼してから溶かすのが一番味わえそうですね。
解説通りの味わいがわかる、ボンボンショコラ
山下
メキシコのホワイトカカオは特に、複雑な香りで噛めば噛むほど味が変わっていったと思うんですけど、いかがでしたか?
中山さん
うん。面白いよね。こんなに繊細な味で揃えるチョコレートってないよね。どことは言わないですけど、他のところだとフレーバーを書いててもけっこう必死だったり……。
山下
嬉しいです。
中山さん
ワインのテイスティングだってね、「これがピノノワールだからベリーだよね、紅茶だよね」って言われるけど、本当にその味が取れるかって言ったらちょっと怪しいときだってあるじゃないですか。
でも今回のボンボンショコラは本当にその味がいるから、すごいなと思う。
山下
ありがとうございます。
中山さん
これは香料の味ですか?(笑)
山下
香料じゃないですよ!(笑)
いや、でもそれ嬉しいですね。
中山さん
そのくらい違いがわかりやすいってことです!
Bean to Bar入門としての“贈り物”
山下
今日のように僕が話しながらお客様と一緒にボンボンを食べるワークショップをやってて気がついたんですけど、板チョコレートほど角が立っていないというか、ボンボンの方がまろやかなので、わりと味の違いを取りやすく、誰でも食べやすいアイテムなのかなと。
老若男女を問わず、Bean to Bar入門として「カカオで味が違うんだ」ということを理解しやすいんじゃないかなと。
中山さん
はい。そう思います。
山下
だから贈り物にも使えるなと思ったんです。
中山さん
うん。僕はタブレットを食べ慣れちゃってるけど、そうじゃない人はMinimalの板チョコレートは味も強すぎて食べにくいのかもしれないね。
山下
板チョコレートって全然食べない人もいるからね。だからボンボンは普通に食べやすいからいいかなというふうに気づきました。
中山さん
思い出すと自分もパティシエになってすぐのころはクーベルチュール(製菓用チョコレート)って食べられなかったですもん(苦笑)
贈り物という点では、この箱もいいですよね。可愛いというか、「Bon voyage!(よい旅を!)」っていう感じがして。なんかすごく手作り感もあって好きです。
山下
ありがとうございます。
パティシエは、仕事以外の時間でいかに学べるか
山下
中山さんは今、パティシエの働き方改革もあって、時短できるレシピ開発とかやられてますよね。「クープ・デュ・モンド・ドゥ・ラ・パティスリー」はじめ国内外のコンテスト受賞歴多数の中山さんにお聞きしたいんですけど、そういう簡略化されたレシピに慣れた若いパティシエたちは育つんでしょうか?
中山さん
そこはね、不幸なんですよ。
山下
やっぱり、そうですよね。
中山さん
だから僕もね、スタッフにはコンクールやれとか、自分で勉強する時間を作るように言ってます。あれをやらないで普通に仕事だけしてる人はーーいや、10年後はわからないですけどーー大丈夫なのかなとは正直、思います。
山下
やっぱり、そうですよね。僕、いつも思ってることがあって。最初はたとえば「ナッぺができない」とか技術的に上手くできるように練習したり、いろんなレシピを頭に入れて習熟していくじゃないですか。
でも、よくよく考えてみると、美味しいレシピってネットでも拾えるわけですよね。その技術っていうのも1年でできる人もいれば3年かかる人もいるかもしれないけど、でも積み上げで量をこなしていったらできるようになるじゃないですか。
一方で、たとえばMinimalという新しい素材が出てきたとき、その特性を見て「これをこういうふうに応用してみよう」とか「こういう素材と合わせるといいかもしれない」っていうのは、単にやり方を覚える以外のところにまで応用していく必要がありますよね。
その応用する幅は、僕は「仕事でこれを作りなさい」と指示されてやった以外の時間をどれだけ過ごしたかとか、中山さんみたいに自分がワインが好きだから違う分野のことでプロフェッショナルの資格を取りにいこうとプラスで勉強することで伸びるわけじゃないですか。そういう積み上げが、めちゃくちゃ効く気がするんですよね。
中山さん
そう思いますよ。やっぱり洋菓子だけでやってると、みんなと同じとこで戦ってるのでね。
僕がコンクールの日本予選で優勝したお菓子って、和食屋さんに行ったときに出てきたデザートをベースにしてるんです。柿にライムがかけてあったんです。すごい美味しくて。で、この完熟具合はマンゴーが近いよねっていうことで作ったのが今、出してるお菓子。
山下
なるほど。そのインスピレーションで優勝!日本は今年2025年のクープ・デュ・モンドで2連覇したじゃないですか。やっぱりレベルが高い。下手したら、日本予選を優勝する方が世界大会より難易度高いですよね。
中山さん
はい。だから、その中で同じパティシエと戦うときに、やっぱり違う幅を持ってる人じゃないと勝てないのかな。
中山和大さん
「リモージュ」「六本木ヒルズクラブ」を経て、ホテル「マンダリンオリエンタル東京」にて修行。「クラブハリエ」に入社し、2014年「オクシタニアル」のシェフパティシエに就任。2025年オクシタニアルオーナーシェフ
※「オクシタニアル」は2025年4月現在、移転オープンにむけ準備中。
2015年クープ・デュ・モンド・ドゥ・ラ・パティスリー準優勝など国内外のコンテストにて受賞歴多数。公益社団法人東京都洋菓子協会・技術指導部委員も務める。
▼ボンボンショコラ「ザ・シングルオリジン」販売情報
【価格】3,980円(税込)
【販売店舗】オンラインストア、全店舗