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素人の僕たちが脱サラして、3年で最高峰の品評会で金賞を受賞するまで。「ICAゴールド受賞」

コラム・レポート

January 14, 2018

 

チョコレートの素人が、世界大会で金賞。

 

2017年10月10日、ロンドン。 「インターナショナル・チョコレート・アワード(ICA)」のワールドファイナル(世界大会)の授賞式がありました。 最終発表はその場で壇上からコールされるため、会場には世界中からショコラティエやチョコレート関係者が集結します。

インターナショナルチョコレートアワードは10以上のエリア大会があり、そのエリア大会で受賞した作品がワールドファイナル(世界大会)に進みます。僕たちが出品しているPlain/origin bars(香料を用いないシンプルな板チョコレート)カテゴリでは、これまで日本ブランドは1社も最高賞である金賞(ゴールド)を受賞したことがありませんでした。

 

そして、皆が固唾をのんで見守る結果発表。

 

結果は、Plain/origin bars部門のRough ground/texturedでMinimalは金賞(ゴールド)受賞という快挙を達成しました!

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ICAは30か国を超える国から数千以上の出品があります。世界最高峰の国際品評会での最高賞の受賞は、チョコレートの品質の証となるひとつになります。創業から3年というスピードで受賞できたことに驚きました。

 

この快挙を噛み締めながら、3年間を思い返していました。 もともと、チョコレートの素人で知識もなかった僕たちが「チョコレートを新しくする」という壮大なビジョンを掲げ、チョコレートの新しい文化創りに挑戦してきたこと。カカオと向き合い、山ほどのトライ&エラーを積み重ねてきたこと・・・。

 

なぜ、異業種出身の僕たちがたったの3年で世界一という快挙に至ったのか。

 

ビジネスと食のプロが、チームを組んで創業。  

Minimalは2014年、3人のビジネスパーソンと、1人の食の職人がチームを組んで起業しました。4人のバックグランドは全くと言っていいほど違っていました。 

コンサル業界出身で「カウンターカルチャー」と「モノづくり」といった発信者のメッセージ性があるモノが大好きな山下、IT業界畑を歩み「社会問題の解決」と「食べる事と飲む事」をライフワークとする田淵、税理士として日々数字に向き合いながら「音楽やキャンプ」と「ブランド創り」といった数字では見えないモノを愛する湊谷、イタリアのバールでコック・ソムリエ・バリスタとしてキャリアを積み「クラフトマンシップ」と「美味しさと新しさ」を追究する朝日。ビジネスと食のプロが集結して多様性をもったチームを組みました。

Minimalが産声を上げたのは、そんな僕たちが「カカオ」の奥深さに驚き、コーヒーやワインのような「嗜好品」として楽しむ可能性を強く信じたことが発端でした。 「産地で味が全然違う!?」「これがチョコ!?」「私はこれが好きだけどこっちは苦手かも?」「ワインが好きなあなたはこのチョコレートが好きだと思う⁉」といった会話が生まれるチョコレートなんて今まで見たこともなく、これは新しいチョコレート体験になる!と胸が熱くなりました。 チョコレートを「嗜好品」として捉えなおして食文化を新たに築いていくという使命に、すっかり夢中になりました。

 

世界で1番。それは失敗の数!?

僕たちはよりおいしいチョコレートをつくるために、すべてをゼロから手探りで始めました。

最初は、良いカカオを仕入れようとカカオ農園に出向きました。 正直農園に行っても何を見ればよいのかもわかっていなかった。買付と言うとカッコよく聞こえるが、最初は失敗ばかり。売ってもらえない事すらありました。そこからコツコツ信頼関係を積み上げていきました。そして、取引をするだけではなく、僕たちも「発酵」作業を学んで生産者と協業するようになりました。 農業大学の先生に頼み込んでボランティアで「発酵」を教えて頂き、現地で実践してみる。しかし、ここでも結果は失敗ばかりでした。たとえば「ナッツ系のフレーバー」を目指すつもりが、酸っぱいカカオに仕上がってしまうといった感じです。コスト面のリスクは僕たちが背負うため、商品として使う事ができない豆であっても当然それを僕たちが買い取るしかなかった。立ち上がったばっかの貧乏スタートアップにはこのコストを支払うのがとても重い。ラッキーなんてないことを思い知った。いきなりやって成功するはずがなかった。でも1回の失敗は100回本を読んで勉強するよりも多くの事を気付かせてくれました。実際に経験してみて初めて分かることがたくさんある事を身をもって学びました。そして、そういった経験の積み重ねが着実に僕たちに蓄積していきました。

