Minimal は、「The World’s 50 Best Discovery」に選ばれる「とおの屋 要」が設立した株式会社nondoとコラボレーションし、通常廃棄される米糠(こめぬか)を使用したアップサイクルな取り組みにより、サステナブルな2種のチョコレートを開発しました。
8年以上長期熟成された米糠を使った、アップサイクルなチョコレートの開発概要
通常廃棄されてしまう米糠ですが、「とおの屋 要」の健全なお米の米糠を再利用し、米糠のまろやかな甘味を活かしたチョコレートに生まれ変わらせるアップサイクルな取り組みです。
米糠とは、玄米を精白する際の果皮・種皮・胚芽を削った際に出る部分で、通常は廃棄されてしまいます。しかし糖には、ビタミン類やミネラル、食物繊維等、お米にある栄養素の9割以上が含まれており、さらに今回使用したお米『遠野1号』は、「とおの屋 要」が無農薬・無肥料で育てた健全なお米で米糖も安心して使用できます。
保存状態にもよりますが、一般的な米糠の賞味期限は精米してから一週間ほどといわれています。しかし今回『遠野1号』の健全なお米の米糠を使用することで、8年程の長期熟成が可能となり、その長期熟成させた米糠をチョコレートに使っています。
米の個性・その土地の味わいが詰まった米糖をチョコレートにし、多様な形でお米を楽しんでいただくことで、「とおの屋 要」の掲げる『米の消費量の増加、また日本の伝統文化である稲作の継承』に少しでも寄与できればと考えます。また、この取り組みによって、SDGsの「つくる責任 つかう責任」にあるように、Bean to Bar チョコレート専門店だからこそ行えるサーキュラーエコノミー社会への実現に寄与していきたいと考えます。
クラフトマンシップの共鳴が生んだ取り組みの背景
今回のコラボレーションは、「とおの屋 要」の無農薬・無肥料栽培の『遠野1号の米糠』を、砂糖の代わりとしてチョコレートの甘味にできないかという発想でスタートしました。
Minimalでは、直接カカオ農家からフェアトレード以上の価格でカカオ豆を仕入れ、豆から製法を調整し素材そのものを活かしたチョコレートを造っており、「とおの屋 要」佐々木氏の無農薬・無肥料栽培の米という素材そのもの活かしながら丁寧につくるものづくりの姿勢に共感しています。そのためもともとMinimal The Baking 代々木上原店では「とおの屋 要」のどぶろくとガトーショコラのペアリングをご提供させていただいていました。
今回「とおの屋 要」の佐々木氏から米糠の再利用についてお話をいただき、チョコレートの開発が実現しました。
およそ1年、60回以上レシピ調整した開発背景
「とおの屋 要」でもMinimalでも、米糠をチョコレートにすることは初の取り組みです。およそ1年間の開発期間、また60回以上のレシピ調整をして完成しました。
最も時間をかけたのが、米糠の配分です。チョコレートとしての美味しさを感じつつ米糠の優しい味わいを感じていただけるよう、米糠の量を何度も微調整しました。
佐々木氏に何度も試作品を送り、双方の意見をすり合わせました。調整していく中で、米糠の優しい甘さをチョコレートとして十分に堪能できるホワイトチョコレートベースのもの、またカカオの果実味・酸味と米糠の発酵感をお楽しみいただける「Fruity」フレーバーの2種が完成しました。
・KOMENUKA
ハイチ産カカオ豆を使ったホワイトチョコレートに米糠を合わせました。ホワイトチョコレートの甘味と米糠の柔らかな甘味を感じます。
・KOMENUKA -FRUITY-
カカオのもつ若々しい果実味と、米糠のもつ柔らかな甘味を感じるダークチョコレートです。
【販売情報】
販売開始日:5月24日(火)~ なくなり次第終了
販売チャネル:
・nondo EC サイト(https://nondo-tono.life/)
※6月上旬頃より販売開始予定
・とおの屋 要
・伊勢丹新宿店本館地下1階 粋の座(和特選)※2022年5月28日(土) ~ 29日(日)13時-19時のみ
・森岡書店銀座店 ※2022年5月24日(火) ~ 6月5日(日)13時-19時のみ、最終日は18時まで(5月30日は休館)
販売価格:2,268円(税込み)
「とおの屋 要」代表・佐々木氏より
およそ1年の開発期間を経て完成したので、ようやく披露できることを嬉しく思います。2種それぞれのチョコレートを口にすると、後味にしっかり米糠の柔らかい甘さを感じていただけます。
Minimalのチョコレートは“人を酔わす”チョコレートだと思います。異国の農作物を使って、大量生産ではなされない味わいを造り出しているところに共感し、今回コラボレーションを相談しました。
今回の取り組みの目的のひとつは、米の価値の向上です。
