東京・世田谷区代沢にあるSalmon & Trout。「サモトラ」の愛称で親しまれている同店は、食材をシンプルに調理した遊び心ある驚きの中村シェフの料理に、ソムリエの柿崎さんがベストなペアリングを提案するレストランです。
今回は、Minimalのチョコレートでデセールコースを提供していただいたご縁から、中村シェフに仕事への考え方や、Minimalのチョコレートを使っていただいた感想を伺いました。
※デセールコースのレポートはこちら
ーーー今回のレシピはどのように思いついたのでしょうか?
中村シェフ:
基本的に全体の設計のようなことはしません。普段のコースもそうですが、人との会話の中でこんなものにしたい、とひらめいたりすることが多いです。
生活の延長線上にある料理、ということを意識しているからかもしれません。
素材も、あまり自分から探しに行ったりはせずに、既存の関わりの中のご縁から巡り合うことが多いです。今回のMinimalのチョコレートのコースもそうでしたね。
ーーーMinimalのチョコレートを使ってみていかがでしたか?
Minimalのチョコレートは発酵由来なのか、香りがとても好きでした。扱っていて楽しかったです。個性が強いので、その個性を消さないことに注力しました。
素材とか調味料って、その素材の味わいとか香りを探しにいかなきゃいけないものもあると思うんです。でもMinimalのチョコレートは、探しに行かずとも、その個性が誰でもわかるのが良いなと思いましたね。
ーーー今後の展望を教えていただけますか?
中村シェフ:
表現者でありたいと思っています。
常に自分が前にいなきゃいけないので、素材は、その表現をするための手段であると思ってます。
例えば絵画を描くアーティストの方は、多くは筆とか絵の具、額縁の詳細を見る人に伝えませんよね。この絵を見てどう思いますか?というのが全てだと思うので、私もこの料理を食べて、あなたはどう思いますか?何を感じ取りましたか?というのを食べる人に委ねたいと思っています。
生産者の方をないがしろにするわけではもちろんないですが、素材ばかりを目立たせるのは違うかなと思うんです。
あと、レストランってハレの日に使いますよね。
非日常を求める人もいるのに、普段の生活の要素、サスティナブルなための素材、など世の中のことを説明するのはうーん…と(笑)。
なので、何を使っているのかとか、素材のことは詳細に説明せずに、完成した料理だけを提供したいなと思っています。
ーーー素材は良いものを使うけど、そこではなく完成品をみてほしいということですね。
中村シェフ:
そうですね。
あとは、変わらない良さよりも、これからも変わる良さを突き詰めていきたいと思っています。
先日、10代のときに感銘をうけたレストランに行ったんですが、昔ほどなにかを感じなかったんですね。今でも重鎮というか、すごいレストランなのですが…。
普段食べている食事によって味覚がかわるというよりも、思想とか哲学によって味覚も変わっていくべき、変わっていきたいなと思っています。
日本人ってかわらない良さを重視しがちな面もあると思うのですが、色々なものをとりいれて変わっていくこともずっとやってきたと思うんです。
ーーー日本に住んでるからこその想いもあるのでしょうか?
中村シェフ:
日本人だからという使命感は全くなくて、自分が経験したものをふまえて表現したいなと思っています。
日本にずっと住んでいたから結果日本を感じる表現になっているかもしれませんが、そこは意識しておらず、受け取り方はやっぱり受け手の方に任せたいですね。
自分からこう評価してほしいという想いはないですね。
自分の表現のために全てはあるし、自分の経験をふまえたフィルターを通した結果がでていればいいかなと思います。
ーーーもともと表現したいという想いはありましたか?
中村シェフ:
小学校のときから、なぜか海外で働きたいと思っていて、海外で働けること、例えばデザイナーとかパタンナー、カメラマンとか色々検討したのですが、結局料理人かなと思ったのがきっかけでした。
親が料理をやってたのもあって、料理人がイメージしやすかったからかもしれません。料理で人を喜ばせる楽しさも知っていました。
でも実は人と違うことをする怖さもありました。カウンターで仕事するのも、幼少期を知っている親とかはびっくりしてると思います笑
ーーーシャイな部分と、表現者としての部分が両立しているんですね
やっと表現できるようになったかなと思っています。
Salmon&Trout
多くのフーディーから「サモトラ」の愛称で知られる。2019年6月にリニューアル。中村拓登シェフが作る驚きのある料理を、オーナーカヴィストの柿崎至恩さんが世界の「風土」が見えるお酒やお茶とペアリングして提供する。 http://salmonandtrout.tokyo/
シェフ
中村 拓登(なかむら たくと)氏
辻調理師専門学校卒業、辻調グループ フランス校卒業後、 フレンチレストラン「コム・ダビチュード」、都立大学「八雲茶寮」等にて勤務。副料理まで携わる。 フリーの料理人となり、国内外の料理屋などにメニューを提供や人材育成などに携わる。
Minimalではスイーツやデザート、料理などにもお使いいただける材料用のチョコレートをご用意しております。お気軽にお問い合わせください。