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特別対談:Minimal×丸山珈琲 「チョコレートとコーヒーのペアリングを極める」第2回

商品・開発秘話

January 20, 2017

 

第2回「6ヶ月におよぶ開発奮闘記」

丸山珈琲×Minimalによる「チョコレート&コーヒー」のペアリング新商品をめぐる、両社開発者の特別対談第2回は、いよいよ商品開発段階での試行錯誤に迫っていきます!

丸山珈琲の商品開発責任者は、鈴木樹氏。

2016年ジャパンバリスタチャンピオンに輝いた、国内最高峰の実績を誇るバリスタです。スペシャルティコーヒーの第一人者である丸山健太郎代表の監修のもと、レシピ開発に当たりました。

Minimalは、代表・山下貴嗣の監修のもと、エンジニアリングディレクターの朝日将人が務めています。

 

チョコレートとコーヒーの「産地」を選び抜く

 

——開発の発端は、「コーヒーとチョコレートを同じ産地で合わせると面白いのではないか?」というアイデアでしたね。

 

鈴木さん

そうでした。最初は、コーヒー4種と、チョコレート4種を持ち寄って試作を開始しました。コーヒーは、インドネシア、ボリビア2種、コロンビアをご用意しました。

 

朝日

チョコレートは、インドネシア、ボリビア、コロンビア2種でした。

鈴木さん

ただ、コーヒー豆には「旬」があり、この時期であればこの産地のコーヒー豆がいい、というものがあるんですね。今回の2月のバレンタイン時期に「良い状態」になる銘柄となると、なかなかチョコレートと産地を合わせることがベストの判断ではないということになりましたね。

 

——産地を合わせる面白さより、「旬に合わせたベストペアリング」に照準を絞ることになりました。

 

鈴木さん

旬な銘柄でコロンビア産のカカオ豆に合うコーヒー豆として、最終的には、ブラジル、コスタリカ、エチオピア、ボリビアの銘柄をご用意しました。

 

——そして、エチオピア産のコーヒー豆にたどり着いたのでしたね。

 

朝日

チョコレートはコロンビア産のカカオ豆を合わせることにしたのですが、エチオピア産のコーヒーが持っている「酸」の特長にチョコレートは何を合わせるか、味わいのバランスをどう取っていくかを探る作業になりました。同じ豆でも挽き方や焼き方で変わりますから、そのどこを合わせたらより豊かな味わいになるのかというのを検証しました。

 

鈴木さん

コロンビア産のチョコレートは、ベリー系の華やかさがあって良い選択だったと思います。

 

——華やかさというのは、香りの重層さや複雑さというニュアンスですか?

 

鈴木さん

香りの個性もそうですし、酸の複雑さもそうですね。

 

朝日

香りがたくさんあることが重要であるけれども、それが同じ向きを向いていてくれないとペアリングは難しいのですね。その点で、エチオピアもコロンビアも同じ方向性で相性がよく、より複雑に仕上がったという印象です。

 

チョコレートの数十パターンの試行錯誤

 

朝日

ペアリングはお互いのバランスをどうとるかが重要だと僕は思っています。コーヒーの特徴がある中で、どうやってバランスをとっていくか。Minimalのチョコレートと合わせることで、アタックの強さと余韻がどう活きるのかが大事です。

Minimalのやり方は「素材ありき」で、焙煎温度や粉砕する粒度を微調整しながら試せるパターンをすべて試してみるということになります。あとは理屈と照らし合わせて検証するのですが、今回鈴木さんに試してもらった試作品も数十パターンにのぼりました。基本は同じ方向を向いているので、極端に合わないものはない中で、どのパターンがよいのかを探る緻密で繊細な作業になりました。普段の商品開発以上に試作は必要になりましたね。

 

——両者の顔合わせだけでも5~6回に及びましたね。

鈴木さん

チョコレートをたくさん試食したときには、単体で食べてまずワッと驚く味わいがあることを大事にしていました。Minimalさんのチョコレートはキャラクターがずいぶん違うので迷いましたね。フレーバーの鮮やかさが違うというか、切れ味のいいグラインダーで挽いたような透明度の高い風味が・・・・・・。

 

朝日

このたとえ伝わりますかね(笑)。フレッシュ感が強くてクリアということですよね(笑)。

チョコレートは、凍結粉砕という工程を行なっていますが、これはインパクトを作るためで、一方で味わいのバリエーションを作るにはもう少し挽いていくことになります。今回は、その両方を求められるという難題をいただいたわけですね。そこで口どけを滑らかにした粒度を変えたチョコレートにも挑戦しました。

 

