カカオとコーヒーの違いって??

2018.09.11 #from Cacao Farm

どれがカカオの写真かお分かりになるでしょうか?

すぐに分かった方は、きっとカカオ通ですね。

正解は右側の2枚がカカオの写真です。

下の写真の木にぶら下がっている赤い実が「カカオ」で、種の部分がチョコレートの原材料『カカオ豆』になります。

左側の写真はチョコレートと相性の良い「コーヒー」です。

上の写真が「コーヒー豆」で、下は「コーヒーチェリー」です。「コーヒーチェリー」と呼ばれる赤い実の中にある種が『コーヒー豆』となります。

 

よく混同されるコーヒーとカカオですが、実は全く違う植物です(コーヒーはアカネ科、カカオはアオイ科)。

しかし一緒に食べるととても相性のよい両者には、産地や種子などの多くの共通点があります。

 

コーヒーとカカオの共通点について、Minimal代表 山下貴嗣と丸山珈琲代表 丸山健太郎氏のトークセッションを通してご紹介します。

 

カカオやコーヒーチェリーの栽培や買い付け、そしてペアリングの楽しみ方まで多岐にわたってお話ししました。

丸山代表 最初に、コーヒーとチョコレートについて、簡単にご説明していこうと思います。

コーヒーは「コーヒーベルト」という赤道をはさんだ地域が、コーヒーの採れるところとしてあります。(薄青いエリア) チョコレートにも「カカオベルト」というのがあるんですね。

 

山下 そうですね。ほぼ一緒なんですけど、ちょっとだけカカオの方が狭くて、北緯と南緯20度以内の地帯になります。(赤いエリア)

 

丸山代表 やっぱりカカオのほうが暑い場所がいいということですよね?

 

山下 そうですね。平均気温が27度くらいです。

 

丸山代表 平均気温27度ってけっこう暑いですね。

 

山下 だいぶ暑いです。

 

丸山代表 私、先週ケニアにいたんですけど、よく「ケニアとか暑いですよね?」って言われるんですけど、たとえばナイロビは標高が1800メートルくらいあって昼間は30度を超えないんですよ。夜は11度くらいなので、昔の夏の軽井沢くらい。

 

山下 カカオは基本的に1000メートル以下にしか出来ないと言われていて、300メートルくらいの低地のことが多いので、ずっと暑いです。

 

丸山代表 (世界地図を見て)パッと見て思ったんですけど、オーストラリアでも採ろうと思えば採れるということですか?

 

山下 採れます。じつは今、オーストラリアでBean to Bar Chocolateもちょっとだけ始まっています。

 

丸山代表 コーヒーもオーストラリアで採れます。一度うちも扱ったことがあったのですが、あまり良くなくて今は使ってないんですけど。

 

丸山代表 左がコーヒーのチェリー、右がカカオポッドなのですが、今日はカカオポッドの実物をお持ちいただけたということで。

 

山下 これですね。私、年末にインドネシアに行ってまして、ちょうど本物をお持ちしました。

 

丸山代表 このままラグビーとかもできそうですよね(笑)

 

山下 本当にそのくらいのサイズです(笑)。今、持っているもので中くらいです。だいたい50粒くらいの豆が入っています。

 

丸山代表 カカオは降雨量が2000ミリなんですね。コーヒーも1500~2000ミリなんて言われますけど、本当に熱帯雨林ということですよね。

 

山下 そうなんです。基本的に夕方はスコールが降る地域です。3日も雨が降らないと今日はラッキーだねという感じです。

 

丸山代表 昨年末はインドネシアだったんですか?