チョコレートを製造する機械の選定も、当然手探りでした。そもそも素人でチョコレートの作り方や機材の知識なんて一切ない。加えて僕たちの目指すチョコレートは「新しいチョコレート」。通常の機械ではやりたいことができない。 チョコレート屋さんから料理屋さんまであらゆる工房をまわりました。やっと調理器を選んだものの価格が高すぎて買えなかったり。より良い調理のためにチョコレート用ではない機械を導入したものの、カカオ豆が硬すぎて部品の摩耗と交換が尋常ではなくランニングコストがめちゃくちゃ高くついたり。 カカオを探すのも世界中を巡りましたが、機械を探すのでも世界中を回っていました。

 

その他にも思い出したらキリがないくらいたくさんの失敗をしました(笑)

カカオの良い発酵ができてホッと胸を撫で下ろしたところで、今度は貿易や国際物流の知識が乏しく、輸送コンテナや通関手続きなどについて、慌てて勉強をしたこともありました。やっとカカオ豆を買えるぞ!と思ったら、日本の農薬基準で引っかからないように農薬の種類と検査を実施しないといけないことがわかり、0から調べたり。豆を持ってくるだけでこんなに大変だななんて思っていませんでした。

つくってもつくってもチョコレート製造が間に合わず、最終的には全員総出で24時間ノンストップで工房を動かし続けたこともありました。まだ準備は大丈夫だろうと油断していたら、展示物の印刷が間に合わなかったこともありました。お客様が開店前から50名くらい並んでもらっているのに、連日の売り切れで開店前30分前に30枚しかBarが残っていなかったり・・・(あの当時のお客様本当に申し訳ございませんでした)

 

今思い出しても冷や汗が出ることばかりですが、こうした失敗やトライ&エラーの中で確実にカカオ豆の事やチョコレートの事が理解できて、少しずつですがチョコレートの品質は良くなっている手応えがありました。

 

カカオの知識と、お客様の声。

そんな僕たちの最も力になったのは、お客様の声でした。 食の感想というのはとても素直です。食べて美味しくないものは売れないし、お客様の顔を見ればわかります。僕たちは素敵なお客様に助けて頂き、美味しいチョコレートを作るヒントを本当にたくさん頂きました。またお客様が飲物や他の食品と「ペアリング」をすることでチョコレート単体では気づけなかった魅力を掘り起こしていただき、レシピにフィードバックすることもありました。

また、他分野の食のプロフェッショナルの仲間と一緒にコラボレーションする機会もたくさん恵まれました。食のプロである仲間にアドバイスをいただく機会は僕たちの発想を広げて、もっと自由にしてくれました。

そんなお客様や仲間に本当に感謝をしています。そして、それは今でも一緒です。多くのお客様や仲間に恵まれて品質向上の貴重な機会を頂いています。僕たちは幸運なことに、本当に素晴らしいお客様や食仲間に恵まれたこと。これを本当に噛み締めて、努力しないといけないといつも思います。

そして、膨大な数のトライ&エラーを繰り返して、徐々に僕たちがカカオの栽培や成分や特徴に詳しくなり、レシピに活かせることも多くなっていきました。 チョコレートをつくればつくるほど、カカオ豆は品種×土壌×農法による一期一会の農作物だという事に気づきました。極端に言えば、同じものなんて一つとしてないのです。そして、その魅力にのめり込んでいきました。知れば知るほど、「僕たちはこんなにも何もカカオやチョコレートの事をわかっていなかったのか」という事を思い知ります。それは今でも一緒です。だから楽しく仕方ないです(笑)

 

僕たちはビジネスと食のプロフェッショナルとはいえチョコレートはまったくの異業種でしたので、今までのスキルがうまく通用せず、自信を失ったこともありました。 それでも「まだ見ぬ美味しいカカオやチョコレートを食べたい」「好きだから頑張れる」「どうなるかわからないけど新しい挑戦はワクワクする」「この仲間と一緒に」という力は、最後の最後にものを言うことを実感しました。そして、自分たちが実際に体感したことの先にだけ成長があることも痛感しました。

 

失敗の先にあったカカオの知識習得とお客様の声のフィードバックは両輪で、僕たちに最高の学びを与えてくれました。それを製造に活かして一歩一歩品質を上げられるようになりました。

恐れたのは、失敗することではなく、スピードを落とすこと。

大胆な失敗や無数のトライ&エラーを愚直に続ける中で気づいたことがあります。 それは、自分たちなりの質の基準が少しずつできたこと、そしてカカオの世界においてそれはまだまだ稀なのではないか、ということです。 これはチョコレートの素人が、「チョコレートを新しくする」という少々挑発的なビジョンを掲げたからこそできたことかもしれません。

