JOURNAL

ジャーナル

特別対談:Minimal×丸山珈琲 「チョコレートとコーヒーのペアリングを極める」第1回

商品・開発秘話

January 19, 2017

 

第1回「香りには3つの段階がある」

 

丸山珈琲とMinimalの共同開発によるペアリング新商品。

両社の開発責任者がその味わいと開発過程の秘話を、2回に分けてたっぷり語り合います!

丸山珈琲の商品開発責任者は、鈴木樹氏。

2016年ジャパンバリスタチャンピオンに輝いた、国内最高峰の実績を誇るバリスタです。スペシャルティコーヒーの第一人者である丸山健太郎代表の監修のもと、レシピ開発に当たりました。

Minimalは、代表・山下貴嗣の監修のもと、エンジニアリングディレクターの朝日将人が務めています。

 

丸山珈琲(エチオピア産)の3つの香り

 

コーヒーとチョコレートには、香水やワインと同じように香りの変化があります。

 

○トップノート・・・・・・最初の香り。第一印象をつくる。
○ミドルノート・・・・・・中盤の香り。
○ラストノート・・・・・・余韻。後味をつくる。

 

口に含むとこの3段階の香りが順に訪れることから、チョコレートとコーヒーそれぞれの香りを緻密に設計することが商品開発のポイントとなりました。

 

まずは、コーヒーとチョコレート、それぞれの完成品を味わいながら「香り」の設計を確認していきましょう。

 

——コーヒーの3段階の香りは、どんな特徴に仕上がっていますか?

鈴木さん(丸山珈琲)

(コーヒーを一口飲んで)コーヒー単体での香りは、最初はフローラルです。

 

朝日(Minimal)

(コーヒーを一口飲んで)白い花のような香りですね。

 

鈴木さん

そこから徐々に桃のような甘い香りと酸味と質感に変わります。最後は黒糖のような甘さと、ほのかなスパイスの香りが残りますね。

 

——最後の余韻には心地よい渋みが続くイメージがありますね。

 

鈴木さん

そうですね。ジンジャーのような印象を私は“スパイスの香り”と表現してみました。

朝日

(コーヒーを飲み)最初にはドライローズの香りもありますね。

 

鈴木さん

そうなんです。丸山(代表)も「薔薇がいる」って言っていて。

 

朝日

僕個人が真ん中で感じるのはティー(お茶)のニュアンスですね。紅茶みたいな。最後にジンジャーがいる、というのはたしかにいるなあという感じがします。割と意外ですね。エチオピア産と言えばベリー系のイメージがありましたので。コーヒー単体は上品で非常に美味しいですね。

 

Minimal(コロンビア産)チョコレートの3つの香り

 

——では、次にチョコレートを。

 

鈴木さん

(チョコレートを食べて)美味しい(笑)。最初はトロピカルな感じがしますね。

 

朝日

イエローピーチとかですよね。

 

鈴木さん

バナナとかマンゴーとかも。

 

朝日

チョコレートのほうは、最初はベリーのようなフルーツで、真ん中にフローラルを付けてあげています。最終は「消える」という判断でいいと思います。

 

鈴木さん

(チョコレートを食べて)「消える」なんですねえ。Minimalさんのチョコレートは食感が強いので、いろいろアクセントが上がってきて、一概に3つのノートで表現するのも難しいですね。

 

朝日

たしかに(笑)。かじるごとに振り出しに戻るんですよね。

 

鈴木さん

そうなんです。だから、すぐには終わらないんじゃないかと……。

 

——開発過程では、あえて食感を滑らかにしたチョコレートも製作してみました。

 

朝日

「かじるごとに振り出しに戻る」という要素が減ったほうがお客さんの体験としては安定すると思ったのですが、丸山さん(代表)のほうでインパクトの強いほうがいいという選択をされました。

 

鈴木さん

滑らかなチョコレートもすごく美味しかったのですが、Minimalさんの一番いいところが消えてしまっている印象もあり、それは私たちのやりたいこととは違うというのが大きかったですね。

 

——それはつまり、丸山珈琲さんには、どんな個性のチョコレートが出てきても合わせる珈琲を用意できる技術力があるという、懐の深さゆえですよね。

 

鈴木さん

いえいえ(笑)。お客様に最高の体験をしていただくためには、両方が一番いい状態のものを合わせないといけないと思っていましたので。どちらかが妥協してはいけないんじゃないかと。

 

朝日

「消える」という評価が意外というのは、そういうことだったのかと思いました。Minimalのチョコレートは「かじるごとに香りが振り出しに戻る」ので、消えるのはじつは早いのですが、すぐにまた香りがやってくるんですね。

 

——噛めば噛むほどチョコレートがなくなっていくのに、香りが強くなっていくのはそういうことなんですね。

 

鈴木さん

チョコレートは真ん中でオレンジに似た白い花の香りがあって、最後は甘い余韻がずっと残る印象がありますね。お砂糖の甘さというわけではなく。

 