 

山下 ぎりぎりで帰ってきました。

 

丸山代表 私は12月28日に出発しまして、インドで年越しをしてきました。 そういう意味ではやることが似てますね(笑)。

 

丸山代表 コーヒー農園がどういう感じかというとですね、左はコロンビアの農園で、標高1600~1800メートルくらいの急峻な斜面ですね。

必ずしも斜面じゃなくても、標高が高ければ平地で作ってもいるのですけど。まれに標高2000メートルくらいにある農園ハウスに泊ると空気が薄くて頭が痛くなるくらいです。

 

山下 右側がニカラグアのカカオ農園ですね。中米はわりと火山が多いので、コーヒーと似ていて斜面にカカオを植えていることが多いです。

 

丸山代表 私、コーヒーの買い付けで初めて行った産地がニカラグアなんです。コーヒーの農園に初めていってびっくりしたのが「なんだ雑木林じゃん」って思ったんですね。

「農園行くぞ」って言われてただの雑木林に連れていかれてよく見たらコーヒーがあったって感じでした。カカオはどうですか?

 

山下 カカオも「熱帯ジャングル」という感じです。

 

丸山代表 この写真は比較的開けているほうですか?

 

山下 そうです。もっと鬱蒼としてますね。中米は特別で、斜面にあるので開けているんですけど、平地にあるところだと本当にジャングルの中を歩いてる感じですかね。

 

丸山代表 コーヒー生産地は標高が高いところにあるので、農家が住んでる自宅は里のほうにあって、収穫期にだけ使う家が農園のそばにあることが多いんですよ。

カカオの場合は、家から毎日通える感じですよね?

 

山下 そうですね。私が行った農園は家があって裏山にカカオがあるっていう感じが多かったです。

 

丸山代表 コーヒーの産地によっては「栽培してる」っていうよりも、実がなったから採りにいこうみたいなところがあるんですけど、カカオはどうですか?

 

山下 似ていますね。まだまだしっかりカカオを管理してとか、農園をきれいにしてということをやり出している人が少ないです。

曾じいちゃんの代から裏山にカカオが植わってて収穫したら買ってくれるみたいな感じで今も続けていることが多いですね。

 

丸山代表 コーヒーとカカオを一家で両方やってることもありますよね。

 

山下 あります。カカオ産地は基本的に低地なのでクオリティーは高いのかわかりませんが、コーヒー豆とカカオが隣り合って農園があることはありますね。

 

丸山代表 そう。コーヒーって「標高」でだいたい味のクオリティが決まっちゃうんですね。1000メートルくらいだといいコーヒーを作るにはちょっと低くて難しいと言われています。

コーヒーは今、地球温暖化の影響をまともに受けてまして、いい生産地は標高の高いところなんですけど、ニカラグアってじつは標高の高いところがあまりなくて、どんどん暑くなっているのでコーヒーの品質が少しずつ落ちているんです。いずれなくなっちゃうんじゃないかというショッキングな観測もありまして……。

皆さんがよく飲んでいるアラビカというコーヒーがあるんですが、2035年とか2050年には採れなくなるんじゃないかとも危惧されています。

徐々に改善されてはいるのですが、カカオへの転作も同時に進んでいます。

 

山下 そこまでは分からなかったのですが、ニカラグアではカカオ農園を出るとコーヒー農園ということはけっこうありました。

 

チョコレートとコーヒーができるまで。

山下 上のステップが産地で、下のステップが日本の工房で、僕らが作業をする工程になります。

産地で言いますと、先ほどのカカオポッドを収穫して中の白い実をパルプと呼ぶのですけど、パルプとタネを取り出します。それを木箱に詰めてバナナの葉っぱなどにくるむんですね。そこに酵母がいて発酵を行ないます。それを水分値6%くらいまで乾燥させた状態にして船で日本に運びます。

そして、工房では、焙煎をして砕いて成型をしてチョコレートにしていきます。 工房での製造工程は省いてご説明してしまいましたが、チョコレートって「発酵食品」ということなんですね。

 

丸山代表 コーヒーの焙煎ってだいたい10分~15分でやるんですけど、カカオはどのくらいですか?

 

山下 標準で30分~40分くらいですね。長いときは50分もあります。

 

丸山代表 コーヒーのつもりで10分の焙煎だとダメでしょ? 焦げちゃうんですか?

