【こぼれ話】小説家・麻布競馬場さん×Minimal代表・山下「いい本と、いいチョコレートは似ている」

2024.02.16 #Minimalと暮らす人

X(旧Twitter)で、“Twitter文学”“タワマン文学”として話題をさらったデビュー作『この部屋から東京タワーは永遠に見えない』の小説家・麻布競馬場さん。

ご縁あり、Minimalの連載企画「Minimalと暮らす人」にご出演いただきました。
※記事はこちら

熱烈なMinimal愛好家でもある麻布競馬場さんと、Minimal代表・山下が、開業したばかりの「Minimal The Specialty 麻布台ヒルズ」にてディープに語り合いました。

2024年2月上梓の新作『令和元年の人生ゲーム』に合わせてお届けします。

 

商品の説明や名前

 

ああ、ただのチョコレート屋さんじゃないんだ

山下
先日プライベートで「Minimal The Specialty 麻布台ヒルズ」にご来店いただいたと伺いました。「カカオ・チョコレートのコース」はいかがでしたか?

麻布競馬場さん
僕はいつも深夜の執筆中にMinimalの板チョコレートを一人で食べてきましたので、お店で他のお客さんとカウンターで一緒に食べるということ自体が新鮮でした。みんなでちょっと感想を言い合ったりしてて、面白かったですね。

山下
ありがとうございます。何か印象深いメニューはありましたか?

麻布競馬場さん
最初に出てきた「Bean to Bar」※が一番印象に残っています。

だって、カカオ豆の皮を剥くところから始まるんですよ?

この時点で「ああ、ただのチョコレート屋さんじゃないんだ」と改めて思いました(笑)。
※カカオ豆からチョコレートを食べ比べできる皿



お酒との組み合わせでこれだけ振り幅があるのかというのも勉強になりましたね。

次回はノンアルコールコースを選んで味わってみたくなりました。

あと、最後に出てくる野草茶も良かったです。

最後はどう締めるんだろう?と思っていたのですが、無難にコーヒーじゃないだろうなあと予想はしていたものの、「そうきたか!」という感じでしたね。

山下
茶道というより、ちょっと野趣な感じがMinimalっぽくないですか(笑)

麻布競馬場さん
そう。いいんですよね。

最初にお店に入ったときにすごく「茶室」然としているから厳粛な感じがしたんですけど、自由演技というのか好き放題というのか、大らかな感じがすごくいいと思いました。

お客の自分も負けないように楽しみ方を見つけなきゃ

麻布競馬場さん
一連のコースはチャレンジングであり、挑発的でもあり、でもきちんとまとめてくる感じが「ブランド側が楽しんでるなあ」と感じましたね。

店主が楽しんでいることが分かるから、お客の自分も負けないように楽しみ方を見つけなきゃと思えましたし。

山下
「店主が楽しんでる店がいい」というのは共感しますね。

でも一方で「店主が客を選ぶ店」って自分は得意ではないんんですよね(笑)。仕事じゃなくなってる気がして。

麻布競馬場さん
分かります(笑)。僕がMinimal麻布台ヒルズ店で心地よかったのは、みんなが自由に楽しんでいるところだったんでしょうね。

押し付けがましくないというか、お店も好きにやるけど、お客さんも楽しみ方の余地を見つけてね!と問いかけられてる感じがすごく気持ちよかったです。

同じものを食べているのに、全然違う意見が出る楽しさ

山下
それは「チョコレート」というのも大きいかもしれないですね。もともとそんなに高いものでもないけど、すごく極めることもできる。

麻布競馬場さん
面白いですよね。みんなが手に取れるものでありながら、嗜好品でもある。

国民的な甘味であり、あんまり嫌いな人もいない。それでいて複雑さがある。

特にMinimalはいろんな見方ができる食べ物だと思います。同じものを食べているのに、全然違う意見が出る楽しさがあるんですよね。

山下
それって小説も似ていませんか?