鈴木さん

滑らかなチョコレートも美味しかったんですけど、やっぱりMinimalさんらしいザクザクした食感の方がいいなと思ってしまったんですね。うちの丸山(代表)も猛プッシュしていました(笑)。

 

完成直前のコーヒーのさらなる調整

 

——コーヒーのほうもエチオピア産で決まっていたところで、最終的に同じエチオピア産でも銘柄を変えることになりましたね。

 

鈴木さん

そうなんです。元々は「エチオピア・ゲラ」という豆だったのですが、「エチオピア・コカーナ」という豆に変えました。今年は、コカーナを早めに入手できることができて、サンプルを取り寄せてみたら、近年稀に見るほどの素晴らしいエチオピア豆だったんです。

丸山珈琲では、豆を取り寄せたら社内でランク付けをするのですが、その中でも最高ランクの「グラン・クリュ」シリーズになりました。

ゲラでもよいペアリング体験を提供できることは間違いないのですが、フレーバーのノートを見るとコカーナのほうが味わいの要素がすごく複雑で、香りも複雑で、何よりさらにフレッシュで状態が良いというものでしたので、今回のペアリングにはふさわしいと判断をしました。

朝日

たしかにゲラとコカーナを並べて試飲すると、鮮やかさが変わってきますね。

 

鈴木さん

透明度もそうですし、甘さのボリュームも、酸の質も、違うんですよね。丸山(代表)とも二人で「これしかないね!」となりました。

 

――これが、丸山代表が世界中をまわり、産地から直接買い付けているという丸山珈琲ならではの強みですよね。

 

“農産物”としてのペアリング

 

鈴木さん

Minimalさんとの共同開発は、ずっとワクワクしながら驚きの連続でした。毎回私たちの要求する期待以上のものを持ってきてくださるので——それは、試作品の数であったり、品質であったり、情熱であったりするのですが——本当にやりがいがありました。進めていく中でどんどん方向性は変わっていったのですけど、お客様にもっとよりよい体験をしていただけるという確信を持って進めていけたところもよかったです。味づくりに関しての緻密な分析も的確で、何を投げても受け答えてくださるのがありがたかったですね。

朝日

私もかつて「スペシャルティコーヒー」の世界に身を置いていた時期がありましたので、一通りは分かっているつもりではあったのですが、丸山珈琲さんの経験値に裏打ちされた品質を前に、もっと奥深く豊かな世界を見せていただけたと感じています。普段でもなかなか話せない次元での深い領域で話ができたことは得がたい経験でした。

鈴木さん

コーヒーってどうしても単体ではお伝えできることに限りがあると思っているのですが、こうしてコラボレーションさせていただくことで、コーヒーの良さをさらに引き出してお伝えできると私自身は感じています。単に飲み物や甘い物を摂取するということを越えて、その中にどんな種類の香りや味わいがあるのか、一緒に合わせることでどんな発見があるのか、ということを少しでもお伝えできれば嬉しいです。

 

朝日

チョコレートとコーヒーはよく合うと思われているものなのですけど、実際に合わせたらどちらかが勝ってしまってうまくいかないことが多いのです。今回は、人間の手の入りすぎない「同じ農産物」としてのペアリングを形にできたところが一番大きな収穫でした。

 

鈴木さん

今までこれで10点満点だと思っていたコーヒーも、じつは100点にも200点にも可能性が広がると感じていただける体験をお届けできたら嬉しいですね。

   

今回の特別対談は、専門家同士の開発秘話ということで、とても細部にまつわる話が多くなりました。

チョコレートとコーヒーの「香りが変化する」という独特の面白さを知っていただくことで、ぜひ新たな体験を楽しんでいただけましたら幸いです。

Minimalの「Bean to Bar Chocolate」も、丸山珈琲の「スペシャルティコーヒー」も、貫かれているものづくりの思想は同じです。そうした息吹や思いをお届けできれば開発者冥利に尽きます。

 

1月24日(火)、新商品発売記念イベントとしまして、丸山珈琲代表・丸山健太郎氏とMinimal代表・山下貴嗣のトークセッションを予定しています。当日の内容をJournalでもレポートいたします。ぜひお楽しみにしてください。

 

 

商品概要

商品名:「Coffee with Chocolate Set by Minimal&丸山珈琲」
販売開始:2017年1月20日(金)~売り切れ次第終了~
価格:2,500円(税込) / 数量:1,000セット限定
内容:FRUITY CITRIC-COLUMBIA-1枚(50g)+エチオピア・イルガチェフェ・コカーナ1袋(100g)

 

販売場所
Minimal各店(富ヶ谷本店、銀座Bean to Bar Stand)
アクセス:http://mini-mal.tokyo/access/

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