 

山下 温度によりますね。香りが開いてこないということもありますし、高い温度でやってしまうと焦げて苦味になってしまいますね。

 

丸山代表 なるほど。

 

丸山代表 コーヒーのほうは、コーヒーって赤い実の中に入っているタネなんですね。そのタネをいかに取り出すかということで機械で剥いて、カカオと同じように発酵させます。発酵するとタネに付いているベトベトがサラッと取れるようになります。 コーヒーの場合はそれを取るのがメインなので、だいたい12~24時間発酵させます。昔は36時間だったんですけど、今はどんどん短くなってます。

 

山下 カカオは最低でも5日発酵させます。長いと7日のこともあります。

 

丸山代表 コーヒーの発酵は、味を作るというよりは周りの粘液質を取るわけですけど、カカオの場合は発酵が味作りに影響を与えているんですよね。

 

山下 そうなんです。 酵母がアルコールを生成してそこから酢酸菌・乳酸菌・クエン酸菌という菌類が活性化して、豆の内部で「香りの素」ができるんです。 それを焙煎の温度によって香りを開かせることで、チョコレートの風味が生まれるんですね。

 

丸山代表 コーヒーは10~11%くらいに乾かすと緑色の生豆になります。これを10~15分で焙煎すると珈琲豆になる、というのが簡単な一連の流れですね。

 

 

コーヒーとチョコレート、それぞれを味わってみましょう。

 

丸山代表 コーヒーは、エチオピアのイルガチェフェという地域のコカーナという銘柄なんですけど、ちょっと飲んでいただいてご感想などをいただけますでしょうか?

エチオピアというのは、俗にいう「モカ」ですね。

 

お客様1 飲みやすいです。まろやかですね。

 

丸山代表 今度は、チョコレートを試食していただきましょう。

 

山下 口の中で溶かしていただいたり、うちのチョコレートはザクザクした食感があるので、噛んでみてその感触を楽しんでください。

チョコレートはコロンビアの北部にあるシエラネバダという地域で採れたカカオを使っています。

 

お客様2 酸味があっても食べやすいですね。

 

山下 桃やベリーのようにまろやかで食べやすいですよね。

 

丸山代表 桃とかベリーというと、女性は「うんうん」とうなずいてくださいますけど、男性は少し難しそうな顔になりますよね(笑)。

私もコーヒーのテイスティングを始めたとき、「花の香り」と「ベリー系」が分かりづらかったですね。最近はさすがに分かるようになりましたけど、なにしろ普段ベリーなんて食べないものですから。女性はベリーを食べるので訓練されています(笑)

 

山下 酸味に関しては女性のほうが敏感な印象がありますね。

 

丸山代表 私は神奈川の大磯というところが出身なんですけど、蜜柑が酸っぱいんですよ。ちっちゃいときから食べていてもう嫌なんですけど、うちの妻なんかは「酸っぱいなら酸っぱいだけ好き!」という感じですからね。

 

 

コーヒーとチョコレート、組み合わせるとどんな味になるでしょうか。

 

丸山代表 では、両者をペアリングしていきましょう。 まずコーヒーを口に入れて、口内を温めておいてからチョコレートを召し上がってみてください。

このコーヒー、最初から酸味を感じづらかったと思うのですが、チョコレートと合わせることによって、コーヒーの中にある香りが開いて感じやすくなるのではないかと思います。また、このチョコレートに桃やベリーを感じづらかった方も、コーヒーと合わせることによって、ベリーの感じが分かりやすくなりませんでしたか?