朝日

仰るように弱いシナモンのような甘いスパイス系がありますね。一般的に「クローブ」と表現される世界ですね。日本語で言うと丁字(ちょうじ)です。たまにシチューなどに入っています。それにしても、そんなところまで見透かされてしまうわけですね(笑)

 

では、実際にペアリングをしてみましょう。

 

——ペアリングの手順は、最初に熱いコーヒーを一口飲んで、口を温めておきます。
コーヒーの香りの余韻を味わいながら、チョコレートを一口。口内が温まっていることでチョコレートが溶けやすくなります。
チョコレートが残っている中で、コーヒーをまた一口。チョコレートとコーヒーがほどよく混ざり合います。

鈴木さん

(ペアリングを試しながら)最初にマンダリンオレンジとか、あんずのシロップ漬けのような甘い香りが上がって来ますね。

 

朝日

(ペアリングを試しながら)非常に共感できます。フローラル同士がマスクされて、チョコレートのフルーツのイメージが強くなりますね。フローラルの渋みが乗っかってくるので、渋みのあるミカンとか柑橘系に化けるという面白い体験ですね。

 

鈴木さん

真ん中は、紅茶がジャスミンティーになった印象があります。

 

朝日

コーヒーのティーのニュアンスに、チョコレートの甘さが入ってくることによって柔らかな印象になるんですね。花の香りが交ざりつつなので、まさにジャスミンティーですね。

 

鈴木さん

コーヒーの世界ではジャスミンの香りが出ると、それは「最高の珈琲」である可能性が高いんですよ。

 

朝日

コーヒーにジャスミンというワードはそういうことなんですね。

 

鈴木さん

素晴らしいコーヒーで感じる味わいなんです。

朝日

ラストは、花の蜜みたいな甘い余韻になりますね。

 

鈴木さん

そうですね。

 

朝日

たしかに余韻は長いですね。まだ残ってる。

 

鈴木さん

長いですよね。

 

朝日

最後にコーヒーを飲んで洗い流すというのは面白い方法ですね。甘さがエンドレスにならないようにできます。このペアリングを複数回繰り返すと、一度目の印象ともまた変わってくると思います。それはそれで面白い体験ができるのではないでしょうか。

 

鈴木さん

ベースは変わらないでしょうけど、感じ方の強弱は変わってきますね。

 

朝日

個人的にはぜひ、1回目の甘い余韻を楽しんでほしいですね。口の中にあえて何も残さずに3分後の状態に注目してみていただければと。「おや?」と感じると思います。3分も余韻が残ることは珍しいですから。

 

——ペアリングというと、食べ合わせた瞬間に注目しがちですが、食べ終わった後に一緒に食べたからこその余韻が残る楽しみもあるのですね。

 

朝日

このペアリングは、「ひつまぶし」みたいに何度も食べ方を変えて楽しめるところはあるかもしれないです(笑)

 

 

チョコレートとコーヒーのペアリングはじつは難しい

 

朝日

コーヒーは一般的に「味が強い飲み物」というイメージがあると思いますが、「スペシャルティコーヒー」の世界になるとそうではないんですね。ものすごく繊細だったり、味わいの変化が多様だったりします。

 

鈴木さん

コーヒーとスイーツはセットのように考えられる方が多いと思うのですが、じつはコーヒーの味わいは繊細なので甘いものに負けてしまい、「ただの黒い液体」になってしまうことが多いんです。普通のチョコレートと合わせてしまうと、基本的にチョコレートの印象が勝ってしまうのが難しいところでした。Minimalさんのような素材を活かしたシンプルな作り方であれば、チョコレートの味わいがありつつ、コーヒーの味も消さないので、相乗効果を出しやすいんですね。

(第2回につづく)

 

さて、いかがでしたか?

完成商品を前に、開発責任者であるバリスタとチョコレート職人に「香り」を分析してもらいました。専門家同士の分析でしたので、少し難しい印象に映ったかもしれません。

 

しかし、誰もが必ずしもこの通りに感じる必要はありませんので、お客様もぜひ開発者の解説も参照しながら、ご自由にペアリングを楽しんでみてください。試していただいた後で記事を読み返していただくと、また新たな発見があるかもしれません!

 

第2回の対談では、いよいよ開発過程の試行錯誤に迫っていきます!

 

商品概要

商品名:「Coffee with Chocolate Set by Minimal&丸山珈琲」
販売開始:2017年1月20日(金)~売り切れ次第終了~
価格:2,500円(税込) / 数量:1,000セット限定
内容:FRUITY CITRIC-COLUMBIA-1枚(50g)+エチオピア・イルガチェフェ・コカーナ1袋(100g)

 

販売場所
Minimal各店(富ヶ谷本店、銀座Bean to Bar Stand)
アクセス:http://mini-mal.tokyo/access/

SHARE

CATEGORY

Beanカカオ豆・産地

to製造プロセス・製法

Bar商品・開発秘話

Life with Chocolateチョコレートの新しい楽しみ方

Trend・Dailyコラム・レポート