世界カカオ紀行③ 〜昔ながらの自然農法の産地・ハイチ〜

成田発ニューヨーク経由の飛行機で、17時間。

 

ハイチは、カリブ海に浮かぶ南国・イスパニョーラ島にあります。 北海道よりやや小振りなこの島に、ハイチとドミニカという2ヶ国が国境を接しています。

首都・ポルトーフランスの空港で飛行機を乗り継いでカパイシャンの空港まで1時間。そこからは車で2時間。カカオ農園のアキルディノー村は低地の山間にありました。

 

2010年の震災の傷跡がまだ残るハイチは、最貧国のひとつで市街地では車から外に決して出ないよう、現地コーディネーターから注意を受けました。 カカオ農園は他国とかわらずのどかで、大きな危険はなくガスや水道はない一帯です。

 

伝統的な自然農法で生まれるカカオ カカオ豆は、ハイチの農作物の中で第3位の輸出用農作物です。15,000〜20,000軒の小規模農家があり、年間約4,500トンのカカオを生産しています。 しかし、地続きの隣国ドミニカが年間6万トンを生産していることを思えば、生産量が低く留まっている印象は否めません。 そこには、地理的・歴史的経緯が大きく影を落としています。

ハイチでは、カカオ豆の病害虫が発生する恐れがあまりないことから、多くの農家が伝統的に「自然農法」を採用しています。 平たく言えば、「手を加えて栽培する」というより、「自然の循環に委ねる」感覚です。

 

ハイチには、歴史的に「大地」を崇拝し、大事にする背景があり、それがおいしいものをつくる知恵なのだという自負があるためです。 こうしたカカオ豆栽培に適した気象条件には恵まれる一方で、2010年のハイチ地震や、2016年のハリケーン「マシュー」など甚大な自然災害に見舞われる土地柄でもあり、生活や社会のインフラ整備がなかなか進まない要因になっています。

そして、ドミニカに比べると豆の味わいと香りを決める「発酵・乾燥」の技術や整備が立ち遅れ、今でも9割近い農園が昔ながらのプロセスによる処理を行なっていると言われています。

これは元々、17世紀の宗主国・フランスが、ドミニカにはカカオ栽培を増やすための施策を行なう一方、同じ植民地のハイチには行なわず、「発酵・乾燥」の技術が根付かなかったことが一因と考えられています。 この「発酵・乾燥」の技術が進展しないことで、ハイチのカカオ豆はコモディティ向けの国際市場で安く取引される銘柄のひとつとなっています。国際価格から15〜20%近く下げられ、農家は収入を減らしています。

 

隣国のジャマイカやトリニダードでは、ハイチの2倍以上の価格が付くこともあります。 自然のままの環境が生み出すマイルドな「ナッティ」な味わい このようにハイチでは伝統的な発酵・乾燥技術のままであることが多いため、コモディティマーケットの国際基準に従うとハイチ産のカカオ豆は一律に品質が悪いと捉えられているのが実情ですが、じつはMinimalでは「ナッツ」のようなマイルドな風味に秘められたポテンシャルを感じています。

 

隣国のドミニカのカカオは「フルーティ」なカカオとして評価を得ているのに対し、私たちのハイチ産カカオの印象は、素朴でナチュラルな「ナッティ」な味わいでした。

カカオは品種、テロワール、発酵・乾燥など多くの複雑な条件により風味が千変万化します。 ハイチの「ナッティ」な味わいは、自然のままの農法と発酵管理が残っている(もしくは改良段階にある)からこそ生まれている個性であると考えられます。

今後、技術革新と環境整備が進むにつれ、ハイチのカカオも品質が安定してくることが期待されますが、現在のハイチの特徴である“自然そのままのマイルドなフレーバー”もひとつの大きな魅力であるため、新旧のスタイルと風味が上手にバランスをとりながら成長してもらえることを期待しています。

 

今、カカオ農家の収入向上プログラムとして、農家の近隣地域だけで親しまれてきたカカオを食す習慣をハイチ全域に広げ、国内の販路を開拓する試みが始まっています。

100%チョコレートにスパイスをまぜて団子状のボールをつくり、ホットミルクやお湯に溶かして飲んだり、さとうきび酒にカカオを漬けたリキュールを地酒としてたしなむといった食文化が原産国に広がれば、ハイチ全体にカカオとチョコレートの新たな文化が根付くことになります。 それは、長期的に生産者の意識向上を促すとともに、ハイチのカカオ品質向上につながり、農家の継続的な収益確保にも結びつきます。

