【Minimal代表山下のカカオジャーナルVol.5】「流行」で終わるものと「文化」として根付くもの。~クラフトは自由であり、仲間であり、垣根がない~

2019.01.23 #Event

2018年11月24日(土)25日(日)に青山・国連大学中庭にて「Craft Chocolate Festival(クラフトチョコレートフェスティバル 以下CCF)」が開催されました。

私自身は発起人として、そしてMinimalは共催者として本イベントに関わらせてもらいました。

想いを持ってチョコレートを作る国内外のチョコレートメーカーが30メーカー程度集まりました。北は北海道、南は沖縄まで全国各地から、日本国内のクラフトチョコレートメーカーの出店数で言えば過去最大規模になりました。当日はたくさんお客様に来場頂き大盛況となりました。参加者も出店者も大満足と言って頂けた機会となりました。

このCCFの裏側となぜ私たちがこのフェスティバル開催をしたのか、その想いを赤裸々にお話できればと思います。

 

ブーム創りと文化創りの違い

私の世界は、Bean to Bar Chocolateに出会い、Minimalを創業してすっかり変わりました。

カカオ豆とチョコレートを通して生産地と消費地が繋がり、世界が少しだけ近くなり、みんなが幸せになる可能性を含んだその世界観にすっかり魅了されてここまでがむしゃらに走ってきました。

私たちMinimalのビジョンは「チョコレートを新しくする」。

生産者との関係を新しくして、製法や風味を新しくして、チョコレート体験を新しくする。それはチョコレートの新しい文化を創ることだと思います。

実際にMinimalで日々カカオ豆やお客様と対話するうちにその可能性を感じています。しかし一方でそれがとても大それたことで実現できるかどうか全く見えないという事も同時に実感しました。

やればやるほどその難易度がリアルにわかり、途方もない事であると理解をして投げ出したくなることもありました(笑)でも、生産者やお客様といっぱい話をして気づいたことは、私たちだけが肩に力を入れて息巻いてもあまり意味がないという事。

それはいつか息切れしてしまう事だと思いました。

 

だからまず力を抜きました。Minimalや私がすべてをやる必要はないし、私たちだけが頑張っても文化は作れない。

1:nの関係=Minimal(1):お客様や生産者(n)という関係では限界があり、仮に一時的にMinimalが流行ってもそれは一過性のブームに過ぎない。ブランドや飲食店ではこの一過性のブームが良く起こるし、数年前には毎日どこかで目にしたお店が今はもうなくなっているなんてことは日常茶飯事です。

そこで、1:nの関係性だけでなく、文化を創るにはそもそも「1」を「n′」にすることが大事だと考えました。

つまりMinimalだけの「1」から、他のクラフトブランドを巻き込んで1を「n′」にしていく。Bean to Barやクラフトチョコレートという業界においてn′:nの関係性の輪を広げていく事ができればそれは加速度的に拡がり、いつか閾値を超えて文化になるはずだと思いました。

これがCCFをやろうと思ったきっかけです。

 

クラフトは自由であり、仲間であり、垣根がない

CCFが大成功に終わったことの大きな要因はこのn′:nの関係性が成り立ったことです。つまり多くのクラフトにアイデンティティを持つ仲間が参加してくれた事です。私がクラフトを愛してやまない理由の一つでもあるのですが、クラフトの世界は垣根が無いのが良いところ。ファンと造り手にも垣根が無い。造り手同士もオープンで「仲間」という感覚があります。

私たちは数年前からBean to Barやクラフトチョコレートの造り手同士が集まる会を開催してきました。最初は気恥ずかしさからぎこちなかった関係も何回か顔を合わせて、そしてお酒や食事を共にする中で深まってきました。それがあったから僕たちの呼びかけに集まってもらえたのだと思います。

実はクラフトチョコレートを造っている多くのブランドはスモールバッチといわれる小規模生産が多い。今回CCFは11月3連休の最初の2日間。言ってみれば売上がとれる休日に東京でCCFに参加する事は自店の売上を犠牲にする事。しかも出張費に出店料までかかる。もし売上が全く上がらなければせっかく全国から集まってくれたのに大損をする可能性がある。

それだけリスクが高いにも関わらず多くのブランドが快諾してくれたことを本当に感謝していますし、クラフトの仲間は本当に素敵だなと再認識できました。

 

眠れない毎日。当日お客さんは来てくれるのか?

北は北海道から南は沖縄まで全国の、そして台湾やベトナム、コロンビアと海外のクラフトブランドが出店してくれることが決まってからは本番に向けて準備に入りました。東京初出店の地方のお店もたくさん。そこからはドキドキ、というよりもプレッシャーで眠れない毎日となりました。

多くのブランドが東京以外から店を閉じてきてくれる可能性が高いとわかっていたので、当日お客さんが来てくれず失敗に終わったらどうしよう、というプレッシャーを半端なく感じていました。

集客できずに皆さんに赤字を背負わせてしまったら、CCFは二度と開かれないかもしれませんでした。そして、Bean to Barやクラフトチョコレートを拡げて文化にしていく事も二の足を踏んでしまう事になると思い、何としてでも成功させたいという強い気持ちを持っていました。

そんなときに、またクラフトの仲間が力を貸してくれました。

チョコレートメーカーではないですが、僕らの呼びかけにチーズスタンド藤川さん(チーズ)、PATH後藤さん(パティスリー)、幻幻庵丸若さん(日本茶)、Gem by moto 千葉さん(日本酒)などがカカオやチョコレートを使った特別メニューをこの日のために提供してくれました。

そのおかげで彼らのファンにもCCFについて知っていただくことができました。チョコレートだけでなく、クラフトの仲間は本当に懐が広くて、垣根がないことを感じた瞬間でした。

1週間前からは毎日天気予報を見て、当日の天気に一喜一憂していました。幸いにも天気が崩れる事なく当日の朝を迎えました。

私は主催者側の一員としてCCF中は運営スタッフとして設営や準備を担当。当日朝6時から設営を開始し、朝11時にドキドキしながらCCFを開幕しました。

開幕と同時に多くのお客様が。それは思った以上の大盛況でした。チョコレートマニアの皆さんはもちろん、これまでBean to Barやクラフトチョコレートを知らなかったお客さんまで来て頂きました。各店の前には人だかりができて、早々に売り切れが起こるブランドもありました。クラフト好きのお客さんもやっぱり垣根がなくて、心から楽しんでもらえている様子をみることができました。

そして大盛況の2日間はあっという間に過ぎていき、終わった後は各ブランドの皆さんとお疲れ様の飲み会。その席で皆さんが「来て本当によかった、またやろう!」と言ってもらえた時には本当に嬉しかったです。

僕らMinimalが目指す「チョコレートを新しくする」というビジョンに向けて、小さな一歩かもしれないですが、確実に前に進めたCCFであったと思います。

n′:nの力の大きさを心から実感できたCCF。成功と言える結果が残せたのは30ブランドが一堂に会したから。そして、それを楽しみにお客様がいたから。本当に感謝しかありません。ありがとうございました。

 

これからも1:nの信頼関係性をベースにして、Bean to Barやクラフトチョコレート業界全体のためにn′:nの関係を創っていくためにできる事やっていきたいと思います。

来年のCCFの開催も楽しみにお待ちください。 2日目終了時に飲んだお酒の味は一生忘れないと思います(笑)

 

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引き算の哲学から生まれた、
新しいチョコレートのおいしさ

余分なものを引き算し、
カカオそれぞれの風味を引き立てる。
素材と真摯に向き合うことで生まれた
新しいチョコレートの体験を。

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