スーパーマーケットなどでパッケージに「カカオ濃度」を大きく記したチョコレートを見かけることがありますよね。
今、「高カカオチョコレート」「ハイカカオチョコレート」と呼ばれる、カカオ濃度の高いチョコレートが注目されています。
そこで今回は、高カカオチョコレートの「体に嬉しい効果」についてレポートしていきます。
▼目次
・カカオは、スーパーフード。栄養の集合体。
・高カカオチョコレートとは、カカオ70%以上のチョコレート。
・優れた抗酸化作用のある、カカオのポリフェノール。
・カカオポリフェノールの3つの体に嬉しい効果。
・血糖値の改善や便通改善も。
・でも、高カロリーなんじゃないの?
・ 1日6回、こまめに1パーツずつ。
カカオは、スーパーフード。栄養の集合体。
カカオは、古来は「お菓子」ではなく、栄養食の「薬用飲料」として摂取されていました。
栄養バランスに優れ、一般的な食品より栄養価が高い食品を「スーパーフード」と呼びますが、カカオはその1つに挙げられています。
日本スーパーフード協会が定める、特に重要な「プライマリースーパーフード10」という10種のうちの1つにも指定されています。
高カカオチョコレートとは、カカオ70%以上のチョコレート。
「高カカオチョコレート」という言葉に明確な基準はありませんが、カカオ濃度70%以上のチョコレートを指すことが多いです。
カカオ濃度が上がるほど、カカオ含有率が上がるのはもちろん、その他の副材料(特に砂糖)の含有率が下がるため、糖質制限としても有効になります。
スーパーフードであるカカオの栄養成分をより多く摂取しながら、砂糖の摂取を減らせる、という両面から高カカオの嬉しい効果が期待されています。
優れた抗酸化作用のある、カカオのポリフェノール。
カカオの栄養素で特に重要なのが「カカオポリフェノール」です。高カカオチョコレートは、このポリフェノールが豊富です。
ポリフェノールとは、植物が光合成によって生成する抗酸化物質を指します。この抗酸化物質には、様々な疾病を予防する力が期待されています。
人の体内では活性酸素が生成され、免疫機能の低下や老化現象を引き起こします。ポリフェノールは活性酸素の悪影響を防ぐことが期待できるのです。
ポリフェノールは、自然界に5000種以上あるとされています。
緑茶に含まれる「カテキン」や、大豆に含まれる「イソフラボン」も、ポリフェノールの1種です。赤ワインにポリフェノールが多く含まれていることもよく知られていますね。
ただ、自然食品から効率よく摂取することは難しく、すべてが可食部分であるカカオ豆はポリフェノールの含有量が多いため摂取しやすい食品になっています。
カカオポリフェノールの3つの体に嬉しい効果。
世界中でカカオポリフェノールの研究は日々進められ、多くの効果が期待できることがわかってきました。
- 「動脈硬化」の予防
カカオポリフェノールの抗酸化作用で、悪玉コレステロールの酸化を抑制して血液をサラサラにし、動脈硬化の予防につながることがわかっています。※1
- 「高血圧」の改善
血管の炎症を抑え、血管を広げる作用が期待できることがわかっています。※2
- 「美肌」効果
活性酸素の働きを抑えることで、肌へのダメージを減らすことが期待されています。※3
※1 『お腹の脂肪は高カカオチョコですっきり落ちる!』P62-65
※2 『お腹の脂肪は高カカオチョコですっきり落ちる!』P58-61
※3 『カカオでからだの劣化はとまる』P79-81
血糖値の改善や便通改善も。
カカオには「食物繊維」も豊富です。その量はごぼうよりも多いことが明らかになっています。※4
食物繊維は「第6の栄養素」とも呼ばれ、腸内環境を改善し、排便をスムーズにすることが知られています。
また、チョコレートは低GI(糖への吸収が低い)食品でもあるため、血糖値を急激に上げないことがわかっています。※5
※4、5『カカオでからだの劣化はとまる』P54-55
でも、高カロリーなんじゃないの?
「体にいいといっても、チョコレートは高カロリーなのでは?」と感じられた方もきっと多いと思います。
チョコレートはカロリーが高く、カカオバターという「脂肪」が多いことは事実です。
カカオバターの脂肪酸は3種類あります。パルチミン酸、ステアリン酸、オレイン酸です。
この中でステアリン酸は体内に吸収されにくい性質があり、カカオには特に多く含まれています。体内のエネルギー源となりにくいため、体脂肪として蓄えられにくい特徴があります。
それでも、1日あたりの分量にはご留意ください。健康志向でお召し上がる推奨目安は、1日25g(摂取カロリー約100kcal)とされています。
1日6回、こまめに1パーツずつ。
高カカオチョコレートは、食べ方にコツがあります。
ポリフェノールは水に溶けやすい性質があるため、短時間で作用するものの長期間効果が持続しません。カカオポリフェノールの主成分であるエピカテキンは、摂取後24時間で完全に体内から排出されるという研究報告もあります。
そこで、1日の中でこまめに摂取することが効果的とされています。
目安は1回につき、4g。
食前に食べることで、食物繊維により血糖値の急上昇を抑える働きが期待できるので特におすすめです。ただ、くれぐれも食べすぎにはお気をつけくださいね。
スーパーフードであるカカオを上手に取り入れ、無理なく、楽しみを増やしながら体に嬉しい効果を期待できる「高カカオ」チョコレート、ぜひ一度お試しください。
参考資料
『お腹の脂肪は高カカオチョコですっきり落ちる!』栗原毅(学研プラス 2020年)
『カカオでからだの劣化はとまる』井上浩義(世界文化社 2017年)
日本チョコレート・ココア協会「チョコレート・ココア健康講座」
(http://www.chocolate-cocoa.com/lecture/index.html)