6/1より数量限定の新タブレットの発売が決定
今回新発売するのは『FRUITY CITRIC コロンビア』。”マーマレードのような柑橘フレーバー”が特徴の新タブレットは、コロンビアの南西部にある「トゥマコ」という町のカカオ豆を使っています。
実は、現在販売している”ナッツのような香ばしさとコクのある風味”が特徴の「NUTTY CHOCOLATY コロンビア」も同じくこの「トゥマコ」のカカオを使ったチョコレートです。
”カカオは産地によりまったく風味が違う”ということはいつもお伝えしているのですが、今回は同じ「コロンビア トゥマコ産」なのに、「NUTTY」と「FRUITY」という異なるフレーバーホイールでカテゴリー分けをするほどに風味が異なるチョコレートに仕上がりました。
これは一体なぜなのか、その理由をもつカカオ産地「トゥマコ」についてレポートします。
いまだ紛争の影響を受ける地「トゥマコ」
トゥマコとは、南米コロンビアの南西部の海岸沿いにあり、エクアドルとの国境にほど近い港町です。
コロンビアは50年にわたって続いていた内戦の終結を2017年8月に宣言したばかり。この内戦とは、「政府」と「共産主義ゲリラ組織」との戦いでしたが、その共産主義ゲリラ組織の近年の資金源は「コカ栽培」でした。
港町であるトゥマコは、密輸にとっても最適なルートであり、またコロンビア最大のコカの栽培地でもありました。これにより、内戦とは切っても切れない縁がある町となり、今年に入ってからも銃撃事件が発生しています。
内戦終結宣言がなされた今でも、紛争の中心地のひとつであった影響を受けている町です。
多種のカカオが眠るトゥマコ
そんな紛争問題に悩まされているトゥマコには、実はカカオ農家も1,400農家ほど存在します。同じくコロンビアにある町「シエラネバダ」は30農家程度、「アルワコ」には60農家程度しかないため、とてもカカオ農家が多い町といえます。
実際に、カカオはトゥマコで暮らす人々の生活に強く根付いています。薬やエナジードリンクとしてだけではなく、日常の朝ごはんやおやつとしてなど、あらゆる場で「自家製カカオドリンク」が飲まれています。トゥマコは、カカオ農家が多いためか自家製カカオドリンクのバリエーションが類を見ない多さとのことです。
また、カカオ生産地として非常に古い歴史がある町で、”樹齢200年”と想定されるカカオもみられます。この昔ながらのローカルカカオに加え、移民とともに他の地域から新しい品種のカカオが持ち込まれたり、2000年以降は、コカ栽培の代替物として政府やUSAIDといった機関が持ち込んだカカオも多くあります。
こういった歴史により、トゥマコには非常に多くの種類のカカオが栽培されています。さらに、別品種のカカオの自然交配も進んでいるため、その種類は把握しきれないほどです。
まさにこの種類の多さが、”同じ産地なのに異なるフレーバーをもつ”理由です。カカオが持つフレーバーは、その地域によっても異なりますが、農家一軒一軒によって異なります。
トゥマコのカカオは、今までに確認出来ただけでも、ナッティー、ウッディー、シトリック(柑橘)、スパイシー、スウィート(カラメル)という幅広い多様なフレーバーのカカオが、宝探しのように発見されています。
解明はまだ始まったばかり
コロンビアでは、カカオの栽培は政府にも支援されていますが、トゥマコの入り組んだカカオはいまだ未解明の部分が多いのが現状です。特に古くからあるローカルカカオは、「レヒオナル(Regional)」とひとくくりに分類されており、その品種の細分化はまだ行われていません。
このトゥマコに眠る多くのカカオについて、今まさに研究が進めている最中です。発酵や乾燥の技術もまだまだ始まったばかりで、伸びしろがまだまだあるカカオ産地なので、これからが非常に楽しみです。
今回届けてもらったマーマレードのような柑橘フレーバーのカカオとの出会いも一期一会です。またこのフレーバーに出会うことができるか、私たちとしてもわかりません。トゥマコで栽培された南国のフルーツ”カカオ”を、チョコレートを通してお楽しみいただければ嬉しく思います。
(写真提供 CACAO HUNTERS®)
新タブレット『FRUITY CITRIC コロンビア』レシピ開発中
今回のタブレットは、”カカオがフルーツである”ということがとてもよくわかるようなカカオ濃度が高めなレシピに仕上がりそうです。次回は、レシピ製造の秘話について、エンジニアリングディレクター朝日にインタビューします。