JOURNAL

“火入れ・発酵・うま味”がチョコレートを新しくする。Minimal のガトーショコラ専門店「Minimal The Baking 代々木上原」

2019.06.16 #Minimal's Story & Report

Minimal のビジョンは、“新しいチョコレート体験”の提供です。

その軸となるのが“カカオの香りを楽しむ” 商品づくり。そのために私たちは世界中の農園に直接訪れ、良質なカカオ豆を探し続けます。そして、カカオ豆が持つ香りを最大限に引き出す独自の製法で、年間 3,000 以上のレシピを開発しています。

そして2019年6月22日、これまでの知識や経験、技術を土台にしながら、さらに新たな技術を用いて Minimal のチョコレートをもう一歩先に進めた新しい表現のステージに挑戦すべく、新業態となる 「Minimal The Baking 代々木上原」をオープンしました。

今までカカオ豆の香りをダイレクトに楽しむ板チョコレートを中心に開発をしてきましたが、Minimal The Baking では、お菓子を通じてカカオやチョコレートの可能性をより広げ、私たちの『新しいチョコレート体験』をより広く多くの方にお届けする挑戦をします。多くの人に愛されるような、『新しいチョコレート菓子』をご用意します。

コンセプトは「火入れ」

Minimal The Bakingは “板チョコレートとは異なるカカオ豆の魅力を新たに引き出す”ことに挑戦しています。コンセプトは「火入れ」です。

板チョコレートをつくる時、カカオ豆の焙煎は 1 分 1℃単位で味わいが変わってしまうシビアな工程で、非常に細かく慎重に管理・調整しています。

ここからさらに、カカオ豆と砂糖以外の他の素材を使ったチョコレート菓子を作る時には、板チョコレートを作る際のカカオ豆の焙煎（１段目の火入れ）に加え、様々な素材を含んだ生地に２段目の火入れをして変化が起こるため、カカオの香りを引き出すためにはより難解な火入れとなります。

“焼き菓子”では、最終的に表現したい味わいから逆算して火入れを行っていて、これが“カカオの香りを楽しむ焼き菓子”をつくる肝となります。変数が非常に多いので試作は多岐に渡り、試行錯誤を重ねて開発を行いますが、カカオ豆から商品を作るMinimal だからこそできる、カカオ豆を活かしたお菓子として今回「ガトーショコラ」と「チョコレートウィッチ」を作り上げました。

"板チョコレートとして美味しい火入れ"と"チョコレート菓子として美味しい火入れ"。新店舗では、両軸の火入れを極めることで、より新しく美味しい味わいを表現していきたいと思います。

２段火入れと発酵でつくる、カカオ香るうま味のある新しいガトーショコラMinimal The Baking 代々木上原のメインの焼き菓子が「ガトーショコラ」です。開発にあたり、“カカオの香りの最適を引き出す2 段火入れ ” “しっとりもちもち、新食感の生地づくり”、“うま味で素材が引き立つ酵母発酵”という 3つの挑戦がありました。この挑戦の末、素材を活かした新しいガトーショコラを作り出すことができました。

挑戦 1．カカオの香りの最適を引き出す 2 段火入れ

カカオ豆は熱で香りを大きく変化させます。ガトーショコラは、カカオ豆からチョコレートを作る際の１段目の火入れに加え、チョコレートからガトーショコラを作るための２段目の火入れを行います。焼き菓子としての美味しい火入れを探りながらも、カカオ豆がもつ香りを活かすためのレシピ調整が必須となります。カカオの種類によっても１段目と２段目のベストな火入れ具合は異なるため、豆によって試行錯誤を繰り返し、今回のレシピに辿り着きました。

挑戦 2．しっとりもちもち、新食感の生地づくり

焼き菓子の開発を始める時に、味わいだけではなくチョコレートのお菓子として『新しい食感の菓子作り』に挑戦することを掲げました。

チョコレート菓子の食感は、卵やベーキングパウダーを使用した、クッキーのようなサクサクとした食感、生菓子のなめらかでしっとりとした食感、スポンジのようなふわふわとした食感を作り出すことが多いですが、Minimal では様々な素材や焼き方を繰り返し、“酵母（イースト菌）”を使った生地づくりに辿り着きました。

また生地を寝かすのではなく、オーブンで焼く途中で起きる発酵の程度をコントロールすることで、チョコレート菓子としては新しい“しっとり・もっちり”とした新しい食感を生み出しました。しっかり噛んでいただくことで、より深い味わいを堪能いただけます。

