「ペアリング」と聞くと、レストランでワインに合う料理を組み合わせるシーンを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。
料理に限らず、チョコレートも相性の良い飲み物と合わせることで、単体で食べるときには出会えなかった美味しさが楽しめます。
この記事では、ペアリングの「3つの基本理論」、失敗しないコツやよくある疑問を、Minimalのチョコレートの味わいを担うエンジニアリングディレクター朝日が解説します。
創業メンバーでもある朝日は、イタリアンの料理人から食の仕事をスタートし、イタリア本国での仕事を通じて現地ソムリエ資格を取得。その後スペシャリティコーヒーのバリスタ、そしてMinimalの開業、と「香りと味わい」の領域でキャリアを歩んできました。
さまざまな専門分野を渡りながら、一貫して「香りと味わい」を深めた朝日の視点から、ペアリングの世界をご紹介します。

1. ペアリングとは?
「ペアリング」という言葉自体は、2つのものを組み合わせる動作のことを意味します。
現在では「相性が良い組み合わせ」をペアリングと呼ぶことが多いです。
チョコレートは、カカオの産地や製法の違いによって、様々な風味をもちます。
ベリーやりんごのような果実味、ナッツのようなコク、ハーブや花のような香りなど多岐にわたりますが、今回はこれらを大別して「ナッツのような風味」、「果実のような風味」、「ハーブや花のような香り」の3つに分けて、ペアリングを考えます。
2. ペアリングの基本理論3つ
ペアリングを考える時には、3つの方法を使うことができます。
①同調:似ているもの同士で組み合わせる

味わいが似ているチョコレートと飲み物を組み合わせる、最も分かりやすいペアリング方法です。
例えば、ナッツのような風味のチョコレートは、「甘味」と「苦味」が特徴です。
ここに、同じ「苦味」要素をもつ「コーヒー」をあわせると、心地よい苦味や香ばしい香りが強調されます。
②対比:対象的なもの同士で組み合わせる

味わいが対象的なチョコレートと飲み物を組み合わせるペアリング方法もあります。
例えば、フルーティなチョコレートや、花のような香りをもつチョコレートには、強い「渋味」を伴うことがあります。
ここに「ミルクティー」をあわせると、チョコレートの渋味がミルクの脂肪分でほどよくカバーされ、本来チョコレートがもっていた、心地よい香りの余韻をしっかりと感じることができます。
これは、「渋味」の反対となる要素(脂肪分や旨味)をミルクがもつため、チョコレートの渋味が穏やかになり、相対的にカカオの香りを感じやすくなる、という変化によるものです。
③補完:足りない要素を補う
足りない要素を補って、バランスをとるペアリング方法です。
例えば、「酸味」にはベリー系や柑橘系など、いくつかの系統に分かれます。
「ベリーのような酸味」をもつチョコレートに、「柑橘のような酸味」のある「浅煎りのコーヒー」を合わせると、より深みのある余韻を感じやすくなります。
このペアリングでは、異なる系統の酸味をチョコレートと飲み物で補い合うことで、酸味に奥深さや立体感が生まれます。
また、足りない要素を補い合うことで、新たな風味が形成される効果が生まれることもあります。
りんごのような風味のチョコレートに紅茶を合わせると、ベリーのような味わいになるというのも、補完によって新たな風味が生まれる一例です。
3. 失敗しないペアリングのコツ
初めてペアリングに挑戦するときは、似ていると思うもの同士を合わせる「同調」から始めることがおすすめです。
甘味のあるもの同士、苦味のあるもの同士、渋味のあるもの同士で合わせてみて、それぞれ単体で食べるときよりも味わいが強化されることを体感してみてはいかがでしょうか。
「同調」のペアリングに慣れてきたら、次は「補完」を試してみることがおすすめです。「〇〇と△△を組み合わせると■■のような風味になる」という事例は世の中にたくさんあるので、その事例を追体験してみると面白いと思います。
4. よくある質問:合わせる飲み物の温度と順番は?

チョコレートは溶けることで風味や香りが広がっていくため、基本的に冷たい飲み物よりも、温かい飲み物の方がおすすめです。
お酒の場合は、アルコール自体に揮発性があるため、温かくなくても香りが広がりやすい傾向にあります。とはいえ、冷やして飲むよりは常温で飲むほうが香りを感じやすいです。

冷たいお酒と合わせるときは、チョコレートを先に食べて、食べ終わりにお酒を一口飲む、という順番が重要です。冷たい飲み物を先に飲むと、口の中でチョコレートが固まり、味や香りが閉じてしまいます。
比較的に、日本酒は苦味が弱く、甘味の強い傾向にあるため、チョコレートと相性が良いものを見つけやすいと思います。
5. まとめ
ポイントをおさえれば、ペアリングは想像よりも始めやすいものです。
お気に入りのフレーバーのチョコレートに合う飲み物を探してみたり、普段よく飲むドリンクに合うチョコレートを見つけてみたり、色々な楽しみ方があります。
ぜひご自宅や店頭で、気負わずチョコレートのペアリングを試してみてください。