カカオとコーヒーの違いとは?

2022.08.22 #from Cacao Farm

どれがカカオの写真かお分かりになりますか?

すぐに分かった方は、きっとカカオ通ですね。

正解は右側の2枚がカカオの写真です。右下の写真の木にぶら下がっている赤い実が「カカオ」で、この中にある豆がチョコレートの原材料『カカオ豆』になります。

ちなみに左上の写真が「コーヒー豆」で、左下は「コーヒーチェリー」です。「コーヒーチェリー」と呼ばれる赤い実の中にあるタネが「コーヒー豆」です。

よく混同されがちなコーヒーとカカオですが、実は全く違う植物です(コーヒーはアカネ科、カカオはアオイ科)。

しかし一緒に食べるととても相性のよい両者には多くの共通点があります。
コーヒーとカカオの共通点について、Minimal代表 山下貴嗣と丸山珈琲代表 丸山健太郎氏のトークセッションを通してご紹介します。(収録:2017年1月24日) ※記事公開 2017年9月11日、記事更新 2022年8月22日

生産地:カカオベルトとコーヒーベルト

丸山代表
「最初にコーヒーとチョコレートについて、簡単にご説明していこうと思います。コーヒーが採れるのは『コーヒーベルト』という赤道をはさんだエリアです。(薄青いエリア) チョコレートにも『カカオベルト』というのがあるんですね。」

山下
「そうですね。ほぼ一緒なんですけど、ちょっとだけカカオの方が狭くて、北緯と南緯20度以内の地帯になります。(赤いエリア)」

丸山代表
「やっぱりカカオのほうが暑い場所がいいということですよね?」

山下 
「そうですね。平均気温が27度くらいです。」

丸山代表 
「平均気温27度ってけっこう暑いですね。」

山下 
「だいぶ暑いです。」

丸山代表 
「私、先週ケニアにいたんです。よく『ケニアとか暑いですよね?』って言われるんですけど、たとえばナイロビは標高が1800メートルくらいあって、昼間は30度を超えないんですよ。夜は11度くらいなので、昔の夏の軽井沢くらい。」

山下 
「カカオは基本的に1000メートル以下でしか育たないと言われていて、300メートルくらいの低地のことが多いので、ずっと暑いです。」

丸山代表  
「(世界地図を見て)パッと見て思ったんですけど、オーストラリアでも採ろうと思えば採れるということですか?」

山下  
「採れます。じつは今、オーストラリアでBean to Bar Chocolateもちょっとだけ始まっています。」

コーヒーは生産地の標高で、品質が決まる!?

丸山代表  
「今日はカカオポッドの実物をお持ちいただけたということで。」

山下 
「これですね。私、年末にインドネシアに行ってまして、ちょうど本物をお持ちしました。」

丸山代表 
「このままラグビーとかもできそうですよね(笑)」

山下 
「本当にそのくらいのサイズです(笑)。今、持っているもので中くらいです。だいたい50粒くらいの豆が入っています。」

丸山代表  
「カカオは降雨量が2000ミリなんですね。コーヒーも1500~2000ミリなんて言われますけど、本当に熱帯雨林ということですよね。」

山下 
「そうなんです。基本的に夕方はスコールが降る地域です。3日も雨が降らないと今日はラッキーだねという感じです。」

丸山代表 
「コーヒー農園がどういう感じかというと、私が初めて行ってびっくりしたのがなんだ雑木林じゃん』って思ったんですね。『農園行くぞ』って言われてただの雑木林に連れていかれてよく見たらコーヒーがあったって感じでした。カカオはどうですか?」

山下 
「カカオも『熱帯ジャングル』という感じです。」

丸山代表 
「コーヒー生産地は標高が高いところにあるので、農家が住んでる自宅は里のほうにあって、収穫期にだけ使う家が農園のそばにあることが多いんですよ。
カカオの場合は、家から毎日通える感じですよね?」

山下 
「そうですね。私が行った農園は家があって裏山にカカオがあるっていう感じが多かったです。」

丸山代表 
「コーヒーの産地によっては『栽培してる』っていうよりも、実がなったから採りにいこうみたいなところがあるんですけど、カカオはどうですか?」

山下 
「似ていますね。まだまだしっかりカカオを管理してとか、農園をきれいにしてということをやり出している人が少ないです。
曾じいちゃんの代から裏山にカカオが植わってて収穫したら買ってくれるみたいな感じで今も続けていることが多いですね。」

丸山代表 
「コーヒーとカカオを一家で両方やってることもありますよね。」

山下 
「あります。カカオ産地は基本的に低地なのでクオリティーは高いのかわかりませんが、コーヒー豆とカカオが隣り合って農園があることはありますね。」

丸山代表
「そう。コーヒーって『標高』でだいたい味のクオリティが決まっちゃうんですね。1000メートルくらいだといいコーヒーを作るにはちょっと低くて難しいと言われています。
コーヒーは今、地球温暖化の影響をまともに受けてまして、いい生産地は標高の高いところなんですけど、どんどん暑くなっているのでコーヒーの品質が少しずつ落ちているんです。いずれなくなっちゃうんじゃないかというショッキングな観測もありまして……。
皆さんがよく飲んでいるアラビカというコーヒーがあるんですが、2035年とか2050年には採れなくなるんじゃないかとも危惧されています。
徐々に改善されてはいるのですが、カカオへの転作も同時に進んでいます。」

