全国の有名シェフから愛されるハーブ園の秘密。「生ガトーショコラ -ミント-」に使用、ニイクラファーム訪問記

2022.07.19 #Minimal's Story & Report

住宅街の真ん中に、のどかな生産緑地が広がっています。
東京都・西東京市。西武新宿線の田無駅からほど近いハーブ農園「ニイクラファーム」です。
150種以上のハーブを栽培し、都内の有名レストランからも支持を集める農園です。

Minimalではこの夏、ニイクラファームから3種の天然ミントを仕入れて「生ガトーショコラ -ミント-」を開発しました。

今回ショコラティエ・パティシエチームの職人が直接、生産地を訪問し、生産者にお話をうかがいました。

畑を歩くと、濃厚なハーブの香り。

Minimalでは、世界中のカカオ農園に赴き、現地の生産者と親交を深めることからチョコレートづくりに取り組んでいます。
生産者と直接話して農園の管理や仕事の様子を実際に目にすることで、素材の品質を深く知ることができます。

ニイクラファーム代表の新倉大次郎さんは、ていねいな物腰ながらミントやハーブ栽培にかける熱い思いがにじむ口調で、農園をご案内してくださいました。

“田無”という土地柄は周囲よりも高台になっており、その名の通り昔から「田んぼが無い」場所だそうです。そこで古くから宿場町や、稲作以外の栽培に注力してきた歴史があります。

新倉さん
「稲作ができないことから、たくわん用の大根などを栽培してきたのですが、スーパーの西友と直接取引をし出したのを機にハーブ栽培を始めました」

露地栽培※とビニールハウス栽培のハーブが整然と並ぶ畑。
草木に少し近づくだけで強い香りが風に乗って運ばれてきます。ハサミで茎の先端を切って摘み、そのまま口に含んで味を確かめます。葉や茎を折ると、さらに香りが強く漂います。
※ハウスなどではなく屋外の畑で栽培する方法

ミント、バジル、ローズマリー、ローレル、ラベンダーなどメジャーなハーブから、カレーリーフなど希少なハーブまで一つずつご説明をいただき、味見をさせていただきました。どれもが濃密な香りを放っています。

 

 新倉さん
「収穫をしていると作業着や身体に香りが移るので、その後に人に会うと香水をつけていると思われることがありますね(笑)」

ミントの香りは、生育に厳しい環境ほど強くなる。

新倉さん
「ミントなどのハーブの香りは、そもそも虫にとっては“毒”なんです。
ハーブは自分が虫に食われないように香りを発するんですね。害虫避けにハーブを使った商品もお店で見かけることもあると思います。」

「そして、ハーブにとっては“生育に厳しいる環境”の方が、より強い香りを発します。あまり生育環境が快適すぎるとダメなんですね。実際にヨーロッパに行くと、ハーブが採れるところは痩せた土地が多いです。同じような例で、ブドウも挙げられます。ワインに適する”水はけがよくて粘土質の土”とは、要するに“肥えていない土地”のことです」

「だから、ハーブにはなるべくストレスをかけます。ただ、枯れてはいけないので様子を見ながら適度に肥料は与えます。スパルタで厳しくしつけたいですが、やりすぎはダメということです。子育てと一緒ですね(笑)」

ミントづくりは、土づくりから。

新倉さん

「うちの農園の土は、踏むととても柔らかいのがわかると思います。

柔らかい土は「団粒(だんりゅう)構造」によるものです。土の粒子が結びつくときに隙間ができるのですが、ここに空気や水などが入り込みます。ふかふかした柔らかさはそのためです。

隙間の中にミネラルなどが溶け出した地下水が含まれ、ハーブは根っこから吸い上げます。」

「日本は火山列島で、地質学的には火山灰土の土壌が多いです。

植物の栽培に必要な三大栄養素はチッソ、リン酸、カリなのですが、火山灰土はリン酸を吸収してしまい、植物に行き渡りにくい性質があります。

リン酸が効かないと植物の生育に不利になるのですが、日本人は堆肥を仕込むなど創意工夫による土壌改良を行なってきました。うちの農園では水はけを良くして、柔らかい土の層を1メートルくらい造っています。これを維持管理していくのがなかなか大変です」

