東京・世田谷区代沢にあるSalmon & Trout。「サモトラ」の愛称で親しまれている同店は、食材をシンプルに調理した遊び心ある驚きのシェフの料理に、ソムリエがベストなペアリングを提案するレストランです。
そんなサモトラで、UN GRAINの昆布 智成 (こんぶ ともなり)シェフがPop upを開催し、サモトラの中村 拓登(なかむら たくと)シェフと共にMinimalのチョコレートを使ってコースをご用意してくださいました。
今回は、その日のレポートをご紹介します。
カカオで表現した驚きあふれる7皿
今回のコースでは、Minimalの定番フレーバーである「FRUITY」 や「'Arhuaco(アルアコ)」、さらにカカオバターやカカオパルプなども使って、全7皿のコースをおつくりいただきました。
早速、1皿ずつご紹介していきます。
「メロン HERB チョコレート『'Arhuaco』カカオバター」
ペアリング:長珍酒造 花巻亀の尾 65
'Arhuacoのブドウ感を消さずに、グラニテとすることでより複雑味を増したら面白いのではないかと昆布シェフが考え完成した一皿。
ライムやレモン、メロン、青りんご、バジル、大葉、ミント、カモミールなど、一見多すぎるとも思える材料を合わせ、違和感と複雑味をもたせたグラニテに。
そこに'Arhuacoを使った食感がプリンのようになめらかなもの、
さらにミントの香りを合わせたカカオバターと、最後に'Arhuacoを削りトッピング。
複雑な味わいが、口の中に広がり、さらに余韻により香りが伸びていきます。
プリンには粗挽きのチョコレートを使い、きれいに乳化させず、チョコレートの舌触りを楽しんでもらえるよう仕上げたそう。粗挽き特有の香りの良さも活かされた一皿です。
「茶葉 クレームドカシス 湯葉 チョコレート『'Arhuaco』」
ペアリング:Vinos Amibiz Malvar 2020
ブドウのように華やかなフレーバーである'Arhuacoに、茶葉を嫌気発酵したでがらしをあわせたい、という中村シェフの発想から完成した1皿。
酸味を足すためにクレーム・ド・カシスを使い、それらの味わいを引き立てるために湯葉を使用。まるで湯葉がプリン、'Arhuacoがプリンのキャラメルのように楽しめる一皿。
「胡麻 茄子 甘夏 玉蜀黍 枝豆 チョコレート『FRUITY』フィリピンカカオニブ」
ペアリング:月ヶ瀬 長期萎凋煎
チョコレートを溶かして使いたいという中村シェフの一皿。
デザートコースではあるが、満足感のある一皿も用意したいという想いから、枝豆やごま、とうもろこしを合わせ、茄子で油脂分を追加。カカオの種子からできるチョコレートにあわせ、ごまや枝豆などの種子を使用したそう。
これらの味わいが、FRUITYの酸味と合わさり夏らしさも感じる味わいに。
「マンゴー 梅 チョコレート『FRUITY』」
ペアリング:大倉本家 無濾過生原酒 直汲み 2021
FRUITYの柑橘のフレーバーを焦げと合わせたいという昆布シェフの発想から生まれた一皿。
みかんを皮ごと炭で焼いた、炭の香りがうつったみかんのようなイメージから、FRUITYをブリュレにしようと考えたそう。
また、ブリュレにFRUITYを使用する場合、あわせるクリームなどは異なるフレーバーにすることが多いそうですが、今回はブリュレは火が入ったFRUITY、クリームは火が入っていないFRUITYを使って食べ比べができる一皿に。
そこにマンゴーやピンクペッパーでスパイス感、梅のソースで酸味をプラスし、味わいの変化をもたせています。
「チョコレート『FRUITY』冬瓜 ハーブ」
ペアリング:Antidoot L’Abigu 2020/21
昆布シェフのチョコレートケーキに、中村シェフのチョコレートドレッシングを使ったサラダを合わせた一皿。
ベトナム産カカオ豆を使ったFRUITYの味わいから、ベトナムの夏らしさ、雰囲気をだしたいと思考したという中村シェフ。
冬瓜と黒糖でつくったソースに、ハーブを合わせ華やかな味わいに、そこにFRUITYのチョコレートドレッシングを使用することで、味わいをまとめています。
アボガド 白玉粉 カカオバター カカオパルプ 醤油
ペアリング:Conni&Evi Weissburgunder 2019
カカオパルプの味わいから、アボガドを連想した中村シェフによって完成された一皿。
白玉も使い、満足感はありながら全体が重くなりすぎない味わいです。
カカオパルプ バラ 桃 バナナ フィリピンカカオニブ
ペアリング:Arianna Occhipinti SP68 Bianco 2018
チョコレートを使ったお皿が続き少し重さを感じることから、軽やかな味わいを目指して昆布シェフにより完成した一皿。
ブランマンジェにカカオニブの香りを移し、パルプで作ったシートで覆い、さらにバラを使ったアイスやパルプを使ったシャンティクリーム、バナナと桃をカカオパルプで和えたもの、ジャスミンのクリームで構成。
カカオパルプをライチのように置き換えて、華やかな香りをあわせた一品。
全体を軽やかにまとめつつ、ブランマンジェで食べごたえもプラスしています。
今回は、Minimal代表・山下もコースを体験させていただきました。
山下:
今回コースを食べさせて頂き、シンプルに完成度が高く、とても美味しいというお客さんの目線での感想を最初に抱きました。お二人に使っていただき改めて感謝しています。
中村さんは料理として、昆布さんはデセールとしてという表現の拠り所が違うお二人がMinimalのチョコレートのどこに注目して表現するかはとても勉強になりましたし、面白かったです。
今回うちのアルワコとFRUITYというチョコレートが、そのまま使われたり、ソースになったり、ブリュレになったり、ケーキになったりと、様々な表現をしていただけたことで、お皿ごとに見せる表情が違って、とても新鮮な驚きを得ました。そして、手前味噌ながら、「うちのチョコレートってめっちゃ面白い!料理やデセールにすると、香りの高さや味わいの個性、油分の軽さがまるでスパイスのように使えるんだ」という発見がありました。
これはこういった外部のプロフェッショナルとの取り組みならではの醍醐味で、Minimalのチョコレートの可能性を教えてもらえた貴重な体験でした。ありがとうございました。
多くの皆さんにも体験してもらいたい!と心から思ったので、ぜひ来年もまたやって下さい(笑)
Minimalのチョコレートを使っていただいたご感想や、ご自身のことを伺ったインタビューはこちらから。