「ナッティ」な持ち味をそのまま活かすMinimalの製法 ハイチは、離島、地震、ハリケーンといった地理的な要因から生産技術がまだ安定しない環境ですが、現地で直接お会いした生産者は陽気なラテン気質で、「うちのカカオが一番うまいだろ?」とプライドをもってファインカカオの生産に取り組んでいました。

 

国際市場のハイチ産カカオの評価とは異なり、Minimalが扱うカカオ豆は、外見上の発酵が不十分であるという印象は抱いていません。むしろ丸みを帯びたクリオロ種系の良質な豆も多く見受けられます。 コクや醸造感があり、ナッティな強みを持つ個性の豆をていねいにチョコレートに仕上げることで、多くの方に気に入っていただける人気商品になっています。

 

ハイチは仕入れバッチによって豆のキャラクターが変わるため、Minimalでは毎回慎重に見極めています。 醸造感が強い豆の場合はローストによる香ばしさを付け過ぎないようにして生ナッツのような個性をそのまま引き出し、逆にナッツのような印象が強い場合は少し香ばしくローストすることでローストナッツのようなキャラクターを引き出すように調整をしています。

 

こうして素材のキャラクターを探って隠れた魅力を引き出すことができるため、単純に産地だけで品質や味わいを語りきれないところに、チョコレートづくりの面白さがあります。 ハイチのカカオ豆はチョコレートらしい味わいを残している上、渋味の要素も少ないため、ドリンクやアイスクリーム、また100%カカオのまま食べる「カカオニブ」としてはむしろ適しており、Minimalでは親しみやすい味わいの商品に仕上げています。

 

 

ハイチの味わいをより楽しむペアリング。

ハイチ産カカオのまろやかな味わいをさらに楽しむため、Minimalでは他の食品との「ペアリング」をオススメしています。 ボイルドアーモンドのような甘味、甘酒のような醸造香といったハイチ産カカオを使ったチョコレートの特徴から、ナッツ、チョコレート、コーヒー、カラメル、醸造香のある食材とは共通性があって良い相性と言えます。

 

また、ケーキやお菓子でもよく組み合わされているようにナッツやチョコレートは、フルーツやハチミツとの相性もとても優れています。 まず「コーヒー」とは全般的に相性がとても良く、ハイチ産カカオを使ったチョコレートの王道としてオススメです。 「紅茶」でも、カラメルやハチミツなど甘みの特徴があるものや、フルーティーな香りのものは凝縮感のある味わいを生むことで、チョコレートと組み合わせて楽しい体験をしていただけると思います。

 

同様に、ナッツ・カラメル・ハチミツ・バニラといった甘みや香ばしさ、フルーティーな香り、醸造香にそれぞれ着目をすると、「白ワイン」や「ブランデー」、熟成系の「ラム」や「日本酒」とのペアリングもお楽しみいただけます。 ハイチはまろやかで幅広いものに相性が良いので、お気に入りのアイテムで新しい組み合わせを見つけていただけるととても嬉しいです。

 

また、ハイチは、サトウキビから作られるラム酒や、コーヒー豆の名産地としても知られています。このコーヒーにラム酒を数滴垂らす「ハイチコーヒー」という独特のスタイルがあります。ラムの甘い香りがコーヒーに加わり、より芳醇な味わいへと変化を遂げます。 同じ風土で育った農作物は同じような波長や傾向を持ちやすいため、同じ原産国の素材を上手に組み合わせた「ペアリング」の上質な一例と言えます。

 

ハイチ産カカオのチョコレートも、こうしたハイチ産のコーヒーなどの食材と組み合わせて試してみることで、さらに新しい味わい方を見つけられるかもしれません。 ぜひ楽しみながらご自由にチャレンジしてみてください!

 

 

ハイチ共和国

○位置:西インド諸島イスパニョーラ島内の西部地域

○人口:1,000万人

○年間カカオ生産量:4,500t(世界26位)

 

 

Minimal LINEUP

 

NUTTY RAW-LIKE / ローストアーモンドのような骨太な風味 / 2014.11-2016.4 NUTTY CHOCOLATY / 飴がけアーモンドのような深みのある甘い風味 / 2016.5-2016.10

NUTTY RAW-LIKE / ボイルドアーモンドのような風味 / 2016.11

 

出典:

Team Cacao『カカオ豆ハイチ産』

Confectionery news『After the Earthquake:Haitian cocoa reprises on high-end chocolate scene』

FOMIN『Haitian chocolate: You say cocoa, I say cacao』

ecowatch『How Your Choice of Chocolate Can Help Reforest Haiti』

カカオ豆・産地

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