僕たちは、農園・製造・販売までの広い範囲を少人数でコンパクトに、皆でナレッジを共有しながらトライ&エラーを高回転でまわし続けることを課しています。 創業時から毎週欠かさず会議を行い、その週のトライと反省と次のアクションを共有しながら蓄積してきました。

 

そして最も気をつけていたのは、失敗することではなく、挑戦するスピードを常に保つことでした。超高速でアップデートを繰り返すことで、どんどんより良いチョコレートがつくれていると考えてきました。 Minimalが短時間で数々の賞を受賞させていただいた最大の要因はここにあると思います。
失敗を恐れるな!本当に恐ろしいことは挑戦をしなくなることだ!と強引に言い聞かせ(笑)、スピードを落としませんでした。それは一人ではできなかったかもしれません。チームだったからこそできたことではないかと思います。

 

「やるべきことをやった」とは「一切の言い訳ができない」こと。

 

この仕事を始めてから出会うことができた、嬉しい瞬間がありました。 それは、新しい完成品をお客様に初めてお披露目するときのことです。

僕たちの中で「やるべきことはやった」という自信はあったものの、いやむしろ、そうであるからこそ、「一切の言い訳ができない」という恐ろしさと向き合うことになりました。 加えて、自分たちが信じたものが「美味しさ」という、ロジックやプレゼンでは納得をさせられない個々の「感覚」でしたので、特に富ヶ谷本店のプレオープンのテイスティングイベントの時には本当にドキドキでした。

 

お客様の驚きや表情や喜びの声を目の前でみて、本当に嬉しかった。あのときの緊張感と喜びは、今も忘れることがありません。

 

もっと多様なメンバーが集まり、チョコレート品評会ワールドファイナルにて、金賞へ。

 

Minimalの仲間は増えていきました。グローバル企業で経営管理をしたメンバー、大手アパレルで店長経験のあるメンバー、有名店でシェフパティシエを勤めたメンバー、本場北欧でバリスタをしていたメンバーなど。チョコレート業界に止まらない多様で、本当に良いメンバーが参画してくれました。

仲間が増えて、挑戦はさらに加速して拡がっていきました。

そんな中で2016年に初挑戦した「インターナルショナルチョコレートアワード2016」で、初参加でアジアアメリカ大会で金賞を受賞し、臨んだワールドファイナル(世界大会)では一歩及ばず銀賞受賞。
だからこそ、その悔しさをばねに臨んだ2017年ワールドファイナル(世界大会)での金賞受賞は本当に嬉しかったです。

「インターナショナル・チョコレート・アワード2017」のワールドファイナル(世界大会)で金賞(ゴールド)を受賞したのは、国内チョコレートブランドでは、小山進氏率いる「エスコヤマ」と、辻口博啓氏率いる「ル ショコラ ドゥ アッシュ」と僕たちMinimalの3社だけでした。日本を代表するパティシエの両巨匠と僭越ながらも肩を並べさせていただけたことは身に余る光栄です。

 

また、Plain/origin bars(香料を用いないシンプルな板チョコレート)カテゴリでは、日本ブランド初の金賞(ゴールド)受賞となりました。

 

品評会で最高賞を頂くことはとても嬉しい事ですが、Minimalの「チョコレートを新しくする」というビジョンと新しいチョコレートの文化創りからすると、まだまだ大きな山の1合目くらいだと捉えています。新しくすることは既存の評価指標では測れないことが多く含まれているからです。 チョコレートが「嗜好品」として当たり前に認識され、新しい楽しみ方で楽しまれる文化として定着するまで、僕たちは今後もトライ&エラーを高速で積み重ねていきます。

もっと美味しくて、新しいチョコレートを皆さまにお届けできるように精進していきます。

今回の金賞(ゴールド)受賞商品を含む受賞セットを発売開始します。ぜひバレンタインデー・ホワイトデーの機会に一度ご賞味ください。

※ICA世界大会受賞3pcsセット。
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2018.1.22 タイトルの訂正について

 

■以前のタイトル
素人の僕たちが脱サラして、3年でチョコレートの世界一になるまで。「ICAゴールド受賞」

 

「チョコレートの世界一」というタイトルについてご指摘をいただきましたので、訂正を致しました。

 

今回Minimalが受賞をしたのは「インターナショナルチョコレートアワード」という国際品評会で、Minimalが製造するビーントゥバーにおいて世界最高峰の大会になります。

 

一方でチョコレートの世界にはビーントゥバー以外にも商品がたくさんあり、またビーントゥバー以外の商品での世界大会もありますため、限定的な条件において「チョコレートの世界一」という表現が適切ではないと判断をして訂正を致しました。

 

ご指摘をいただきありがとうございました。

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