製法:チョコレートとコーヒーができるまで。

山下 
「先ほどのカカオポッドを収穫して中の白い実をパルプと呼ぶのですけど、パルプとタネを取り出します。

それを木箱に詰めてバナナの葉っぱなどにくるむんですね。そこに酵母がいて発酵を行ないます。それを水分値6%くらいまで乾燥させた状態にして船で日本に運びます。

そして、工房では、焙煎をして砕いて成型をしてチョコレートにしていきます。 工房での製造工程は省いてご説明してしまいましたが、チョコレートって『発酵食品』ということなんですね。」

丸山代表 
「コーヒーの焙煎ってだいたい10分~15分でやるんですけど、カカオはどのくらいですか?」

山下 
「標準で30分~40分くらいですね。長いときは50分もあります。」

丸山代表 
「コーヒーのつもりで10分の焙煎だとダメでしょ? 焦げちゃうんですか?」

山下 
「温度によりますね。香りが開いてこないということもありますし、高い温度でやってしまうと焦げて苦味になってしまいますね。」

丸山代表  
「なるほど。」

丸山代表 
「コーヒーのほうは、コーヒーって赤い実の中に入っているタネなんですね。そのタネをいかに取り出すかということで機械で剥いて、カカオと同じように発酵させます。発酵するとタネに付いているベトベトがサラッと取れるようになります。 コーヒーの場合はそれを取るのがメインなので、だいたい12~24時間発酵させます。昔は36時間だったんですけど、今はどんどん短くなってます。」

山下 
「カカオは最低でも5日発酵させます。長いと7日のこともあります。」

丸山代表 
「コーヒーの発酵は、味を作るというよりは周りの粘液質を取るわけですけど、カカオの場合は発酵が味作りに影響を与えているんですよね。」

山下 
「そうなんです。 酵母がアルコールを生成してそこから酢酸菌・乳酸菌・クエン酸菌という菌類が活性化して、豆の内部で「香りの素」ができるんです。 それを焙煎の温度によって香りを開かせることで、チョコレートの風味が生まれるんですね。」

丸山代表 
「コーヒーは10~11%くらいに乾かすと緑色の生豆になります。これを10~15分で焙煎すると珈琲豆になる、というのが簡単な一連の流れですね。」

チョコレートとコーヒーのペアリング

丸山代表  
「コーヒーとチョコレートをペアリングしてみます。 まずコーヒーを口に入れて、口内を温めておいてからチョコレートを召し上がってみてください。

このコーヒー、最初から酸味を感じづらかったと思うのですが、チョコレートと合わせることによって、コーヒーの中にある香りが開いて感じやすくなるのではないかと思います。」

山下 
「単体で食べたときと合わせたときで『味が変わる』という感覚を実感していただければ嬉しいですね。

お互いが繊細なもので、複雑な香りを持っていたりもするので、僕自身も発見があって楽しいです。」

丸山代表
(試食しながら)「結果的にやはり“酸”が特徴的ですよね。
Bean to Bar Chocolateを食べるとやはり酸の特徴を強く感じるのですが、それはやはり強いファクターと見てよいのですか?」

山下  
「そうですね。普通のチョコレートからすると酸と言われてもあまりイメージがないと思うのですが、Bean to Bar Chocolateは“カカオという果実”の味が出ているので、酸の印象が強くなるのだと思います。」

丸山代表
「コーヒーってフレーバーを感じるのが難しいと言いますか、『ただ苦いだけじゃない?』『ただ酸っぱいだけでしょ?』と思われてしまうのですけど、チョコレートと合わせていただくことで、分かりやすくなるんですね。
自転車の補助輪と言いますか。これはとっても面白いなと思いました。」

山下 
「それはチョコレートもきっと同じで、コーヒーと合わせることで弱いシナモンのような余韻が長く続くと思うんですけど、チョコレート単体ではスッと味が消えている印象があるんですよね。

うちのチョコレートはザクザクしていますので、噛むごとにゼロリセットしていくのですが、じつは単体ではそれほど香りの余韻は長くないんですね。

コーヒーのおかげでチョコレートの個性を引き出されていると思っています。
コーヒーとチョコレートは全く異なる完成品ですが、『コーヒー豆』と『カカオ豆』には、多くの共通点があります。コーヒーとチョコレートのペアリングが奥深くよく合うのは、この共通点のおかげかもしれません。

もっとも気軽に楽しんでいただけるペアリングの一つですので、ぜひお試しになってみてください。」

 

コーヒーとチョコレートは全く異なる完成品ですが、「コーヒー豆」と「カカオ豆」には、多くの共通点がありました。コーヒーとチョコレートのペアリングが奥深くよく合うのは、この共通点のおかげかもしれません。

もっとも気軽に楽しんでいただけるペアリングの一つでもありますので、ぜひお試しになってみて下さい。

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