挑戦 3．うま味で素材が引き立つ酵母発酵

酵母を用いた目的は食感だけではなく、新しいカカオ・チョコレートの味わいを創り出し、素材本来の香りを楽しむための「うま味を作り出す」という点にもあります。

カカオ豆は農園で発酵を行う発酵食品です。ガトーショコラに酵母を入れて焼くことで、同じく発酵をさせています。この発酵感はMinimal のチョコレートと相性が非常に良く、またカカオの香りをより複雑かつ豊かに引き上げることができます。この『二次発酵』とも言える新しい製法により、板チョコレートとは異なる新たな味わいを創造することができました。

また、発酵はうま味を生み、うま味は満足感となります。通常、焼き菓子の満足感はバターや香料を加えて表現しますが、今回は発酵のうま味により十分な満足感やコクをつくることができたので、バターなどは最小限に抑え、チョコレートにフォーカスした味わいのあるガトーショコラを生み出すことが出来ました。

Minimal のチョコレートの味わいを楽しむ“上掛けチョコレート”部分、香ばしい焼き菓子の味わいを楽しむ “外側（クラスト）”部分、そして発酵により実現したしっとりもっちり、うま味のあるチョコレートの味わいを堪能できる“内側（クラム）”の 3つのパートでガトーショコラをご堪能ください。

今回は、チョコレートらしい味わいと長い火入れによりうま味の強い「High Cacao」と、カカオの果実感を楽しむために火入れを少し浅くして仕上げた「Fresh」の２種類から販売を開始いたします。

■High CacaoNUTTY系のしっかりとしたチョコレートらしい味わいのカカオ豆を使用しています。火入れによる風味の変化が少ないという特徴があり、長めに火入れをすることで発酵が強くなり、心地よい発酵感やうま味が感じられる、多くの方に愛される王道のチョコレートらしい味わいのガトーショコラです。

外側の食感もざくざくとするほどに焼けていて、香ばしさもポイントです。味わい深いのでコーヒーやラテ、バニラアイスなどと一緒に食べていただくのがおすすめです。

■ FreshFRUITY 系のレーズンのような香りが特徴のカカオ豆を使用しています。果実感や酸味を失わないように火入れは弱めに調整をしながら、うま味や香ばしさを加えているので、ほのかにカラメル感が加わりレーズンパンのような味わいに仕上げています。

渋みやスパイス感のある飲み物と相性が良く、紅茶やミルクティー、ポートワインなどと一緒に楽しんでいただくのがおすすめです。

ご自宅用、ギフト用には通常サイズのガトーショコラをおすすめしていますが、お配りやお試し、店内カフェでのお召し上がり用に小さいバトンサイズもご用意しました。シーンに応じてお選びください。また焼き上げてから１週間くらいの間で、できたての食感からしっとりとした食感に変化したり、味わいが馴染んで変化します。ぜひ楽しんでみてください。

カカオが香るチョコレートクリームが主役のチョコレートウィッチ

今回チョコレート菓子の新業態の店舗をオープンし、今まで継続的な販売が難しかった『生菓子』をご提供できるようになりました。そこで、Minimalらしいカカオが香るチョコレートがケーキやシュークリームのようにより多くの人に愛されるきっかけにしたいと思い開発したのが「チョコレートウィッチ」です。“クリーム”、“ビスケット”、“チョコレート”の３つのパートからお作りしています。

主役は軽やかで自然な甘みの「チョコレートクリーム」

クリームは口どけが良く、香り高いカカオ豆の長い余韻をお楽しみいただけます。クリームに乳製品を使うレシピが一般的ですが、今回はチョコレート・甘酒・米油でお作りしています。

目指したのはカカオバターの甘みとカカオの香りを引き出した満足感のある軽やかなクリーム。発酵食品の甘酒によりすっきりとした甘みが引き立ち、カカオの発酵感や香りも引き出され、満足感のあるクリームが完成しました。

クリームを引き立てる「ビスケット」と「チョコレート」

一番外側の２枚のビスケットと、中央に挟んだ板チョコレートは、チョコレートクリームをより美味しく味わっていただくために、風味や輪郭を添える役割です。香ばしさやボディ感を加えていますが、チョコレートは薄く伸ばし、ビスケットもしっとりと薄く焼き上げることで、チョコレートクリームを最も美味しく味わうためのベストバランスに辿り着きました。

ミリ単位で設計したスティック形状でバランスのとれた満足感チョコレートウィッチは、チョコレートクリームを美味しく食べてもらうために形状にもこだわりました。繊細な風味まで存分に味わっていただきたい一方で、クリームらしく満足感も感じてもらいたい。少しサイズを変えるだけでクリームを重たく感じたり、香りを感じとりにくくなるという問題がありました。