「生産者の方の思いも、チョコレートを通してお客様に伝えていきたい」

パティシエ・ショコラティエチームのメンバーの今回訪問した感想です。

山田)「新倉さんのハーブは前職で勤めていたレストランでずっと使わせてもらっていました。

昨年モヒートを開発する際に10年ぶりくらいに畑にお邪魔しました。久しぶりに素晴らしいハーブに触れながらお話をしていく中でお菓子にも使いたいという思いが膨らみ、今回実現しました。

100種類以上のハーブそれぞれが個性がしっかりしているのはもちろん、どう使ったらよりそのハーブの良さが出るかをしっかり教えてくださる新倉さんの知識の多さや、おいしいハーブを作る、だけで終わらず、お客様に届いた時にいかに楽しんでもらうかまでを日々考えながらお仕事をされている姿勢に改めて感動しました。

私達も誠実にものづくりに取り組み、生産者さんの想いもお客様にしっかり伝えて行けるように日々励んでいきたいと思います。」

奥野)「カカオ農家を訪れた経験から、カカオ以外にもスイーツに使わせていただいている素材の農家さんも訪問してみたいと思っていました。

今回実際に訪れ、それぞれのハーブの香りの強さ、そして種類の多さに本当に驚きました。

同じ種類のハーブでも、露地とハウス栽培で香りに明確に違いがでていたりと、生育の方法で味わい・香りに大きな差がでることを実感しました。このハーブの良さを、自分たちのスイーツで多くの人に楽しんでいただきたいと改めて思います。

新倉さんのお話を伺って知識量の多さ、自分の仕事に対する誇りや、新しいことへ挑戦していく姿勢、話術には敬服し大きな学びとなりました。

ハーブに限らず色々な食材に関して沢山学ぶ姿勢を持ち続けていきたいと思います。」

増田)「東京にある畑を見学させて頂く事自体が貴重な体験でとても楽しみにしていました。実際に訪れると、想像以上のハーブの種類の多さ、香り、味の濃さにとても驚きました。

土壌や天候の話、田無という地域の歴史からハーブ料理の話まで沢山のお話も伺う事ができ大きな学びとなりました。誇りを持って生産を行っている姿やより良いハーブを作ろうとする工夫や努力、常に新しい物を取り入れようという姿勢もとても素晴らしいなと思いました。

生産者の方の思いもチョコレートやお菓子を通してお客様に伝えていきたいです。」

ニイクラファームの採れたてミントで、Minimal流の“チョコミント”。

ニイクラファームの採れたて3種ミント(ペパーミント、スペアミント、アップルミント)を使った生ガトーショコラは、数量限定で販売中です。

一般の“チョコミント”は、香料と着色料で人工的に作られたフレーバーが多いのですが、Minimalでは香料も着色料も一切不使用で、天然素材のミントとカカオで製造しています。

 ペパーミント
メントールを多く含み、清涼感が強く、ピリッとした刺激のある香りが特徴です。今回は特に香りの強いブラックペパーミントを使用しました。

スペアミント
穏やかな清涼感の中に甘さがあるのが特徴です。一般的によく使われるミントで、バランスが取れています。 

アップルミント
青リンゴのようなフルーティな香りが特徴のミントです。ハーブティーやポプリにもよく使われます。

Minimalでは香りの適度なバランスを探るため、ミントの配合を何パターンも試作し、きめ細かく調整しました。

夏にふさわしい清涼感あふれる味わいで、半解凍でアイスケーキのようなひんやりスイーツとしての楽しみ方もぜひおすすめです。

 

※農園視察中は、新型コロナウイルス感染症対策のためマスクを着用しています。

※ニイクラファームは個人向けの農園見学や商品販売を行なっていません。何卒ご理解のほどよろしくお願いいたします。

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