日本の知見で、発酵を進化させる。
フレーバーの骨格をつくる発酵
チョコレートの製造において「カカオ豆の発酵」という重要な工程があります。
発酵とは、微生物の働きで人間に有益な食品を生成することです。カカオ豆は生産地に土着する天然酵母の働きで、香味成分などの素材の重要な骨格が造られます。
カカオ豆は収穫後、カカオポッドの内部にあるカカオパルプ(果肉)をバナナの葉で覆う「ヒープ法」や、木箱に詰める「ボックス法」により、数日間かけて酵母・酢酸菌・乳酸菌などの働きで風味の前駆体(プレアロマ)が生成され、フレーバーの骨格が形成されます。
マイナスからプラスにする発酵へ
これまでの基本的なカカオ豆の発酵は、マイナス要素をゼロにすることに力点が置かれていました。カカオパルプ(果肉)を発酵過程で取り除き、カカオ豆の水分率を下げて輸送に耐えうる状態にすることや、渋味を分解するなどの役割です。
Minimalでは従来の発酵に基本的な機能を強化しつつ、生産者と連携することでさらに一歩踏み込み、香味成分を生成し、テロワール由来の土着酵母で産地の個性を引き出すという、“ゼロからプラス”に持っていく発酵を進めています。
日本の発酵技術を応用
日本は発酵食品大国として知られています。“国菌”と称される麹菌を使い、大豆を発酵させた味噌・醤油・納豆、米を発酵させた日本酒、野菜を発酵させた漬物など、幅広いバラエティを誇ります。
Minimalでは創業当初より発酵の知見をカカオ生産地でレクチャーし、生産者と共に実験しながら技術を高めてきた経緯があります。
日本の発酵技術を応用し、伝統的な知的財産で進化させようと挑んできました。発酵はまだ解明されていない領域が多く、大いなる可能性に満ちていると考えています。