麻布競馬場さん
そうですよね。そういえば、今回の新作『令和元年の人生ゲーム』を書くにあたって編集者の方に言われたのが「一個の読み方で終わる小説にしないでほしい」ということでした。

見る人によっていろいろな見方のできるものにしてほしいと。

いろんな感情の多面体を作りたいと僕も思っていましたので、自分なりに頑張って書きました。

そう考えると、いい本と、いいチョコレートは似ていますよね。どちらも味わい方が“究極の嗜好品”ですからね。

“Minimal好き”に、悪い人はいない?

山下
同じものを見ても、違う立場から見られるってたしかに食の一つの楽しみだと思いますね。「正しい/正しくない」ではなくて「自分はこう思う」と言い合えることが、嗜好品ならではの楽しみかなと。

本も名作と言われるものは多面的な解釈ができるものや、読む人によって響く部分が違うものですよね。要は、本の中に線を引く箇所ってみんな違うじゃないですか。

麻布競馬場さん
そうですね。逆に言えば、要約サイトにさらっとまとめられる本が一番つまらない本だと思います(笑)。

山下
(笑)

麻布競馬場さん
ちなみに、Minimalは“ややこしいもの好き”の踏み絵でもあるんです。

ホームパーティに持っていくと分かるんですよ。この人はいつも何を考えながら食べているのかなとか、どんなものを面白がるのかなとか。だから「Minimal好きに、悪い人はいない」と思っていますね(笑)。

心の根っこのところで「面白がり屋さん」なんだなと思いますので。

組み合わせが難しいから、やっぱり面白い

麻布競馬場さん
「嗜好品」としての楽しみ方ということでいうと、僕は自宅で板チョコレートを食べるときにお酒のペアリングを試しているのですが、「組み合わせが難しいからやっぱり面白いな」と思うんですね。

山下
嬉しいお言葉ですね。電車で中吊り広告に使いたいくらいです(笑)。

麻布競馬場さん
(笑)。特に「SAVORY」は難しくて、未だベストな組み合わせを見つけられていません。

香りの「青さ」の処理が難しいんですね。馴染みのバーテンダーに相談して、少量の水で伸ばしたアブサンと試したこともありますが、たしかに合うんだけど、これだとまだ同じ方向性なだけなのかなと思ったり……。

山下
(笑)。もうとんでもなくマニアックな話になっていますけど、ちょっと解説をするとSAVORYは「味わい」と「香り」が半々なんですね。

味わいは「渋さ」で、香りが「青さ」。ここが別々なのが難しいところなんです。

麻布競馬場さん
なるほど。1個拾ったら、もう片方を拾えないみたいになるんですね。

山下
そうなんです。別々であるところのズレが味の奥行きになって、表情も変わり、深みが生まれるんですけどね。

だからお酒が好きな方や料理好きな方がハマりやすい銘柄でもあります。

麻布競馬場さん
面白いです。そういえば僕の夢の一つが、Minimalのチョコレートを持ってみんなでファミレスのドリンクバーに行くことなんです(笑)。

みんなでお茶を片っ端から試して、バチっとくるペアリングを話し合ってみたいです。絶対面白いと思うんですよね。

山下
絶対怒られるやつですけどね(笑)。

麻布競馬場さん
絶対ダメですね(笑)

山下
飲食持ち込み可のカラオケボックスならできるんですかね。

麻布競馬場さん
今度、お茶とポットを持って集合ですね!

 

 

麻布競馬場さんとの対談は以上になります。
最後までお読みいただきありがとうございました。
新作『令和元年の人生ゲーム』(文藝春秋)は、2月21日刊行予定です。

 

商品の説明や名前

麻布競馬場さん

1991年生まれ。慶應義塾大学卒。2021年からTwitterに投稿していた小説が「タワマン文学」として話題になる。2022年、ショートストーリー集『この部屋から東京タワーは永遠に見えない』でデビュー。
https://twitter.com/63cities

 

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