従来行われてきた農業のほとんどが大量生産や生産性の向上を目指し、除草剤や殺虫剤、化学肥料の大量投下を行ってきたことで、土の中の生態系が崩壊し、大地は力をなくしています。また米の消費量が年々減少し、「米を育てても儲からない」と言う農家も多い昨今。このままでは日本の米文化が完全に衰退してしまう危機感を抱いています。この現状を変えていくために、地球と人の両方が健康になっていく好循環が回る世界の実現に向けた取り組みを展開しています。
今回使用している米糠のように、健全な米の米糠は数年では腐りません。丁寧につくられたケミカルフリーなお米を、正当な対価で人々が楽しむことで、地球と人の両方が健康になっていく好循環が回る世界を実現したいと考えます。
また、今回の取り組みでは、カカオという海外由来の農作物と、日本古来の文化である稲作が、Minimalを通して新しく生まれ変わることがおもしろいと思います。わたしたちの米糠以外にも、このような取り組みが広がればもっとおもしろくなっていくと思います。
Minimal代表 山下より
実はMinimalも、通常は廃棄してしまうカカオ豆の殻を破棄せず、鶏の飼料としてアップサイクルしています。今回佐々木さんから米糠のお話を聞いたときに、まさに自分達のカカオハスクへの思いと同じでとても共感しました。
実際に米糠を使用してみた率直な感想は、苦みが少なく、きなこのような甘みがあり、私がもっていた米糠のイメージからかけ離れた、優しい風味を感じました。
そこで、ホワイトチョコレートでダイレクトに表現することと、香り豊かなビターチョコレートに合わせて表現することの2パターンを試すことを思いつきました。
ホワイトチョコレートは、米糠をよりダイレクトに感じていただけます。
ビターチョコレートは、米糠の風味とカカオ豆の酸味のバランスが取れて双方の個性を楽しめます。
さらに、米糠をチョコレートに合わせてみて面白かったのは、出来たてから少しずつ風味が変化していくことです。時間経過とともに、チョコレートと米糠がより馴染んでいく感覚がありました。米糠もチョコレートの原料のカカオ豆も、農作物であり、自然の営みと同じで、時間経過とともに変わっていく表情を楽しめるのは、佐々木さんとMinimalのこの米糠のチョコレートならではでないでしょうか。そんな部分にも注目していただければ幸いです。
「とおの屋 要」が設立。日本の伝統文化である稲作の継承と「地球と人の両方が健康になっていく好循環が回る世界」をビジョンとする株式会社nondo
米作りと発酵食品の提供を通して、健全な“土”を地球に取り戻し、米が本体持つ力を人々の生活に届けることをPURPOSEとする株式会社nondo。
「どぶろく」という古典的なお酒に対して、伝統的な清酒の製造法を応用することで米のおいしさを最大限引き出し、洗練された味を生み出している、岩手県遠野市にある「とおの屋 要」を営む佐々木要太郎氏によって設立。「とおの屋 要」は、食通が認める世界の飲食店を網羅した最新版食旅世界地図「ベストディスカバリー50」にも選ばれるなど、世界中から注目を集め、内外のシェフや日本酒の蔵人、ソムリエなどもわざわざ足を運ぶ。
佐々木 要太郎
遠野市で100年以上続く民宿の4代目。民宿敷地内に一日一組のオーベルジュ〈とおの屋 要〉を2010年に開業。どぶろくは海外のインポーターや料理人の目にもとまり、世界的に有名なスペインのレストラン〈ムガリッツ〉でも採用された。農家・醸造家・料理人の顔を持ち、その独自な活動が注目されている。
素材と製法を探求するチョコレートの職人チーム「Minimal - Bean to Bar Chocolate -」
Minimal は世界のカカオ産地を訪れ良質なカカオ豆から職人が一つ一つ手仕事でチョコレートの製造をしています。「丁寧にシンプルに、最高の素材を活かし香りを最大限に引き出す」という原点に真摯に、イタリアの三ツ星レストランやフランスの M.O.F.パティスリー、国内外のトップパティスリーで腕を磨いてきた職人達が切磋琢磨し、チームワークでMinimalのチョコレートやスイーツをつくります。
素材のカカオは現地で発酵・乾燥作業の研究やレクチャーを行い、カカオ農家と一緒に高品質高単価に適うフレーバーの開発を行います。プランテーションの名残があるカカオ産業のサステナブルな経済的自立を目指し、技術支援やフェアでエシカルな取引を行います。2019年は JICA の ODA 案件化調査プロジェクトでニカラグアにおいてカカオの調査を行いました。
素材を活かす“引き算”の思想と独自製法により、国際品評会で 6 年連続 69 賞を受賞。基本に忠実に、一方で伝統や手法にはとらわれない自由な発想で皆さまの生活に彩りを加える「こころに遺るチョコレート」をお届けしたいと思います。