こういうふうに説明すると催眠術みたいですが(笑)。「感じはじめた~感じはじめた~」みたいな。

 

山下 単体で食べたときと合わせたときで「味が変わる」という感覚を実感していただければ嬉しいですね。

お互いが繊細なもので、複雑な香りを持っていたりもするので、僕自身も発見があって楽しいです。

 

丸山代表 では、一方でもう一つご用意したのが、ごく普通に出回っているコーヒーです。

先ほど飲んでいただいたのは、産地と生産組合まで分かっていて、その中で一番の上物です。

マグロで言うと、大間や土肥や萩で上がった150kg級の本マグロの上身のエラの下くらいにある部位を食べていただいた感じです。 それに比べると、こちらはいろいろな豆が混ざってしまっています。マグロで言えば、スーパーで売っている冷凍のメバチマグロという感じです。何の話をしているのでしょう(笑)

 

山下 丸山さんがこんなコーヒーを飲むことはないでしょうね。

 

丸山代表 いやそんなこともないんですよ(笑)。コンビニでもマックでも飲みます。

このごく普通のコーヒーをまず飲んでいただいて、それから、何の作為もなくコンビニで買ってきた板チョコがありますので、こちらを食べていただくと、皆さんが普通に体験しているペアリングを感じていただけると思います。

私たちからすると、けっこう雑味がありますし、ちょっとゴムみたいな香りもしますよね。

この組み合わせはコーヒーの悪い味をピックアップしてしまっているんですね。先ほどのコーヒーだけを飲んだときは気づかなかったかもしれませんけど、やはり普通のコーヒーは過熟味も未熟味もごちゃごちゃになっているので酵素反応が出てしまっているものもあります。

この後に、先ほどの天使のようなコーヒーを(会場笑)飲んでいただくと、改めてこのコーヒーとチョコレートの面白さを感じていただけるのではないかと思います。

 

お客様3 全然違いますね。普通のコーヒーとチョコレートのペアリングは雑味があって私は無理です(笑)

 

山下 (試食しながら)コンビニのチョコレートとコーヒーは味が強いので、少し落ち着かせてから試したほうがいいですね。

 

丸山代表 (試食しながら)結果的にやはり「酸」が特徴的ですよね。

Bean to Bar Chocolateを食べるとやはり「酸」の特徴を強く感じるのですが、それはやはり強いファクターと見てよいのですか?

 

山下 そうですね。普通のチョコレートからすると「酸」と言われてもあまりイメージがないと思うのですが、Bean to Bar Chocolateは「カカオという果実」の味が出ているので、「酸」の印象が強くなるのだと思います。

 

丸山代表 お客様の中で「桃」を感じられた方、いらっしゃいますか?

(お客様が挙手)

丸山代表 すばらしい! 実は、「コカーナ」というのは現地語で「桃」という意味なんです。

ヨーロッパでは「ノッツ」という名前で出ていてすごく人気のコーヒーなんですけど、あまりに人気で品薄になるのでアジア向けには名前を変えて「コカーナ」として出したいと言われまして。

どうして「桃」という名前なのですか?と聞いたら、「桃のフレーバーがあるから」ということでした。

 

山下 それは知らなかったです(笑)。びっくりしました。

 

丸山代表 これだけを飲んだときに桃をそんなに感じづらかったのですが、ペアリングでコーヒーが助かっているところがあるんですね。

コーヒーってフレーバーを感じるのが難しいと言いますか、「ただ苦いだけじゃない?」「ただ酸っぱいだけでしょ?」と思われてしまうのですけど、チョコレートと合わせていただくことで、分かりやすくなるんですね。

自転車の補助輪と言いますか。これはとっても面白いなと思いました。

 

山下 それはチョコレートもきっと同じで、コーヒーと合わせることで弱いシナモンのような余韻が長く続くと思うんですけど、チョコレート単体ではスッと味が消えている印象があるんですよね。

うちのチョコレートはザクザクしていますので、噛むごとにゼロリセットしていくのですが、じつは単体ではそれほど香りの余韻は長くないんですね。

コーヒーのおかげでチョコレートの個性を引き出していただいていると思っています。

 

 

コーヒーとチョコレートは全く異なる完成品ですが、「コーヒー豆」と「カカオ豆」には、多くの共通点がありました。コーヒーとチョコレートのペアリングが奥深くよく合うのは、この共通点のおかげかもしれません。

もっとも気軽に楽しんでいただけるペアリングの一つでもありますので、ぜひお試しになってみて下さい。

 

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